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絵には失敗が存在しない
「ママ、すごいね。こぼした絵の具から、こんな綺麗な天の川が生まれるなんて!!絵には失敗ってないよね。」
リキテックスのリキッドタイプの絵の具を、インク代わりにしてつけペンで線を描いていたら、瓶が倒れて絵の具がびしゃーっと床まで広がった。割と大惨事である。きゃー大変!!と、画用紙に絵の具を載せたり、描き途中のキャンバスで放って置いたままになっていたキャンバスに絵の具を浸したり、と、1人で大騒ぎ。割と良いお値段する絵の具なので、一滴も無駄にはできない…!!
値段関係なく、絵の具は一滴も無駄にしたくないので、余った絵の具は使い果たすことにしている。描いている絵にはもう使えなくても、他の絵に使ってみたり、新しい画用紙やキャンバスに絵の具を落としてみたり、とりあえず次に繋ぐ。
最初は単に絵の具を無駄にしたくなくて始めたことなのだけど、これが私の作品にとても良い影響を与えてくれている。今回のように、「うーん、この先、どう展開させよう??」と悩んだまま、一旦、置いてあった描き途中のキャンバスに、とりあえず色を載せてしまうことで、その先の展開が見えてきたりするから。
まさか、この絵が天の川になるとは思っていなかったのだけど、ちょうど七夕の時期だったこともあり、青い絵の具が浸されたキャンバスを見ていたら、ふと天の川を描いてみたくなったのだった。これまで半年くらい、ずっと放置していた絵なのに方向性が決まったら筆の進みがとても早かった。しかもこの絵は最後の一筆も他の絵に使おうとして余った絵の具で決まった。
絵には失敗というものが存在しない。息子がいたずらに加えてきた一筆だって、新たな発想の源になるし、溢れた絵の具や余った絵の具から、絵の中に物語が生まれることもたくさんある。展示会という締切はあるものの、それまでに完成しなかった絵も、いつの間にか筆が重なり、どこかのタイミングでお披露目できたりする。
だから、無理に筆を進めようとせずに、筆が停滞してしまった時はそのまま放っておくことにしている。まぁ、そのうち完成するでしょ、たぶん!と長い目で待ってみるのだ。で、大抵、次の展示会とかその次の展示かとか、そういう締切のタイミングで、寝かせていた絵が動き出す。だから、締切も大事なのだけど、締切に囚われずに、ゆっくり育ててあげるのも大切な気がしているのだ。そして、出した色は残さず使う。これが私の絵を描く時、一番大切にしていることかも知れない。
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