マンション標準管理規約(団地型) 第29条(各棟修繕積立金) 6 マンション管理士 木浦学 2020年9月30日 06:27 ¥500 ←団地型第25条 団地型第30条→2021年6月22日改正条文(各棟修繕積立金)第29条 管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた各棟修繕積立金は、それぞれの棟の共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕三 棟の共用部分の変更四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査五 その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理2 前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議(以下「建替え決議」という。)、一括建替え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、円滑化法第9条の建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から建物の取壊し時に建替え不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。3 第1項にかかわらず、マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。4 第1項にかかわらず、敷地分割決議の後であっても、敷地分割組合の設立の認可までの間において、敷地分割に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。 5 管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、各棟修繕積立金をもってその償還に充てることができる。コメント第 28 条及び第 29 条関係① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。② 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が団地建物所有者又は区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても団地修繕積立金又は各棟修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。③ 本規約の対象とする団地(コメント全般関係③参照)の建替えは、団地全体の一括建替え決議による場合、棟ごとの合意及び団地の建替え承認決議 による場合の2つの方法がある。一括建替え決議を選択できるのは、区分所有法第70条第1項の要件を満たす団地型マンションのみであり、管理組合においては、各マンションの実態に応じて、規約を定めることが重要である。④ 円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えまでのプロセスの概要は、円滑化法の制定を踏まえ作成された「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」によれば、次のとおりである。A.建替え決議までのプロセス (ア)準備段階:一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得ること」を目標とする。 (イ)検討段階:管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合として、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とする。 (ウ)計画段階:管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りながら、建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策定するとともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とする。B.建替え決議後のプロセス (ア)建替組合の設立段階:定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受けて建替組合を設立する段階。 (イ)権利変換段階:権利変換計画を策定し、同計画に関し都道府県知事等の認可を受け、権利変換を行う段階。 (ウ)工事実施段階:建替え工事を施工し、工事完了時にマンション建替事業に係る清算を行う段階。 (エ)再入居と新管理組合の設立段階:新マンションに入居し、新マンションの管理組合が発足する段階。⑤ ④のプロセスのうち、④のA(イ)及び(ウ)の段階においては、管理組合が建替えの検討のため、調査を実施する。調査の主な内容は、再建マンションの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関する事項等である。⑥ ④のプロセスのうち、④のB(ア)の段階においても、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことのできる場合があることを定めたのが第2項である。⑦ ④のプロセスによらず、円滑化法第45条のマンション建替事業の認可に基づく建替え、又は団地建物所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進する場合であっても、必要に応じて、第1項及び第2項、又は第2項と同様の方法により、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。ただし、任意の組織に関し、その設立時期について管理組合内で共通認識を得ておくことが必要である。⑧ 円滑化法に基づくマンション敷地売却組合によるマンション敷地売却事業のプロセスの概要は、平成30年のマンションの建替え等の円滑化に関する法律施行規則(平成14年国土交通省令第116号。以下「円滑化法施行規則」という。)の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」を参考とされたい。この場合にも、建替えの場合と同様に、第1項及び第3項に基づき、必要に応じて、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。⑨ 円滑化法に基づく敷地分割組合による敷地分割事業のプロセスの概要は、国土交通省が策定した「団地型マンション再生のための敷地分割ガイドライン」を参考とされたい。この場合にも、建替えやマンション敷地売却の場合と同様に、第1項及び第4項に基づき、必要に応じて、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。⑩ 建替え等に係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じて、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。解説 標準管理規約団地型においては、各棟の特別の管理に要する費用(各棟修繕積立金)も団地管理組合で徴収する。その運用、取り崩しの決定は団地総会において定めることになる。ただし建替えの調査、合意形成のための各棟修繕積立金の取り崩しは棟総会で決議できる。参照条文等標準管理規約団地型 第72条(議決事項) 次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し五 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却六 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと ダウンロード copy ここから先は 0字 ¥ 500 購入手続きへ ログイン #マンション #マンション管理士 #管理組合 #標準管理規約 #修繕積立金 #標準管理規約解説 #建替 #第5章管理 #標準管理規約団地型 #第2節費用の負担 #敷地売却制度 6 この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか? チップで応援