マンション標準管理規約 第38条(理事長)

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2021年6月22日改正(コメント部分)


条文

(理事長)
第38条 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一 規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二 理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。

コメント

第38条関係
① 例えば植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応において、日照障害における植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会の決議により決定することが望ましい。
② 第3項について、WEB 会議システム等を用いて開催する通常総会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、WEB 会議システム等を用いない場合と同様に、各組合員からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。
③ 第4項は、理事長が職務の執行の状況を理事会に定期的に(例えば、「3か月に1回以上」等)報告すべき旨を定めたものである。なお、WEB 会議システム等を用いて開催する理事会において、理事長が当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能であるが、WEB 会議システム等を用いない場合と同様に、各理事からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。
④ 第6項については、第37条の2関係を参照のこと。

解説

 理事長の職務に関して定めた条項である。第2項により理事長は管理者となり、民法上の委任の責任が発生し、善管注意義務と委任事務の報告義務等が課される。それを示した条項である。
 第6項に関しては、管理者の代理権に制限を加えた部分であるが、第37条の2により役員は理事会承認のない利益相反取引はできないが、それに関係する条項ではある。
 管理組合法人では、理事が利益相反取引を行う時は、区分所有法により監事が代表権を持つ。

参照条文等

区分所有法 第28条(委任の規定の準用)
 この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。

区分所有法 第26条
 管理者は、共用部分並びに第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第47条第6項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

民法 第252条の2(共有物の管理者)
 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
3 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
4 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

民法 第645条
 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

民法 第646条
 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

区分所有法 第49条の3
 理事は、規約又は集会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

区分所有法 第26条
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

旧民法 第57条(利益相反行為)
(平成14年削除)

 法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

区分所有法 第51条(監事の代表権)
 管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する

標準管理規約 第37条の2



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