Eugenの備忘録その44-「改訂版を凌ぐ初版」は存在する!10/1鈴木秀美指揮パシフィック・フィル
10/1鈴木秀美指揮パシフィック・フィル、東京オペラシティ定期(於東京オペラシティタケミツメモリアル、14時より)
メンデルスゾーン:交響曲第4番《イタリア》
シューマン:ヴァイオリン協奏曲○
シューマン:交響曲第4番(1841年初稿)
○佐藤俊介(Vn.)
メインのシューマン4番の初版がやはり目玉だった。のっけから非常にすっきりしたピュアトーンで、古典派を受け継ぎつつも破壊し自分の世界を開拓せんとするシューマンの姿が見えるよう。第1楽章主部の猛烈な「疾風怒濤」の音楽に手に汗握る。4番のオーケストレーションについて初版が圧倒的に優位だと感じさせたのは、軽妙なフィナーレ。改訂版で何故か消されてしまった些細なフレーズやぼやけてしまった旋律が明快に立ち昇る様を観測し、改訂稿のフィナーレは駄作(炎上覚悟)だとすら感じた。最初のメンデルスゾーン4番も改訂が入った作品。第2楽章の巡礼の歌があんなに素朴に提示される演奏は初めて。フィナーレの猛スピードとパッションには痺れた。
問題はシューマンのヴァイオリン協奏曲。ソリストのリズムやフレージングは流石にやり過ぎな印象。私の聴いてきた演奏がシェリングやクレーメル、F.P.ツィンマーマン等端正なものだったせいもあるかもしれないが、ロマン派初期に関してはそのくらいの演奏に分があると思う。