マンション標準管理規約 第19条(専有部分の貸与)

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2024年6月7日改正(第3項追加、コメント)
2021年6月22日改正(コメントのみ)


条文

(専有部分の貸与)
第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
3 第1項の場合において、区分所有者は、当該第三者に、専有部分を借用した旨の届出を管理組合に提出させなければならない。

コメント

第19条関係
① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、それ以外に、区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、区分所有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義務を定めたものである。
② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、対象物件の使用に関する事項とする。
③ 貸与に係る契約書に記載する条項及び管理組合に提出する誓約書の様式は次のとおりとする。

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        賃貸借契約書
○○条 賃借人は、対象物件の使用、収益に際して、○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守しなければならない。
2 賃借人が、前項に規定する義務に違反したときは、賃貸人は、本契約を解除することができる。
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        誓 約 書
 私は、○○○○(賃貸人)との○○マンション○○号室(以下「対象物件」という。)の賃貸借契約の締結に際し、下記事項を誓約します。
          記
対象物件の使用に際しては○○マンション管理規約及び同使用細則に定める事項を誠実に遵守すること。
                  年 月 日
○○マンション管理組合
理 事 長 ○○○○ 殿
             住所
             氏名     
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④ 第12条において住宅宿泊事業を可能とする場合は、管理組合が事業開始を把握することがトラブル防止に資すると考えられるため、例えば、「区分所有者は、その専有部分において住宅宿泊事業法第2条第3項の住宅宿泊事業を実施することを内容とする、同法第3条第1項の届出を行った場合は、遅滞なく、その旨を管理組合に届け出なければならない。」等と規約に定めることも有効である。また、宿泊者等からの誓約書については提出義務を免除する旨を定めることも考えられる。
⑤ 第3項の届出事項は、第三者本人の氏名、対象住戸、電話番号のほか、緊急時の連絡先となる者の氏名及び電話番号等が考えられる。加えて、区分所有者から専有部分を借用した第三者と、現に専有部分に居住する者が異なる場合は、現に専有部分に居住する者に関する情報も把握することが望ましい。

解説

 標準管理規約第5条第2項では、占有者の義務は「使用方法につき、(略)規約及び総会決議」を遵守する義務を負うことになっており、ここでの賃借人の義務も使用方法について義務を負わせている。
 しかし、ここで遵守させるのは「総会決議」ではなく「使用細則」である。これは区分所有者以外の第三者に守らせるべき使用のルールは文章化して明記したものしか守らせることはできないと考えていると思われる。総会でルールを決めたら細則として文章化すること。

  第3項は、居室を貸与した場合に、貸与の届けをその借主である第三者が管理組合に届け出るという条文。第64条の2において、管理組合は居住者名簿も備え付けるように定めらている。居住している人の変更を正しく把握できるのは、区分所有者ではなく現に居住している人である。そのため貸与されたことの届けをその貸与された人が提出し、居住者に変更がある場合でも、その変更は貸与された第三者や現に居住している人など、変更を直ちに把握できる人が管理組合に届け出るべきである。社宅等として賃貸した場合、区分所有者、賃借人、現に居住する人が異なる事もありえる。賃借人は貸与されたことの届出を、現に居住する人は居室の居住者一覧・変更の届出を管理組合に直ちに提出することが、居住者名簿作成・維持のためには必要であろう。
 居住者名簿は、区分所有者名簿以上に個人情報やプライバシーに配慮した取扱いが必要である。

参考条文

標準管理規約 第3条(規約及び総会の決議の遵守義務)
 区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。
2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させなければならない。

標準管理規約 第5条(規約及び総会の決議の効力)
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

標準管理規約 第45条(出席資格)
2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。

標準管理規約 第64条の2
〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(組合員名簿等の作成、保管)
第64条の2 理事長は、組合員名簿及び居住者名簿(以下「組合員名簿等」という。)を作成して保管し、組合員の相当の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、前項の規定により閲覧の対象とされる組合員名簿等に関する情報については、組合員の相当の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
3 理事長は、第19条第3項又は第31条の届出があった場合に、遅滞なく組合員名簿等を更新しなければならない。
4 理事長は、毎年1回以上、組合員名簿等の内容の確認をしなければならない。

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