マンション標準管理規約 第64条(帳票類等の作成、保管)

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2024年6月7日改正


条文

〔※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定〕
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
(帳票類等の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳その他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
(帳票類等の作成、保管)
第64条 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳その他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を、書面又は電磁的記録により保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、第49条第5項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
4 電磁的記録により作成された書類等の閲覧については、第49条第5項に定める議事録の閲覧及び提供に関する規定を準用する。

コメント

コメント第64条関係
① 第1項から第3項までにおける「利害関係人」については、コメント第49条関係①を参照のこと。
② 作成、保管すべき帳票類としては、第64条第1項に規定するものの他、領収書や請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券などがある。
③ 第2項は、第32条で管理組合の業務として掲げられている各種書類等の管理について、第1項の帳票類と同様に、その保管及び閲覧に関する業務を理事長が行うことを明確にしたものである。なお、理事長は、理事長の責めに帰すべき事由により第1項の帳票類又は第2項に掲げる書類が適切に保管されなかったため、当該帳票類又は書類を再作成することを要した場合には、その費用を負担する等の責任を負うものである。
④ 第3項は、組合員又は利害関係人が、管理組合に対し、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項、第2項並びに第72条第2項及び第4項の閲覧ではなく、管理組合の財務・管理に関する情報のうち、自らが必要とする特定の情報のみを記入した書面の交付を求めることが行われている実態を踏まえ、これに対応する規定を定めるものである。書面交付の対象とする情報としては、大規模修繕工事等の実施状況、今後の実施予定、その裏付けとなる修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状況も含む)や、ペットの飼育制限、楽器使用制限、駐車場や駐輪場の空き状況等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい。別添4は、住戸の売却予定者(組合員)から依頼を受けた宅地建物取引業者が当面必要とすると考えられる情報を提供するための様式の一例に記載のある主な情報項目であり、上述の細則を定める場合の参考とされたい。
⑤ 第3項に規定する管理組合の財務・管理に関する情報については、これらの情報が外部に開示されることにより、優良な管理が行われているマンションほど市場での評価が高まることや、こうした評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、書面交付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる。一方で、開示には防犯上の懸念等もあることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討することが必要である。
⑥ 別添4の4(4)については、当該マンション内で行われる共用部分の点検・検査等の全て(日常的に行っている目視による点検の実施年月は除く。)を含めることが望ましい。
⑦ 別添4の6(3)の「変更予定有」とは、値上げ等が総会で承認されている場合又は総会に上程されることが決定している場合をいう。
⑧ 別添4の6(4)②の積立方式は、次の方式である。
  ア)均等積立方式 長期修繕計画の期間中の積立金の額が均等となるように設定する方式
  イ)段階増額積立方式 当初の積立額を抑え、段階的に増額する方式
⑨ 別添4の8③及び⑤の改良工事は、耐震改修工事、バリアフリー化工事、省エネルギー化工事その他建物及び設備の性能向上に資する工事をいう。


解説

 第3項は引用が多くて読みにくいが、順に、総会議事録、理事会議事録、会計帳簿、什器備品台帳、その他の帳票類、長期修繕計画書、設計図書及び修繕等の履歴情報、規約原本等及び使用細則等であり、これらの中から『管理組合の財務・管理に関する情報』で必要とする特定の情報を記入した書類を管理組合が発行できるとした規定である。中古マンションの売買の際に不動産業者が管理会社に発行を請求する「重要事項に係る調査報告書」と呼ばれる書類を指す。この調査報告書は不動産業者が売買契約の前に重要事項説明をするための資料の一つとなる。

参照条文等

区分所有法 第48条の2(財産目録及び区分所有者名簿)
 管理組合法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
2 管理組合法人は、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

マンション管理適正化指針

4 (略)また、管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。

標準管理規約 第32条(業務)
 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等

標準管理規約 第49条(議事録の作成、保管等)
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

標準管理規約 第72条(規約原本等)
2 規約原本は、理事長が保管し、区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。
4 区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面(以下「規約原本等」という。)並びに現に有効な第18条に基づく使用細則及び第70条に基づく細則その他の細則の内容を記載した書面(以下「使用細則等」という。)の閲覧をさせなければならない。

マンション管理標準化指針107ページ
◆管理組合の会計を明瞭なものとするためには、帳票類が作成・保管され、一定の要件のもとで区分所有者又は利害関係人が閲覧できる状況となっていることが必要です。

個人情報保護法 第2条(定義)
5 この法律において「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。ただし、次に掲げる者を除く。

マンション管理標準指針109ページ
◆また、こうした帳票類の保管に関するルールとして保存期間が定められ、それに基づいて保管が行われていれば、閲覧等に関する混乱を回避することに役立つと思われます。
◆利害関係人とは、「総会議事録の保管・閲覧」と同じく、法律上の利害関係がある者をいいます。
◆また、標準管理規約では、閲覧の請求にあたっては、帳票類は総会議事録や管理規約原本に比べれば、内部書類としての性格が強いことから、「理由を付した」書面の提出を要件としています。

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