コンシーラの私(第十一章)
友達だった百合が病気になった。突然の出来事。百合は、病名について詳しくは教えてくれなかったけども、そう伝えられた。
百合は良い物をいつも身につけていた。ブランド物の服装は避けていて、本当にいい物を自分で見つけ出して身についている感じ。そんな百合からプレゼントをもらったことがある。
「瑠璃にプレゼントがあるんだ!ベトナムのブランドを扱っているセレクトショップで見つけたんだけど、よかったら身につけてね!」そのストールは、シルクに可愛らしい刺繍がしてあった。
そんな百合が亡くなった。
大切だった友達。私は、突然大切な人がいなくなる事実に整理がつかなかった。
百合のお葬式には行かなかったけど、お線香をあげに百合の実家に行った。
お母さんが「百合は瑠璃ちゃんのことを大切に思っていたようです。いつも食卓では瑠璃ちゃんの話題が出るほどで」
百合が私に伝えてくれたこと。それはシルクのストールだった。人や物を愛する心。そこから生まれてくる人間性。百合は大切なことを私に語りかけてくるようだった。