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2024年6月7日改正
条文
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解説
適正化施行規則87条第2項第一号のイ又はハ以外の方法で徴収するとき以外は条文を書き換える。
滞納管理費が発生した場合は、早めに対応し、その後のことについて専門家に相談をすること。滞納が3ヶ月に及んだ時は、すみやかに法的な回収方法に移行できるような体制を整えておくこと。第3項は平成28年の標準管理規約改定で追加された条項であるが、ここで規定されている通り、滞納管理費等の回収の主体は管理組合になる。滞納発生初期の対応は管理会社に委託するとしても、管理会社が行う回収方法を事前に決めておき、その回収方法でも回収できない場合は、管理会社はその責めを免れ、以降は管理組合が回収作業を行うことになる。
第4項の訴訟においては、区分所有法の管理者が訴訟を行うことになる。訴訟が長引くときなどは、1年交代の理事長ではなく、訴訟に限定した管理者を選任できるように規約を改定する考えもある。
第5項は2024年に追加された部分で、民法第490条の合意(弁済の充当の順序の合意)をするには理事会の決議が必要と定めた条文である。
収納金とは組合員が支払った金銭の額のことであり、支払った収納金が滞納している管理費等の元本、滞納で生じた遅延損害金(利息)、諸費用をあわせた額に届かない場合、元本、利息、費用のどの弁済に充当していくかを理事会で決議することになる。この理事会決議を行えば、民法第490条による民法第489条の弁済の順序を変更する合意に当たる行為をおこなうことになる。この理事会決議がない場合は、民法第489条に従い、費用、利息、元本の順で充当されることになる。
例えば、管理費等の滞納額(元本)が30万円、遅延損害金(利息)が3万円、諸費用2万円の合計35万円を滞納組合員は支払わなければならないが20万円だけ弁済されたとき、その20万円を民法489条に従えば諸費用2万円と利息3万円、元本15万円に充当することになる。今後は不足分を上乗せした分を支払うなどといった交渉のもと、元本のみに20万円を充当するときは、理事会決議を経て、滞納組合員と理事長でその合意を得ることになる。
なお、規約・細則で弁済の充当の順序が決まっている場合は、理事会決議で変更はできない。
第7項により、組合員が納付した金銭等の返還請求および分割請求ができない。そもそも、区分所有者は共用部分を共有している(区分所有法第11条第1項)が、共有物として区分所有者は共用部分の分割請求ができず、共用部分の持分はあくまでも専有部分の処分に従い(区分所有法第15条第1項)、また区分所有法の定める範囲内でしか専有部分と分離して処分はできない(区分所有法第15条第2項)。このように、共用部分は共有物とは違う性質を持つので、共用という、共有とは違った単語にしたのであろう。共用部分と同様に、管理組合の財産も第7項により返還請求、分割請求はできないので、権利能力なき社団と考えられる管理組合は、管理組合の財産を組合員で総有していることになる。
参照条文等
標準管理規約 第25条(管理費等)
標準管理規約 第29条(使用料)
管理適正化法施行規則第87条第2項第一号イの方法
管理適正化法施行規則第87条第2項第一号ロの方法
管理適正化法施行規則第87条第2項第一号ハの方法