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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】 「第86回:株式会社 虎屋」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。なんと創業から約480年の歴史を持つ老舗企業です。
第86回は、「とらやの羊羹」としてその名を知られている和菓子メーカー「株式会社 虎屋」です。

虎屋・イメージ

【企業概要】
*「虎屋」は、和菓子の製造販売を行なう会社で、販売から製造・事務・流通・品質管理・研究など多岐にわたります。東京の赤坂に本社を構え、直営店舗を、東京都に5店舗、神奈川県に1店舗、静岡県に1店舗、京都府に2店舗を構えています。その他、全国の百貨店や空港ターミナルビル内に主要商品を販売しています。日本国外でも事業を展開していて、フランスのパリ、米国のニューヨークにも出店しています。従業員数は「904名(2021年)」、売上高「144億円(2021年)」と、日本を代表する老舗企業と言えます。
「虎屋」の名物として有名なのが、「羊羹(ようかん)」です。羊羹に使われる原材料は、基本的に小豆、砂糖、寒天の3種類のみで、羊羹の種類によって、配合される砂糖や小豆などの種類は変わります。シンプルであるが故に、素材の配合には並々ならぬ熱意が注がれ、和菓子にとって最も大切な「餡」の質を決める小豆は北海道十勝産を、寒天は長野県や岐阜県の指定生産者によって、昔ながらの自然を利用した製法で造られ、とことん素材に拘っているのが特徴です。「虎屋」は、その羊羹市場に於いて、なんとシェア率「約30%」を誇っています。

そして「虎屋」の凄さは、その歴史です。
【企業の歴史】
*今を遡ること約500年前、室町時代の後期に京都の地で創業したされたのが「虎屋」です。16世紀の終わり頃には、歴史に名を刻む有名人の御用菓子屋として既に知られる存在となり、以来 歴代天皇や皇族をはじめとして、徳川将軍家や歴史上に名を刻む文人たちに愛されてきました。「虎屋」は永きにわたり、和菓子の最高級ブランドとして有名ですが、それは 和菓子を通じて、常に時代の先端を行く文化の担い手として存在していたからと言われています「虎屋」が、そんなトップブランドとして、在り続けていることを証明するのが、多くの著名人たちに愛されてきたことを物語る、数々のエピソードです。財閥や実業家、作家や俳優など、時代を代表する文化人たちとの逸話は、数多く残っているそうです。例えば 黄門様として知られる「水戸 光圀」は、東南アジアの珍しい柑橘類を栽培したり、蕎麦やうどんは自ら麺を打つなどしたほか、日本で初めてラーメンを食したともいわれるなど、大変な食通として知られています。そんな黄門様も「虎屋」の菓子が好みだったと言われていて、1688年に霊元上皇が能を催した際には、「虎屋」を通じて大饅頭100個を献上したという記録が残っています。明治時代になると、顧客の層も多様化していきますが、こうした中で「虎屋」」の菓子を重宝したのが、「伊藤 博文」や「大隈 重信」、「山懸 有朋」といった政治家であり、当時の日本の経済界をリードした三井家、岩崎家、渋沢家などの旧財閥グループと言われています。近代化を推し進めた、このような若い世代が顧客となったこともあり、それまでは見られなかったバナナ形をした生菓子など、斬新な菓子も作られ始めました。「虎屋」の有名菓子のひとつに、ゴルフ最中「ホールインワン」というものがあります。これは 旧三菱財閥四代目の「岩崎 小弥太夫人」のアイディアによって誕生した、まったく新しいスタイルの最中であり、現在でも高い人気を誇る「虎屋」の名品になっています。
このように「虎屋」は、5世紀に渡って、時代の中心にいる人々と交流を図りながら、和菓子と日本の文化を支え続け、現在に於いても不動の名店の地位を確保しているのです。「虎屋」の歴史を知ることは、日本の歴史を知ることにも繋がるほどなのです。

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それでは ここで、「株式会社 虎屋」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。
【経営理念】
「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」

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【若手なりの成長理由 分析】
ここからは、若手なりに「株式会社 虎屋」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。
先ず、結論からいうと…
◆1.「『美味しいものを作ること』に徹底的に拘っている点!」
◆2.「『美味しいものを作ること』以外は、全て変えて良いという柔軟性を大事にしている点!」
◆3.「不器用なまでに真面目な職人を大切にしている点!」
の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。


◆1.「『美味しいものを作ること』に徹底的に拘っている点!」
*「虎屋」が企業のコアに据えていることは、極めて簡単なことです。それは、「本当に美味しいものを誠実につくること。一生懸命に和菓子を極めること」です。たったこれだけですが、これまでも、そして これからも、これに尽きます。実は 現社長自身も、「将来、和菓子はどうなるのだろう?」と不安になった時もあったそうです。しかし ある時から、コアをきちんと貫くことができれば、「いける」と思える様になったそうです。例えば「虎屋 パリ店」40周年を記念して、2020年8月にフランスの洋菓子店「ピエール・エルメ・パリ」とコラボレーションしました。これは、「虎屋」はパリで、「ピエール・エルメ」は日本で、互いに自国の菓子文化を伝えようと取り組んできたという共通点をきっかけに実現したものです。これは、世界各国から、非常に良い評価を得ました。一方で、「とてもご好評頂いたので、今度はどことコラボレーションしようか」という発想ではいけないのです。何故なら、そればかりを考えてしまうと、「コア」の部分を見失ってしまいかねないからです。「我々は和菓子屋である」「おいしい菓子を作るんだ」という思いを芯に持ち続けて、それを具現化できるかどうかが重要なのです。
*そして この「コア」の精神を忘れない為にも、経営理念としてシンプルに表現されいています。経営理念である「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく。」これは ごくシンプルなワンフレーズですから、会社に入ったばかりの新入社員でも、すぐに覚えてくれています。経営理念とは社員全員が共有しなくてはいけないものであり、「ええっと、うちの会社の経営理念はなんだっけ……」と考え込むようなものではなく、すぐに思い出せる言葉であることが大切なのです。
ーーー◆2.「『美味しいものを作ること』以外は、全て変えて良いという柔軟性を大事にしている点!」
*飲食店の常識だと、味は不変だと思われがちです。老舗の場合は特に、「昔から変わらない」「ずっと守られてきた味」という評価を受けます。確かに、お客さまからすると味が変わらないことが、一つの価値でもあります。しかし「虎屋」では、味は時代によって変わるものだと考えています。事実、現社長は社員にも「味は変えていい」と言っているそうです。「伝統が大切ですね」とお客さまから言われることがあって、一番大切なのは「今」です。今、生きているお客さま、今、買い物に来てくださるお客さまに最大限の気を配り、美味しいと思って貰える菓子を作らなくてはならないのです。
*例えば、「虎屋」の羊羹を一言でいうと、「少し甘く、少し硬く、後味が良い」です。確かに、虎屋」は今後も、この基本的な味のコンセプトを変えることはありません。しかし 具体的な「甘さ」と「硬さ」の表現にはある程度の幅があり、甘みや硬さをつくり出すための、製造技術や原材料の調達方法は、試行錯誤のプロセスを通して完成されたものです。時代の趨勢や嗜好の変化を取り入れ、プロの職人たちが現場で微調整して、最終的に決めていることが大切なのです。その他にも、「虎屋」でが毎年新作を発表し、また カフェ事業の「TOARYA CAFÉ」を2003年にスタートするなど、和菓子の販売にとらわれない、新しい試みにも日々チャレンジしています。お客さまのニーズに合わせて商品を微妙に変化させていながら、「虎屋」の持つ老舗としてのイメージは、ずっと変わっていないように見せることが大切なのです。
*「虎屋」の柔軟性は働き方からも伺えます。「虎屋」は1976年には職能資格等級制度を導入、男女同一賃金を実現し、入社後に学歴による差別を受けることがないようにしました。そして 1980年代前半には、育児休暇制度、海外留学制度など、今では当たり前になった人材育成のための制度を充実させています。現在は、女性社員の比率が70%を占め、平均年齢は「33歳」です。老舗と言われているわりに、平均年齢が低いことに特徴があります。

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◆3.「不器用なまでに真面目な職人を大切にしている点!」
*「虎屋」では、製造を原点とする不器用なまでの職人の真面目さを大切にする社風です。愚直なほど一生懸命に真面目に菓子をつくる。安全面や衛生面に配慮し、原材料の管理や流通など地味な業務もひたむきに取り組む。こういう気風が浸透しているのです。「虎屋」の職人は、「人が見ているから」とか「自分に注目してほしいから」という理由でやるわけではないのです。決して目立たなくても、会社のために真面目にひたむきに働くことを生きがいだと思ってくれる職人が多い。逆の見方をすると、会社が職人を大切にしているから、見えないところでも頑張ってくれるのです。

*「虎屋」では、「おいしい」を追求するために、虎屋の基礎研究室では原材料や製品に関するいろいろな研究を行っています。人の手より機械の方が優れているような、安定性、持続性が求められる作業には機械を導入し、均一な品質の製品に仕上げるために科学技術の力も借りていることも事実です。ただし 最終的に重要なのは「人の目」としています。火入れや仕上げなど、最適なタイミングは熟練者の目を通して判断しています。ばらつきのある天然の原材料で、気温や湿度にも影響を受ける菓子づくりでは、職人の経験と五感がものを言うのです。出来上がった製品は必ずつくった職人たち自身が順番で試食します。それもお客さまが召し上がるシチュエーションを考えて、午後3時に漆の皿に載せ、黒文字(和菓子用のようじ)を使って、ひとつの和菓子を試食しています。
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◎と言うことで…「虎屋」さんを調べましたが、「変わらない為に、変わり続ける」という伝統と革新を両立されようとしている姿勢が素敵だと思いました。伝統にあぐらをかく訳でもなく、しっかり最新の技術を取り入れられています。例えば 羊羹づくりにおいても、昔は大きなヘラを用いて、長時間煉りあげる作業を人の手で行っていました。ただ、このような持続性や安定性を求められる作業は、人の手より機械のほうが優れているので、最適な機械を独自に開発し導入しています。ただ 火入れや仕上げなど、要所要所で職人の経験と五感を大切にしています。この様なことは、当たり前かもしれませんが、継続することは難しいことではないでしょうか。少しでも機械を入れてしますと、全て機械に頼ってしまうのが人間だと思います
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◯それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…経営理念として「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」という、敢えて シンプル 且つ 分かりやすくされている点が素晴らしいと思いました。因みに、C.I.については、この経営理念以外は掲げていないそうです。これも シンプルに拘っているからです。しかも この理念をつくったのは、1985年のことだそうです。この理念の大事なことは、「虎屋」の和菓子をただ食べて貰うのではなく、「喜んで」食べて貰う点だと思います。実際に 現社長のインタビューでも、同様のことを述べられてます。一般的にC.I.というと、社外(一般消費者)を意識して、少し尖った表現を使いがちだと思います。しかし この「虎屋」の経営理念は、500年の歴史から導きだした、企業の在るべき姿としてのシンプルな答えなのだと思いました。若者が、生意気ばかり言って、本当にすみません。。。

また 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
長くなりましたが、以上です。


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