化粧品のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは安全?
注意したい化粧品の防腐剤
どんな化粧品でも、基本的には未開封で3年間は品質を保たないといけません。これは、消費者の安全を確保するため。法律で定められているのです。
そのため、化粧品にはさまざまな防腐剤が使われています。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルもその一つ。長くて難しい名前ですよね。こんな成分は見たことがない!と思うかもしれません。でも、クレンジングやメイクアップ製品、赤ちゃんが使うおしり拭きにも使われていることがあります。
この記事では、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが使われる目的とその安全性についてまとめました。安全な成分なのか気になる人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルとは
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは合成の防腐剤。もともとはの木材や塗料の防腐剤として使われていました。
カビやバクテリアなどの雑菌が繁殖するのを防ぎます。また、さまざまな微生物に効果があります。
近年、化粧品成分として使われるようになりましたが、実は、国内外でそのリスクが主張されています。そして、使用する際の量や濃度に制限が設けられている国がほとんどです。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは安全か
日本の化粧品基準では、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルを0.02%までしか配合できません。
一方、パラベンやフェノキシエタノール、安息香酸Naといったよく知られる化粧品の防腐剤は1%まで配合が認められています。それらと比較すると、かなり厳しい制限が設けられていますね。
裏を返せば、それだけリスクが高い成分だとも言えます。
海外では、一般的には0.1%までの配合であれば安全とされていることが多いようです。しかし、EUではスキンケア製品での配合は0.01%までに制限。
ニュージーランドでは、リップケアやオーラルケア製品への使用を禁止。同時に、3歳未満の子供が使う化粧品への配合を基本的に禁止しています。特に、ボディローションなど全身に塗る製品への配合は全く認められていません。
増加するブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルアレルギー
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが化粧品に使われるようになってから、アレルギー性皮膚炎が増えたという指摘があります。
2013年にはデンマークで大規模なパッチテストが実施されました。2000年から2011年の間に、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルに対するアレルギー患者がどのぐらい増えているかを調査するためです。
9755人に実施されたこのテストでは、54人がアレルギーを発症。この期間に患者数が増加していることがわかりました。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルに対してアレルギーを発症した場合、典型的なアレルギー症状があらわれます。つまり、次のようなアレルギー性接触皮膚炎の症状が出るということです。
赤い発疹
腫れ
かゆみ
水疱
塗ったところだけではなく、全身に上記のような皮膚炎の症状が出る場合も。また、症状が出るのは肌に塗った直後とは限りません。数日経ってから症状が出ることもあります。
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが防腐剤として使用されることが今後も増えると、こうしたアレルギー事例も増える可能性があるのかもしれません。
アレルギー以外のリスクも
アメリカの環境保護庁は、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが人体に与えるリスクに関しては証拠が十分ではないとしています。
しかし、一般的に胃腸や肝臓への毒性や、生殖、発育に影響を及ぼす可能性があるとされています。先述したように、ニュージーランドで子供用化粧品に配合が規制されているのも、こういったリスクに対する予防策なのかもしれません。
また、化粧品成分の安全評価の権威であるCIRも、この成分の毒性について懸念を表明。0.5%以上の濃度では皮膚を刺激する可能性があるとしています。
また、誤って吸い込んだ際の危険性が高いとして、エアロゾル化(空気中に微細な物質が漂うこと)を目的とした製品には使用しないように勧告しています。
安全な防腐剤は?
化粧品の防腐剤といえば、パラベンという時代がありました。
しかし、ホルモン作用のリスクなどの認知が広がり、パラベンを避ける消費者が増加。それにともなって、化粧品メーカー各社はパラベンに代わる防腐剤を常に探しています。ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは、そんなメーカーにとって新しい選択肢になっているのです。
人体にも肌にも環境にもリスクがない100点満点の防腐剤は、残念ながら今のところありません。でも、使用実績や安全性の面で、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルよりはベターな選択肢はありそうです。
一方、防腐剤フリーの化粧品も増えています。そういった化粧品には防腐力がないわけではありません。
化粧品成分の中には、もともとある程度の防腐効果がある成分があります。ベースに使うBGやPGなどの基材や植物エキスがその代表例。それらの防腐力を活用し、うまく組み合わせて、化粧品に必要な防腐力を持たせているケースも増えています。
防腐剤配合の化粧品と防腐剤フリーの化粧品。どちらのほうが安全とは言い切れないかもしれません。ただ、なるべくリスクが少ないものを求めたときに防腐剤フリーの選択肢があることは嬉しいですね。
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