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アトピー性皮膚炎について知っておきたいこと


アトピー性皮膚炎とは

近年、アレルギー疾患全般が増加していますが、同じ傾向がアトピー性皮膚炎にも見られます。

アトピー性皮膚炎は、乾燥、炎症、かゆみを伴う慢性の皮膚疾患。
正確な原因はよくわかっていません。しかし、炎症を促進する免疫系細胞の過剰産生が一つの要因と考えられています。

厚生労働省が発表している患者調査では、過去30年にアトピー性皮膚炎の患者数は増加。日本皮膚科学会のガイドラインでは20代で10.2%、 30 代で8.3%、40 代で 4.1%、50代と60 代で2.5%とする参考データが示されています。

小児期に発症することが多く、再発しやすい疾患。ひどいかゆみで、皮膚を引っ掻き、そこから皮膚の炎症が進行し症状が悪化することがあります。

そして、残念ながら現在のところ効果的な治療法は見つかっていません。

皮膚炎とアトピーの違い

「皮膚炎」とは皮膚の状態を表す言葉です。そして「アトピー」は、アレルギー反応によって引き起こされる疾患を意味します。

アトピー性疾患の一つとして、アトピー性皮膚炎は以下と同じ分類とされています。

  • 食物アレルギー

  • 花粉症

  • 喘息

アトピー性皮膚炎の症状は?

アトピー性皮膚炎の主な症状は、肌の乾燥とかゆみ。
皮膚の炎症が起こり、猛烈なかゆみに襲われます。掻きむしることでさらなる炎症を招くため、掻きたい衝動と常に戦っている患者がほとんどです。

また、下記のように、アトピー性皮膚炎の症状は年齢によって異なることがあります。

乳児の症状

  • 皮膚の乾燥、かゆみ、かさつき

  • 頭皮や頬の発疹

  • 発疹から透明な液体が滲み出る

幼児〜児童期の症状

  • 肘や膝の裏の発疹

  • 発疹した部位の皮膚の鱗屑性(りんせつせい)疾患

  • 皮膚が厚くなり、極度に乾燥する

  • 首や顔、目の周りの発疹

成人の症状

  • 極度の肌の乾燥とかゆみ

  • 肘や膝の裏の発疹

  • 首の後ろや顔、目の周囲の発疹やかゆみ

  • 子供よりも鱗屑(りんせつ)が多い傾向

ちなみに、鱗屑とは角質が著しく厚くなり、多数の角質細胞がかたまってできる白い鱗(うろこ)のような皮膚片のことです。

子供の頃にアトピーの症状が出た人の中には、大人になるまで症状が続くことがあります。あるいは、幼児期までには治る人。または、大人になって再発するまで何年も症状が出ない人もいます。

そして、アトピー性皮膚炎で苦しむ人がいるのは日本だけではありません。世界中で患者は増加していて、アメリカでは成人の7.3%にアトピー性皮膚疾患が見られたとの報告もあります。

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎の正確な原因は未だ不明です。ただ、免疫反応の誤作動によって炎症が起こっていると考えられています。この免疫反応により、皮膚の炎症細胞が増えすぎてしまうのです。

皮膚のバリア機能が落ちるため、肌が乾燥しやすくなります。また、水分が失われやすくなり、皮膚から刺激物質が侵入しやすい状態に。その結果、赤くてかゆみのある発疹が生じるのです。

アトピー性皮膚炎で発疹が出る誘因はさまざま。ですが、下記のような生活習慣や環境も発疹の原因となる可能性があります。

  • 長時間の熱いシャワーや入浴

  • ひっかき傷

  • 高い気温や寒く乾燥した天候

  • 石鹸、洗剤、クリーナー

  • ウールや合成繊維

  • 物理的刺激物(土、砂、煙)

  • アレルゲン(花粉、ふけ、ほこり、食品)

  • 激しい運動

  • ストレス

また、アトピー性皮膚炎の患者はアレルギーや喘息など、他の疾患を持つ可能性も高くなります。

予防できる?

アトピー性皮膚炎が発症する理由は、完全にはわかっていません。そして、発症を予防する方法も今のところわかっていません。

しかし、皮膚の保湿を心がけることは重要とされています。保湿剤は、アレルギー肌刺激の原因になる可能性がある成分を極力避けるようにしましょう。

くわえて、症状を悪化させる原因を知っておくことも大切。

一般的にはストレスや特定の食物アレルギーにより、症状が悪化することが指摘されています。食物アレルギーには次のようなものが含まれます。

  • 乳製品

  • ピーナッツ

  • 魚介類

  • 大豆

また、皮膚に接触する特定の刺激物も、症状を悪化させることがあります。例えば次のようなものは、皮膚に対して刺激になります。

  • 羊毛

  • タバコの煙

  • ほこりや砂

  • 石鹸、洗剤、クリーナー

  • 合成繊維

とても辛い症状が伴うにもかかわらず、原因も予防方法も不明。でも悪化する原因を知り、肌を保湿するなど、できることに取り組みましょう。

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*すべての方に肌刺激やアレルギーが起こらないわけではありません。