Eugenの備忘録その56-12/9 上岡指揮二期会プロジェクトⅠ
上岡敏之指揮二期会プロジェクトⅠ(読響、二期会合唱団)(12/9 於東京芸術劇場、18時より)
ストラヴィンスキー:詩篇交響曲
モーツァルト:レクイエム
モーツァルトの《レクイエム》は1.3倍速の疾走するフガートに、宗教曲というよりは劇的なオペラの趣を感じる。だが、あのテンポは弦も管も合唱も皆苦しむ「受難」と言っても差し支えない。そんなサディスティックな上岡の棒にオケも合唱も必死に喰らいつく。モーツァルトでは前半の《キリエ》の怒涛の音楽に《ラクリモーサ》の慟哭が素晴らしい。後半の補筆部分の弱さは上岡をもってしても正直埋め切れないところはあるが。テンポが終始速いのは兎も角、スピード一辺倒であると段々と飽きが来てしまったのも否定できない。ストラヴィンスキー:《詩篇交響曲》は、音域的にもアンサンブル的にも難曲。さしもの二期会も特に第2曲は粗さが散見。だが上岡の棒のもと小編成の管弦楽(読響)の織りなす緊張感あるドラマと渾然とした合唱が会場を支配。空席の目立つ客席も音響的には追い風になったか。
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