デザイン会社への就職活動 〜まずはやってみる。そこから見えてくる自分の「譲れないこと」〜
コンセントの新卒採用では、学生時代に学んできたこと、強みや個性も多様な方々からの応募、入社があります。就職活動の仕方や考え方も人それぞれです。「デザイン会社への就職活動」企画では、そんな色とりどりの就職活動の一端を紹介していきます。
今回は、コンセントでコミュニケーションデザイナーとして活躍する鈴木芙美乃にインタビューしました。コンセントでの就職活動を中心に、どのようにして自身の軸を見つけていったのか、なぜコンセントに応募したのか、どうやって選考が進んでいったのか、また、現在どんな仕事をしているのかなどを紐解いていきます。
対話しながらマッチ度を測る就職活動
大学時代は何をしていましたか?
東北芸術工科大学のデザイン工学部グラフィックデザイン学科に所属していました。幅広くグラフィックデザイン全体を取り扱うような学科で、その中でもエディトリアルを中心にしているゼミに所属して、エディトリアルデザインやブランディングデザインを主に勉強していました。
デザインの道に進もうと思ったきっかけを教えてください。
もともとは高校で放送部に所属して、映像制作をしていたことがきっかけです。コンテストに参加するなど、かなり本気で取り組んでいて、そこで「人に何かを伝える」ことに興味を持ち、大学でもそういった勉強をしたいと思うようになりました。
最初は映像系のことが学べる大学を探して東北芸術工科大学を知ったのですが、調べていくうちに多様なメディアを通して表現したいと思うようになり、グラフィックデザイン学科に入ることを決めました。
就活のことを意識し始めたのはいつ頃からですか。
大学3年生の冬を過ぎた頃からだったと思います。4年生に入るちょっと手前ぐらいに、やっと就活しなきゃって思うようになりました。
当時、私の就活のイメージというのが、リクルートスーツを着て、就活説明会に行って……みたいな、みんな一様になって動く堅苦しいイメージが強くて。自分はそういうのは苦手な気がしていたので、自分に合った就活ができたらいいなと思っていました。
なので、説明会などにも参加してはいたのですが、積極的に足を運んでいるような感じではなく、どちらかというと企業の人と対話できて、作品やポートフォリオにフィードバックをもらえるような場所に積極的に行くようにしていました。そういった場の方が、企業とのマッチ度がわかるし、いろいろな人の意見を聞いて、ポートフォリオをアップデートすることもできると思ったので。
マッチ度はどうやって判断していたのでしょうか。
対応してくださる社員の方のリアクションを見れば、興味を持ってくれているかどうかなどで結構わかりました。人事の方というよりは、デザインの現場で働いている方が対応してくださることが多いので、現場目線でのリアクションを見ることができたと思います。
私の場合はエディトリアル系の企業の方からの反応が良くて、広告系の企業だとリアクションというか反応が薄かったです。エディトリアルの作品数が多かったのも影響していると思うのですが、自分は広告系の人からすると物足りないようなところがあるのだろうな、マッチしないんだろうな、ということがわかりました。
どのように企業を探していましたか。
就活の軸として、「デザイナーとしていろいろな経験を積める」、「クリエイティブにこだわっていそうな会社でデザイナーとして働ける」というものがあったので、その2つを軸に会社を調べていました。
紙やウェブ、広告など、ジャンルは絞らずに軸に合いそうなところは受けてみるようにしていて、公式サイトの事例紹介などで、取引先や仕事の傾向を見たり、どんなアウトプットになっているのかを見たりしていました。その会社の理念など、考え方も調べていたのですが、実際にどういう仕事をしているかを重視していましたね。
就活の軸はどうやって見つけていったのでしょうか。
最初はただ漠然とデザイナーになりたい気持ちで就活を始めたのですが、企業研究をするうちに、広告代理店もあれば、制作会社もあるし、ゲームやエンタメに特化した企業もあるし……という感じで、デザイン業界って幅が広すぎてどこを受けたら良いかわからなくなってしまった時期がありました。
でもエディトリアルや広告のようなアウトプットではなく、自分がやりたいことが何か、自分がどうなりたいかを考えてそこから逆算して就職したい企業を考えた時に、その2つに絞っていくことができました。
はっきり軸が定まってから就活をスタートできたわけではなく、他社の選考が進んでいく中でも、本当に自分はこの会社で働きたいのか?ということがわからなくなって、立ち止まってしまったこともありました。でも自分は何のためにデザインをしたいのか?ということを考えてみたら、何か課題に対してビジュアルコミュニケーションで応えていくということがやりたくて、それも手を動かすことだけではなく、「どこまで本質的にその課題に向き合うことができるか」を重視していることに気付くことができたんです。それもコンセントに入社した理由のひとつかもしれません。
コンセントを知ったきっかけは何でしたか。
ゼミの教授から「コンセントは受けたほうが良いよ。鈴木さんに合うと思うよ」と言われたのがきっかけです。調べてみたら、真面目そうだな、クリエイティブが安定している会社だなと思って、受けてみようかなと思うようになりました。
やっていることが幅広かったり、いろいろな企業と取引していたりしたので、多くの経験が積めそうだなと思った記憶があります。あと、創業当時からエディトリアルデザインに携わってきた会社なので、そういう道を極めてきた人たちが多く在籍していそうなところにも興味を持ちました。
選考で苦労したところはありましたか。
選考で苦労したことはそんなになかったと思います。ただ私は面接があまり得意なタイプじゃないので、コンセントで働く大学のOBOGに、どんなことを聞かれるか、あらかじめ聞くようにしていました。
あとは、コンセントに限った話ではないのですが、ポートフォリオは毎回新しくブラッシュアップしたものを持って行くようにしていました。作品は全部同じなのですが、見せ方を微調整したり、自分で印刷・製本していたので紙を変えてみたりとか。より良いものを毎回持っていけたらいいなと思って、こだわってやっていました。
一次選考で作文とエントリーシート、ポートフォリオを提出して、適性検査を受けて、そのあとで面接という流れでした。
面接ではどんなことを聞かれましたか?
作品については、「どうしてこれをつくろうと思ったのか」、「どういうプロセスでつくっていったのか」などを聞かれました。あとは、「入ってからどういうことをしたいか」だったり、「ウェブ系はやったことがないみたいだけど、会社に入ってからやりたい気持ちがあるか」みたいな話も。「媒体にこだわりはないので、いろいろデザインしたい」という回答をしたと思います。
当時、本当に一生懸命だったので面接の会話の内容をあまり覚えていないんですけど、唯一覚えていることがあって。面接なのに「趣味は何?」と聞かれ、私は映画を見るのが好きなのでそう答えたら、最近見た映画の話になっていって……(笑)
今までにない面接の空気感がすごく面白いというか、印象に残っています。アイスブレイクというよりも、私のことを知ろうとして聞いてくれているんだろうなという感じがしました。さすがに役員が全員いる最終面接は緊張感があったんですけど、それまでの面接はまったくそんな感じではなくて。会社の雰囲気が知れて良かったなあって思ったのを覚えています。
入社後の働き方とこれから
入社1年目ではどんなことをしていましたか。
入ってすぐは社内の仕事が多かったです。月に一度開催されているオンライン全社会議(通称「グッドモーニング! コンセント」)のスライド制作や、公式の社内研修制度であるコンセントデザインスクールの外部講師の方が登壇されるときの資料を整えるなどしていました。
あとはコンセントで当時新しく始めた「PLÜG powered by CONCENT」というオンラインの定性調査サービスがあったので、そのロゴやイラストなどもつくっていました。
初めてのクライアントワークでは、企業広報誌のデザインをしました。まずは1ページだけ担当をもちつつ、その他のページの修正も行うような感じでスタートしました。撮影現場に同行する機会も多く、ありがたかったです。
秋口ぐらいにコンセントの新卒採用サイトのリニューアルプロジェクトに参加しました。
私はコロナ禍で入社した代だったのですが、リーダーとチューターが出社する日を調整してくれていたので、週に1・2回くらい、オフィスでコミュニケーションを取りながら仕事をすることができていました。不慣れな環境なこともあり、チャットで聞くのに時間がかかっちゃうタイプだったので、その場で聞けるのはすごくありがたかったです。
実際入社してみて、就活の軸に設定していたことはできていますか?
まだ途中段階な気はするんですが、やりたいことは結構できていると思っています。
「いろいろな経験を積む」という軸については、1年目の時から「いろいろな媒体の仕事をしたい」とリーダーにも伝えていたので、そこを汲んで担当するプロジェクトを検討してもらっていました。さまざまな現場の空気感を知ることができたのがすごく良い経験になったと思っています。
「クオリティにこだわる」というところに関しては、年々できることが増えていっているので、自分がデザイナーとしてクオリティ向上のためにかけられる時間もどんどん増えていっているという感覚があります。まだまだなところはもちろんあるのですが、入社した当時と比べたらデザイナーとしてレベルアップできている感覚があります。
今の自分がコンセントで活躍できている理由や、自分のデザイナーとしての強みはどんなところだと思いますか。
広くいろんなことに挑戦できるところかなと思っています。「とりあえずやってみよう」というチャレンジ精神のおかげで、多様な仕事に関わり、デザインの経験を積むことができてきたのかなと。
デザイナーとしての強みは探し中です。ただ、いろいろやってみたことによって、方向性が見えてきたと思っています。例えば、あるプロジェクトでディレクターを担当した際は、とても良い経験でもあったのですが、同時に、自分はつくる方面の能力を伸ばしていきたいし、その方が向いていそうだということにも気付きました。なので今は「媒体関係なくつくることができるスペシャリスト」という方向で伸びていきたいなと考えています。
最後に、就活生にメッセージをお願いします。
私は、就活時代もコンセントでデザイナーとして働いている今も「とりあえずやってみよう」というチャレンジ精神を大切にしてきました。経験してみることで見えた現実や新たな発見が私の就活をする上での軸となって就活自体を推進する大きな力になっているなと改めて感じます。
「自分はどんな会社に入りたいのだろうか」「どんな会社を受ければ良いのだろうか」就活当時の漠然とした不安を今でも思い出します。同じように悩んでいる人には是非、考えすぎずにまず1社受けてみる・会社の人と話してみるなど、就活の一歩を踏み出してみて欲しいです。
そして就活をする中で得られた感覚をもとに、自分が就職する上で譲れないことは何かを考えてみてほしいです。その「譲れないこと」がきっと、自分の就活の可能性を広げたり、何かに迷ってしまったりしたときの判断材料になるはずです。自分の経験や感覚を是非大事にしてください。
コンセントは今の自分にできることに限らず、入ってからどんなことがしたいか・どんなふうになりたいかという点を重視しています。就活が終わり入社した今も、自分がどんなプロジェクトを通して、どんなデザインをしたいかということに向き合って仕事をさせてくれるような環境だと思っています。今の自分に留まらず、未来の自分がどんなふうになっていたいかにも是非目を向けてみてください。
みなさんが悔いなく就職活動を終えられるよう応援しています。頑張ってください!
/登場人物:Communication Design group コミュニケーションデザイナー 鈴木芙美乃
2020年4月にコンセントに入社。ビジュアルデザインを中心に販促ツール、LP、採用サイト、カタログなど紙/ウェブさまざまな媒体の制作に携わる。東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィックデザイン学科卒業。
/執筆:Product Design group UX/UIデザイナー 佐山円未
筑波大学を卒業後、同大学院を修了。専攻はグラフィックデザイン。2019年にコンセントに新卒入社。現在は、Product Design group チームマネージャーを務め、UX/UIデザイナーとしてアプリケーションをはじめとするデジタルプロダクトの開発に主に関わる。不動産・金融・ヘルスケア系企業の新規事業開発・改善支援など、BtoB・BtoCも問わず幅広く携わっている。