マンション標準管理規約 第11条(分割請求及び単独処分の禁止)
条文
(分割請求及び単独処分の禁止)
第11条 区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。
2 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。
コメント
第11条関係
① 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たらない。
② 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない旨を規定する。
解説
第1項は敷地と共用部分等の分割請求禁止を規定した条文。分割請求とは、物を共有している場合、その分割を請求することである。ここでは区分所有者で共有している「敷地又は共用部分等」の分割請求なので、敷地利用権、共用部分、附属施設の分割請求を禁止している。敷地利用権とは、専有部分である建物を所有するための土地の利用権のこと。具体的には土地の所有権、地上権、賃借権、使用貸借権のことである。一般的な共有物なら、民法256条でいつでも分割請求出来るが、廊下やエントランスなどの共用部分を分割されると、マンションの管理上、非常に不都合である。また、専有部分を所有する目的(区分所有法第1条)のために建物や敷地、附属施設を管理するための団体を構成する(区分所有法第3条)ので、目的を持って共用部分を共有しているのであり、敷地や共用部分等は、いわゆる総有の状態とも考えられる。共用部分の分割請求を禁止する明文はない。
第2項は、分離処分禁止を規定した条文。処分とは、譲渡や抵当権の設定等のことで、専有部分だけの譲渡といった、専有部分と敷地利用権を別々に処分することを禁止している。専有部分と敷地利用権の分離処分は区分所有法第22条で禁止、専有部分と共用部分は区分所有法第15条において法で認められていない分離処分は禁止されている。
コメントで他の区分所有者にしか倉庫・車庫を譲渡できないとしているのは、倉庫・車庫という敷地権のない専有部分を他の区分所有者以外に譲渡すると、敷地権を持たない区分所有者があらわれるからであろう。
参照条文等
民法 第256条(共有物の分割請求)
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
区分所有法 第15条(共用部分の持分の処分)
共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
区分所有法 第22条(分離処分の禁止)
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
区分所有法 第24条(民法第255条の適用除外)
第22条第1項本文の場合には、民法第255条(同法第264条において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。
民法 第255条(持分の放棄及び共有者の死亡)
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。