マンション標準管理規約 第7条(専有部分の範囲)
条文
(専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
コメント
第7条関係
① 専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。また、全ての住戸に倉庫又は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用契約により使用させることとする。
② 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を共用部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負担関係と連動するものではない。
利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成する部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部については構造的変更を禁止する趣旨である。
③ 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、この境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにしたものである。
④ 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。
(第3項関係)
⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。
解説
区分所有法では明確な専有部分の範囲を規定していないので、この条文で規定する。標準管理規約第8条と対になる条文。
第2項により、ここでは、いわゆる内法説を採用することになる。
標準管理規約第10条で、共用部分の持分は壁芯説による面積を採用しているが、これは建築中に内法面積はわからないためであり、実務上の都合である。
第3項は、専有部分に属する建物の附属物を規定している定めになる。第8条による別表第2の2による「専有部分に属さない建物の附属物」と対になるところ。専有部分内にあり、建物に附属しているもので専用使用するものは専有部分とする。専有部分内にあっても、専用使用できない排水縦管などは専有部分には当てはまらず、ドアクローザーや玄関扉内側の郵便受けなどは専有部分内にあり専用に供されるので、専有部分となる。コメント⑤にある通り『「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目』して専有部分か共用部分かの帰属を決めることになる。
共用部分内にあり、専用使用部分の専用に供される設備の規定は標準管理規約では定められていないが、給湯器が廊下やベランダに設置されている場合は、共用部分内であるが専用的に使用できるので、専有部分と考えられる。給湯器が共用部分に設置されているマンションはそれを明記しても良い。
※画像はマンション管理標準指針より
参照条文等
区分所有法 第1条 (建物の区分所有)
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
標準管理規約 第8条(共用部分の範囲)
対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
標準管理規約 別表第2
2 各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)
標準管理規約 第21条
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
判例 最高裁平成12年3月21日判決(抜粋)
本件排水管はコンクリートスラブの下にあるため、707号室及び708号室から本件排水管の点検、修理をすることは不可能であり、607号室からその天井裏に入ってこれを実施するしか方法はない。
右事実関係の下においては、本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし建物の区分所有権等に関する法律2条4項にいう専有部分に属しない建物の付属物に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分にあたると解するのが相当である。
区分所有法 第9条(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
標準管理規約 コメント第10条関係
登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
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