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AI エージェント×クリプトが伸びているという話
はじめに
仮想通貨(クリプト)業界を中心に、AIエージェントと呼ばれる自律的に動くAIが急速に注目を集めています。たとえば、$swarms というトークンは2週間で3000%UPするなど、投機的な熱狂が一部で起きています。(OpenAIのAI Agentフレームワークswarmとは別物です。)
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一方で、技術的にもエポックメイキングな事例が相次いで出てきています。
この流れは「ミームやバズ」で語られるだけではなく、長い目で見れば「インターネット史」や「ビットコインの歴史」にも共通する必然が隠されているのではないかと感じました。
そう考えると、このムーブメントをただのバブルとして傍観するのは勿体無いと感じたので、本記事では、ITの歴史を振り返りながら、AIエージェント×クリプトが示す未来について考え、各産業にAIエージェントがどのように普及していくのか、独断と偏見で考察してみたいと思います。
1. なぜ「AIエージェント」がここまで注目を集めているのか?
1-1. 自分でウォレットを持ち、SNSやアプリを使いこなすAI
「AIエージェント」とは、自律的に学習し、タスクを遂行するAIのプログラムを指します。たとえば、「SNSをモニタリングしながら投稿を分析し、ウォレットを通じて仮想通貨を売買できる」と聞くとSFのようですが、今まさに実現しつつあります。
VTuberのように24時間配信しながら、投げ銭(トークン)をリアルタイムに運用する
他のアプリやAIエージェントを呼び出し、コラボや交渉すら自動で行う
これらは単なる「ボット」の域を超え、人間に近いインタラクションをコミュニティ内で自律的に行うのが特徴です。
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1-2. クリプトとの相性が良い理由
仮想通貨には、誰でも簡単に「ウォレット」を持てる仕組みがあります。つまり、AIが自分名義のウォレットを所持してトランザクション(送金や売買)を実行できるのです。これにより、
AIが資金を集め、投資などの意思決定を自ら行う
貢献度に応じたトークン配布をAIが公平に実行する
といった、従来のWeb2.0にはなかったユニークな世界観が広がっています。
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3. ビットコインに学ぶ、「革命」と「大衆化」のプロセス
3-1. ビットコインの黎明期と投機のせめぎ合い
ビットコインは2008年にSatoshi Nakamotoと名乗る人物の論文公開から徐々に価値を高め、2017年頃に爆発的ブームを迎えた後、大暴落も経験しました。しかしそれを経て、今では「デジタルゴールド」として市民権を得ています。
初期は技術者コミュニティでのみ注目
投機的なブームが到来し、荒波の中で定着
このサイクルはインターネット全般にも通じる特徴です。軍事や金融など、限られた分野での実験から始まり、やがて大衆化していくのです。
3-2. AIエージェントも同じ道を辿る?
AIエージェントもまた、最初は軍事技術や金融システムなど先端的な領域で進化し、その後、人々が日常生活で活用する段階へ進むかもしれません。ビットコインが金融の在り方を変えたように、AIエージェントは労働やコミュニティ形成を大きく変えていく可能性を秘めています。
4. AIエージェントに何が「次の波」を生むのか?
4-1. PC・スマホがもたらした「誰でも使える技術」への移行
歴史を振り返ると、テクノロジーの大きな転換点は「専門家だけが使うもの」から「誰でも使えるもの」へと変化したときに訪れています。
メインフレーム → パーソナルコンピュータ
フィーチャーフォン → スマートフォン
その結果、業務から娯楽まで多様な使い方が生まれました。AI AgentもLLMの低価格化に伴い、もう間も無く誰でも使えるようになると考えています。
4-2. AIエージェントの「自律化」がもたらす衝撃
現在のAIエージェントは、ただの業務自動化にとどまらず「自ら判断して学習し、さらなる連携を生む」という新しいステージにあります。
SNSや他のAIと勝手にコラボし、自分でトークンを発行し、コミュニティを広げる
自律的にトレードや投資を行い、利益を再投資する
これは、既存のWeb2.0アプリや自動化Botでは考えられなかった展開です。このシナリオが進むと、以下のように各産業に波及していくものと考えられます。
金融・投資
自律的に運用するファンドマネージャーの台頭エンターテインメント・メディア
24時間活動するVTuber&アーティストマーケティング・広告領域
AIによるキャンペーンやSNS拡散教育・HR・コンサル
自動エージェントが人材スカウトする未来
5. 技術的観点から見た「AIエージェント×クリプト」
2-1. OSSフレームワークの登場とコミュニティの成長
Githubを眺めていると、AIエージェントのオープンソース(OSS)フレームワークと、そこで発行されるトークンが脚光を浴び始めています。たとえば「swarms」というライブラリはその一例で、2.4万人ものX(旧Twitter)のフォロワーを抱えており、441ポストでこれだけのフォロワーを集めているのは驚異的です。
私もswarmsの存在はGithubから知りました。トークンが乱立している中で、OSSで露出を増やすのは非常にいい戦略だなと思いました。
AIエージェントの時代には、やはりコミュニティを抱えられるかどうかが重要になってくる、そう感じさせる事例と言えるでしょう。
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2-2. Rust製のフレームワーク「rig」の可能性
さらに個人的には、Rust製のAIエージェント向けフレームワーク「rig」も注目しています。AIエージェントのプログラミング言語としてはPythonが多いですが、Rustは非常に高速に実行できるのが強みです。
高速かつ安全
マルチスレッドや並行処理に強い
このため、クリプトのようにスピードが求められる領域でのAIエージェント開発において、Rustという選択肢は非常に面白いといえます。
「rig」はPlaygrounds0xというチームによって開発されており、同時にAI Rig Complex (ARC)というトークンの開発も進めている模様です。Githubの人気リポジトリに上がる機会も多く、今後さらに注目されるかもしれません。
5. AIエージェント×クリプトはバブルか?それともインフラか?
5-1. 短期的にはバブルの影響は避けられない
現在のトークンの値動きは、間違いなく投機的な要素が含まれています。したがって、興味本位で参加した人が大損することもあるでしょう。
5-2. しかし技術の本質は見逃せない
一方で、インターネットやビットコインがそうであったように、投機の熱狂を経た先には、本物の技術やビジネスモデルが残ります。
既存の投資ファンドを脅かす、自律的なAIファンド
24時間稼働し続けるAIキャラクターが作り出す新時代のエンタメ
より公平な報酬配分を実現するDAOのような仕組み
軍事や金融で研究された技術が、私たち一般ユーザーの手元に届くまでには曲折があります。それでもいったん大衆化が起これば、新しいプラットフォームやインフラとなりうるのです。
終わりに
テクノロジーが花開く瞬間は、「専門家が独占していたものを一般の人々が自由に使いこなす」タイミングで訪れます。AIエージェントとクリプトが交わることで、私たちの想像を超えた革新的なサービスやビジネスモデルが誕生しつつあります。
もちろん、投機的な要素が強いのも事実です。しかし、その奥にある「自律的なAIが社会に参加し、人間の代わりに意思決定を行う」可能性には、誰もが目を見張るものがあると思います。
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当記事は、投資勧誘を目的としたものではありません。実際に投資を行われる際には、当記事の情報に全面的に依拠して投資判断を下すことはお控えいただき、投資に関するご決定は皆さまご自身の判断で行われるようお願いいたします。