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いろんなカタチのクリエイティブ探究 - 創作活動紹介 Vol.1

会社に所属したら、プライベートで創作する時間がなくなる?
いいえ、コンセントメンバーのなかには、会社員として勤務しながら、プライベートでも創作活動に勤しむ人がたくさんいます。動機や表現手段はさまざま。
普段の生活の一部になっていたり、副業(兼業)として活動したり、個人の創作をコンセントのお仕事につなげたり・・・それぞれの生活に合ったスタイルで、クリエイティブ探究を続けています。

そこで今回は写真撮影や写真集編纂を行う嶋田幸乃、テキスタイルやイラストなどを描く安藤和佳に、入社4年目のコンテンツデザイナー林風果が話を聞きました。


自分にしか発信できない視点を、写真集に - 嶋田幸乃

入社4年目の嶋田は、UX/UIデザイナーとして活動する傍ら、都市農家の様子を撮影し続けています。撮影現場は、東京にある実家の農園や作業場。父親の仕事の状況に合わせ、平日朝の業務前や昼休みに撮影を行うことも。2023年には、3冊の写真集を完成させました。それぞれのテーマは、農園で「働く人」、実家のキウイフルーツ畑の1年、母親の実家の酪農業の記録です。

デザイナーとしてのスキルを活かし、写真のディレクションや情報整理など実家の農園のSNS運営も担っている嶋田。生まれた時から農業が身近な存在だった彼女だから見える視点で、都市農家のすがたを発信し続けています。

農園の様子が映された写真集

Q. 写真を撮るようになったきっかけはありますか?

もともと自分がすてきだなと思ったものを誰かに共有したくて、よくスマホで撮影をしてはSNSに投稿していました。畑や作物の写真を撮影し始めたのもその延長です。

本格的に写真を撮るようになったきっかけは、卒業制作です。卒業制作でつくりたいもののイメージができてきた頃にカメラを購入し、見様見真似で撮影を始めました。

Q. 農業というテーマに至ったのはなぜでしょうか?

農業の存在が自分の中で大きくなったのも、卒業制作がきっかけです。当時、「これからのデザイナーに求められているものは、個人の視点・強みを活かした課題の発見・提案だ」と考えていました。そこで自分の「らしさ」を知りたいと思い、悩んだ結果、辿り着いたのが農業です。

両親ともに実家が農家であることから、「普段の自分」と農業の関わりがあることはもちろん、「デザイナーとしての自分」が尊敬する柳宗理の背景にも、柳宗悦、民藝品ひいては農業美術がある。だから農業を深ぼってみよう、という考えに至りました。

複数の縦長のパッケージが並んでいる。パッケージ中央に正円の穴が空いていて写真が見えている

Q. 紙の本というアウトプットにこだわりはありますか?

物質として残せる状態、受け継げる状態にすることが重要と考えたためです。現状、一般に出回る都市農業に関する資料は少なく、都市農家がどのようなことを考え、仕事をしているのかを知る術はありません。一方で、興味をもってもらうきっかけづくりとしての情報発信やイベント企画は、さまざまなところで行われています。なので、私は都市農業に興味をもった人が都市農業を「知る」ための受け皿の部分を担いたいと考えています。

紙の本は、媒体の都合で見られなくなる心配もありませんし、誰かと貸し借りすることも容易です。たくさんの注目を集められるものではありませんが、興味がある人にとっては、長くお付き合いできる媒体であると思っています。

Q. その中で、写真集を選んだことにも理由があるのでしょうか?

写真というアウトプットは、農業の「リアル」を伝えたい気持ちから選びました。普段見られない畑や作業場の様子を、覗いたような感覚になってもらいたいと思いながら撮影しています。卒業制作のように、写真と合わせて文章を書くこともあるのですが、そこは伝えたい内容によって使い分けています。

Q. 制作をするうえで、何が原動力になっていますか?

制作自体もたのしいですが、「伝えたいからつくる」という気持ちが大きいです。

暮らしの中で当たり前になっているものほど気がつきづらいですが、その当たり前を支えている人たちがいます。そんな人たちの仕事を伝えたい、残しておきたいという気持ちが制作の原動力です。少し大袈裟ですが、都市農業の発信という面で、恵まれた環境にいるデザイナーとしての使命も感じています。

暮らしのあたり前を支える人がいる限りは、その営みを伝え続けたい。都市農業は自分の人生のテーマとしても、細くとも長く調査・発信を続けたいと思っています。

写真集2冊「はたらく人」「TOKYO MILK」
写真集の中面と表紙、付録

◾️嶋田農園のInstagramアカウント
https://www.instagram.com/farm_shimada/

嶋田幸乃
株式会社コンセント|UX/UIデザイナー
タイポグラフィを基盤とし、紙媒体からウェブ、UXやUIなどさまざまな分野を幅広く学び、現在はUX/UIデザイナーとして、主にアプリケーションの開発・改善に携わる。2021年、コンセント新卒入社。
📹 Instagram

テキスタイルから生まれた、新たなものの見方 - 安藤和佳

入社3年目の安藤は学生時代から専攻しているテキスタイル、イラストレーションなど、幅広い媒体での作品制作を行ってきました。テキスタイルの染色技法では線での表現が難しいものが多いことから、ものを色面に分けて観察する癖があったそう。

現在は、コンセント自社サイトの「ひらくデザイン」記事のメインビジュアルを担当するなど、イラストレーターとしても活躍中です。

運動をする人物イラスト3点

Q. つくることに興味をもったきっかけなどあれば教えてください。

小さい頃から、手を動かして何かつくるのが好きでした。紙を切ったり、色をつけたり、「こうするとこうなるんだ〜」と、つくってみて試す的なことが好きなのだと思います。

Q. テキスタイルを学んだ後、デザイン方面で就職を決めた理由は?

祖父が友禅の工房で働いていたことで、職人っていいなと思ったことがきっかけで、工芸としてのテキスタイルに興味をもちました。ですが、実際に工房にインターンに行った際に、自分は「何をテーマにしてどうつくるのか」から考えたいのだということに気がつき、デザインの方面のテキスタイルに興味がシフトしました。

テキスタイルという媒体は、「立体性をもつ物質であること」が特徴です。平面だったデザインがテキスタイルとしてプリントされたり、染められたりすることで、「質感」と、まがる・ゆがむ・おれるなどの「動き」をもちはじめることがおもしろい部分です。そこで得た感覚は、イラストレーションも含め他の制作にも影響しています。

イラストがプリントされたハンカチ

Q. 制作する上で大切にしていることは何かありますか?

イラストにおいては、自分の身の回りの景色から、いいな、おもしろいなと思ったものを素直に平面に落とし込んでいきたいと思って制作しています。
そのイラストが、どのような媒体(布・紙・グッズなど)に落とし込まれていくのかを想定した制作はこれからも続けていきたいです。その媒体をより輝かすことができる表現を探っていたいと思っています。

イラスト2点
イラストが飾られたデスクとイラスト

安藤和佳
株式会社コンセント|コンテンツデザイナー
2022年、コンセントに新卒入社。企業の社内報制作やビジュアル制作など紙媒体を中⼼にコンテンツ制作に携わる。イラストレーションを軸としたクリエイティブや、コンセプトやイメージを視覚的に紐解いていくことを得意とする。  
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📹 Instagram
🎨 作品HP

/ 取材:株式会社コンセント|コンテンツデザイナー 林 風果
2021年コンセント新卒入社。企業や学校の広報誌やサービスロゴなどビジュアル制作を中心に、幅広いコンテンツ制作に携わる。


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デザイナーにとっての自主制作。つくり続ける理由と方法論


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