マンション標準管理規約 平成28年改正点⑤暴力団の排除
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マンションは多くの人が共同生活を行う建物であるが、ある日暴力団が出入りしマンション内に暴力団事務所を作る恐れもある。また、暴力団が役員に就任すると円滑な組合運営も行えなくなる。実際にマンションに暴力団が入り込み、その追い出しに一苦労している例もみられる。
平成28年の標準管理規約改定で暴力団排除に関する条項や考え方追加された。以下に追加されたところを列記する。
コメント第12条関係
⑥ 暴力団の排除のため、暴力団事務所としての使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行為について禁止する旨の規定を追加することも考え
られる。
標準管理規約 第19条の2
〔※専有部分の貸与に関し、暴力団員への貸与を禁止する旨の規約の規定を定める場合〕
(暴力団員の排除)
第19条の2 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、前条に定めるもののほか、次に掲げる内容を含む条項をその貸与に
係る契約に定めなければならない。
一 契約の相手方が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第六号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約すること。
二 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、何らの催告を要せずして、区分所有者は当該契約を解約することができること。
三 区分所有者が前号の解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使することができること。
2 前項の場合において、区分所有者は、前項第三号による解約権の代理行使を管理組合に認める旨の書面を提出するとともに、契約の相手方に暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。
コメント第19条の2関係
① 第19条の2は、専有部分の貸与に関し、暴力団員への貸与を禁止する旨の規約の規定を定める場合の規定例である。なお、必要に応じ、暴力団員だけでなく、暴力団関係者や準構成員等を追加する場合は、その範囲について、各都道府県が定めている暴力団排除条例などを参考に規定することが考えられる。
第19条の2第1項第二号又は同項第三号の前提となる区分所有者の解約権は、区分所有者と第三者との間の契約における解除原因に係る特約を
根拠とするものであり、管理組合は、区分所有者から当該解約権行使の代理権の授与を受けて(具体的には同条第2項に規定する解約権の代理行使
を認める書面の提出を受ける。)、区分所有者に代理して解約権を行使する。管理組合の解約権の代理行使は、理事会決議事項とすることも考えら
れるが、理事会で決定することを躊躇するケースもあり得ることから、総会決議によることが望ましい。
② なお、暴力団員への譲渡については、このような賃貸契約に係るものと同様の取決めを区分所有者間で結ぶといった対応をすることが考えられ
る。
また、暴力団事務所としての使用等の禁止については、第12条関係コメントを参照。敷地内における暴力行為や威嚇行為等の禁止については、
第67条第1項の「共同生活の秩序を乱す行為」や区分所有法第6条第1項の「共同の利益に反する行為」等に該当するものとして、法的措置をは
じめとする必要な措置を講ずることが可能であると考えられる。
③ なお、措置の実行等に当たっては、暴力団関係者かどうかの判断や、訴訟等の措置を遂行する上での理事長等の身の安全の確保等のため、警察当局や暴力追放運動推進センターとの連携が重要であり、必要に応じて協力を要請することが望ましい。
標準管理規約では、第12条はコメントに考え方のみ記載し、第19条の2も選択型条文となっており、またコメント19条の2で書かれている通り、暴力団への譲渡禁止についてはコメント内の考え方にとどまっており十分でない。
暴力団排除に関しては、以下の点を規約に書き込むのが良い。
① 区分所有者とその同居人が現在暴力団等でないことの確約と将来暴力団等にならないことの宣言
② 専有部分または共用部分を暴力団等の事務所としての使用禁止、暴力団等の出入り禁止
③ 暴力団への賃貸と譲渡禁止
上記の①、②は第12条に、③は19条の2になるであろう。それ以外にも、敷地内での暴力行為や威嚇行為の禁止も加えることもできる。このように、規約に全て書き込んでも、暴力団等との交渉は専門家の力を借りるべきである。