SUPER BEAVERと観音日和
M-1グランプリ2022、YouTubeで公開されている1回戦の動画を眺めている中で、1組のコンビが目に留まった。「観音日和」、東京会場で8月3日に行われた予選をトップで通過した漫才師だ。
このインパクトあるサムネイルの2人こそが観音日和――築山と工藤である。共に修行を積んだという、本物のお坊さんによる異色のコンビ。その持ち味を存分に生かした2人の漫才に、期待感が止まらない。
この度のM-1の予選動画によって見つけたばかりのコンビなので、その存在を知ってからはまだ日が浅い。しかしながらYouTubeに上がっている漫才は40本を超えており、これは間違いなく好きな感じのやつだなと、夏の休暇の後押しもあり、動画を漁り始めるまでにさほど時間はかからなかった。
お盆の時季に僧侶の漫才にハマるとは、一体何の因果といえようか。彼らの言葉で形容するところの「ナムい」にあたるのかどうかはさておき、自分の世界に新たな風が吹き込み、新たな「好き」が始まっていくワクワク感は、刺激的にして久しい。
仕事の上での泣き言はあまり書くまいとは思っていたのだけれど、ここ数カ月、いささか苦しいシーズンが続いている。期限つきとはいえ、錚々たる(そうそうたる)顔ぶれの中にぽつりと、身の置き所のない現場はなかなかに堪える。小さくなりがちな気持ちが、「好き」を見つけた。そのことに対する安堵もあった。
プレイリストの中にあるSUPER BEAVERの「予感」が刺さる。
予感のする方へ 心が夢中になる方へ
正解なんてあって無いようなものさ 人生は自由
今 予感のする方へ 会いたい自分がいる方へ
人の目なんてあって無いようなものさ 感性は自由
名も無き感動に 感情に 思うがままに名前を付けていこう
シングル「予感」より「予感」(2018)
気持ちが楽になるものを大切にしていいのだと、背中を押されたような感じがした。「予感」ということばの曖昧性にも救われた。整然と説明できるものばかりが正しいのではなく、不確かなものであっても、それに向かうことがあっていい。
人生は自由――そういわれたところで、置かれた場所を即座に発つ勇気はない。小さくなりながら、今は耐えるときだ。されどもその道中、気づいたら手の中にあったもの――その握りしめたものこそが「予感」。名も無き感動の結晶である。
あとがき
「どうあったって 自分は自分で どうやったって 誰かにはなれない」。なれやしない誰かにならず、得意なところで勝負がしたい。その環境の得難さを、日々痛感するこの頃です。
さて、8月16日・北沢タウンホール「ホリプロお笑いライブ夏スペシャル2022」、出演者多数で楽しいライブでした。初めて見る芸人さんもたくさんいて、中でも一組、「まんざらでもねぇ」のコントに出会い、立て続けにハマってしまいました。
「まんざらでもねぇ」もホリプロコムのYouTubeに動画がたくさん上がってます。純度の高いエンターテインメント、すごく好きな感じです。
「好き」が「好き」を連れてくるから、大げさながら、人生って捨てたもんじゃないなと思います。楽しい「予感」は、ちゃんと当たっていた。観音日和とまんざらでもねぇ、軸は違えどそれぞれの味をしっかり持っているこの2組、私の中ではこの夏一番の収穫で、さらに多くの人に見つかるのも近い気がしています。
出典
[1] YouTube「8/3 [東京] 観音日和/アケガラス/ちゃんぴおんず【1回戦TOP3】」(2022.8.5)
https://www.youtube.com/watch?v=9FWB5DCFowE
[2] YouTube「観音日和「出待ち」(2022.7)」(2022.8.15)
[3] SUPER BEAVER (公式Webサイト)
https://super-beaver.com/
[4] YouTube「SUPER BEAVER「予感」MV」(2018.11.6)
[5] ホリプロお笑いライブ(公式Webサイト)
http://com.horipro.co.jp/lives_owarai/
[6] YouTube「まんざらでもねぇ「うどん屋」(2022.7)」(2022.8.7)
https://www.youtube.com/watch?v=JMHl1Hm23Ec&list=PLvOjz4eJEXm9UaJa45_M6HpSvm1DQ7Y6i