Difyで商品キャッチコピーを自動生成する
はじめに
今回は、Difyというローコード/ノーコードのAIアプリ開発プラットフォームを使い、CSVで用意した商品情報から自動的にキャッチコピーを生成し、その中からよりCVR(コンバージョン率)の高いコピーを絞り込み、最終的には見やすい形にまとめて出力するまでの一連のワークフローを作成しました。
複数の商品を扱うEC業務やマーケティング担当者が、商品の魅力を伝えるコピーを1つひとつ考える手間を減らしながら、アイデアを素早く形にできるのがポイントです。
デモ動画
ここではワークフローの実行例を動画でまとめています。
ワークフローを走らせると、CSVに含まれる各商品情報を順番に読み取り、AIによりキャッチコピーを生成→絞り込み→テンプレート化→表出力が行われる一連の流れが一目で分かります。
無料のDifyコミュニティ「Dify Studio」の #note記事 チャンネルからこのアプリケーションをダウンロードすることができます。このDSLファイルをインポートすることで上記のアプリがすぐに使えます。ぜひ参加してみてください。
ワークフローの全体像
今回作成したワークフロー「商品キャッチコピー作成」は以下のような構造になっています。
アップロードファイル(CSV)→テキスト化→データ分割→イテレーション→LLMを使ったコピー案の作成・絞り込み→テンプレート変換→表の作成→終了、という流れで動作します。
ワークフローの作り方
下記では、ワークフロー内の各ブロックとその役割を解説します。実際にはDifyのキャンバス上でブロックをドラッグ&ドロップすることで簡単に繋いでいく形です。
開始ブロック(役割:CSVファイルの入力)
どんなことをする?
CSVファイルのアップロードを受け付ける入り口です。商品情報が入ったファイルをここで受け取り、次のブロックに渡す準備をします。ポイント
ファイルの拡張子・最大アップロード数などをここで指定することも可能です。
テキスト抽出ツールブロック(役割:アップロードされたファイルをテキストに変換)
どんなことをする?
アップロードされたCSVファイルを中身の文字列データとして抽出します。ポイント
CSV以外にも、PDFやOfficeドキュメントをテキスト化する場合にも同じ仕組みを使えます。
コードブロック(役割:CSVを行単位にデータを解析)
どんなことをする?
テキスト抽出ツールから受け取った文字列を行ごとに分割し、ヘッダーやデータ部分を分離します。ポイント
Pythonコードを少し書いており、ヘッダー以外の行を「data」として返す仕組みにしています。
イテレーションブロック(役割:各商品データを1行ずつ繰り返し処理)
どんなことをする?
CSVの各行(商品情報)を順番に取り出して、下流のブロックを繰り返し実行します。ポイント
商品数が多い場合でも、一括で同じ処理ができるのが便利です。
LLMブロック(役割:複数のコピー案を生成)
どんなことをする?
LLM(GPT-4など)を活用して、1商品あたり10個のキャッチコピーを生成します。「30文字以内で」「ユーザー目線で」といった制限をプロンプトで指定。ポイント
DifyのLLMブロックにシステム/ユーザーロールでプロンプトを渡すだけでOKです。
LLMブロック(役割:優秀なコピーを3つだけに絞る)
どんなことをする?
先ほど生成した10個の案を再度LLMブロックで評価させ、CVRが高いと考えられる案を3つだけ箇条書きで出力します。ポイント
同じモデル/別のモデルどちらでも可。今回は同じモデルで分けて使っています。
テンプレートブロック(役割:1商品ごとに提案をまとめる)
どんなことをする?
イテレーション内の「商品情報」と「絞り込んだコピー案」の両方を、見やすいMarkdownにまとめています。ポイント
Difyが提供するテンプレート機能(Jinja2ベース)を使って、自由なフォーマットに整形可能です。
LLMブロック(役割:最終的にテーブルとして表示)
どんなことをする?
最後にもうひとつLLMを呼び出し、まとめた内容を「表形式」に仕立てて見栄え良く整形してくれます。ポイント
出力例としてMarkdownのテーブル形式を依頼しているので、簡易的な表が作られます。
終了ブロック(役割:実行結果を出力)
どんなことをする?
一連の処理の最終出力を受け取り、ユーザーの画面に結果を返します。ポイント
ワークフローの最終着地点。必要に応じてここからAPIレスポンスに乗せたり、他システムへ送信したりもできます。
改善アイデア
文体やトンマナをさらに指定
「女性向けにやさしい印象」「専門用語を交えた説得力重視」など、要望に合わせてプロンプトをより詳しく設定すると、生成されるコピーの雰囲気が変わります。他のツールノードを組み込み
たとえば外部検索サービスやプラグインと連携し、流行キーワードを参照しながらコピーを書くなどの応用が可能です。自動フィードバック・修正サイクルを組み込む
一度生成されたコピーをさらに評価して修正案を再生成するフローも、イテレーションノードやLLMブロックを活用すれば作成できます。
まとめ
以上が、CSV商品リストからAIでキャッチコピーを生成し、CVRが高そうな案をピックアップしてテンプレート化、最終的に表としてまとめる一連のワークフローのご紹介でした。Difyを使えば複雑な処理フローを、ノーコードや最小限のコードで実装できるため、日々のマーケティング業務を大きく効率化できます。
株式会社Omlucでは法人向けのDify導入支援パッケージをご提供しております。
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