マンション標準管理規約 平成28年改正点③監事

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 監事は、管理組合の業務監査や会計監査を行う。標準管理規約の平成28年の改定で監事の権限が大幅に追加された。その権限を用いて、監事は中立に積極的に管理組合に関わっていくことが望まれている。

標準管理規約 第38条(理事長)

6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。

標準管理規約 第40条(理事)

2 理事は、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならない。

コメント第40条関係

(第2項関係)
理事が、管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見した場合、その事実を監事に報告する義務を課すことで、監事による監査の実施を容易にするために規定したものである。

標準管理規約 第41条(監事)

 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができ
る。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

コメント第41条関係

① 第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と調査権について定めるものである。
② 第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事による監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理事会は第52条に規定する招集手続を経た上で、第53条第1項の要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったことは、理事会における決議等の有効性には影響しない。
③ 第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項で、理事会の確実な開催を確保することとしている。

補足

 一般的に、監事は理事や職員(使用人)と兼任できない。しかし、標準管理規約では、この兼任禁止規定が無い。

標準管理規約(単棟型)の逐条解説はこちら


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