R1(2019)_Ⅱ_2_3(温暖地域のひび割れ補修)

注意事項

・答案例の文字数は技術士解答用紙の文字制限を満足しています。
・答案例は,既往の技術図書等や過去に私自身がA判定を頂いた記載例を参考に記載していますが,仮に同じ問題が出た場合に,本答案例をそのまま記載した場合においても、A判定を確約するものではありません。あくまで参考としてください。本コンテンツ使用に伴い損害が発生した場合においても,一切の責任は負いかねます。
・可能な限り公表されている技術図書や記載している参考文献先を確認しながら書いていますが,記載の内容に技術的観点からの誤り等がありましたらご連絡下さい。事実確認後,必要に応じて返金対応等致します。
・より優れた記載内容等がありましたら,補足等に追記していきたいので,有意義なご連絡お待ちしています。
・無断での複写、転載を禁じます。

問題

Ⅱ-2-3 温暖な海岸地域にある鉄筋コンクリート構造物に錆汁を伴うひび割れが見つかった。耐久性を回復させるために補修計画の策定を行うこととなった。あなたが担当責任者として業務を進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

参考文献

・土木学会:コンクリート標準示方書「維持管理編」
 P107 2章 中性化
 P131 3章 塩害


ポイント!

 技術士頻出の維持管理の問題です。維持管理の業務手順については,別記事答案作成分析③コンクリート標準示方書「維持管理編」に基づく維持管理の手順にもポイントを記載していますので確認頂ければと思います。
 維持管理の問題のポイントは,近年土木学会では「水」の処理について特に注視しています。(2018年制定のコンクリート標準示方書「維持管理編」にも水がかりの区分が新設されていますね。)そのため,水がかりに関するコメントは記載したほうがよいかと思います。
 本問題では,「温暖地域の海岸」という場所の指定がありますので,塩害をメインに記載するとよいかと思います。(凍結防止剤散布の有無の確認とかもいらない気がします。)
 また,この年から(3)が関係者との調整方策を述べる内容となりました。関係者は自分の想定する立場によって変わりますが,今回は,調整相手を「設備管理者」と,「地域住民」として記載します。
 劣化要因に応じた調査項目や,維持管理の手順は,上記参考文献に細かく記載されていますので是非ご確認下さい。参考文献を基にした骨子も記載してみましたので是非確認頂ければと思います。文章化が手間な方は,下記骨子に納得頂ければご購入ご検討頂ければと思います。


骨子


(1)調査,検討すべき事項とその内容
机上調査:技術図書確認,かぶり,配筋,材料,経年
目視打音調査:ひび割れ,浮きの範囲,水がかり,施工時の調整項目
詳細調査:非破壊検査で実かぶり,配筋,コア採取で中性化,塩化物イオン濃度,自然電位で腐食範囲
(2)業務手順と留意点,工夫点
業務手順:①机上調査,②目視調査,③詳細調査,④劣化要因の推定,⑤劣化の予測,⑥性能の評価,⑦補修工法の選定,⑧施工
留意点,工夫点
①,②:技術図書が無い場合の工夫と(1)の項目を調査
③,④:環境条件踏まえ,中性化と塩害の複合劣化に留意,外的な塩害の有無は塩化物イオン濃度の表面からの分布状況で確認,海砂使用による内在塩分が中性化によって濃縮している可能性も留意
:複合劣化の場合,予測は安全側に設定
⑥,⑦:塩化物イオン多い場合はマクロセル腐食に留意して補修範囲を選定,残存予定供用期間を考慮して施工後の予防保全措置にも工夫
:水の供給を抑制するため,排水不良等は施工時に併せて対処
(3)業務を効率的,効果的に進めるための調整方策
地域住民:施工への理解を得るため,低騒音型建機の使用,仮置く資材の飛散防止,公衆災害防止
管理者:LCCの算定を提示,複数の補修候補を提案し,予算に応じて選定できるようにする

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