モータースポーツとキングオブコント
TBSテレビ「お笑いの日2020」。8時間の生放送も半分を過ぎ、「キングオブコント2020」の決勝戦が目前に迫っている。
うるとらブギーズ、空気階段、ザ・ギース、GAG、ジャルジャル、ジャングルポケット、滝音、ニッポンの社長、ニューヨーク、ロングコートダディの10組が出場。賞レースについてのスタンスは、以前の記事で書いたばかりなので割愛する。盛会になればいいなあと、数時間後を楽しみに待つ。
テレビをぼんやりと眺めながらそこはかとなく過ぎる土曜の午後。そういえば同僚は、今日がご令嬢の運動会なのだと言っていた。まさに絶好の日和であるなあと、完璧すぎる青空を見上げて思う。
日中の暑さもやわらいで、朝晩には涼しさすら感じられるようになってきた。暑さも寒さも感じない、ただ風の動きだけがビルの影の中にある昼下がり。足取りは自然と軽くなる。
これだけ気候が良いと、叶わぬことと思いながらもどこかへ行きたくなる。秋晴れの日、恋しくなるのはエンジン音の響くモータースポーツの会場だ。鈴鹿のF1だったり、幕張のエアレースだったり、そういう場所で過ごすスペシャルな週末が懐かしく思い出される。テレビの中継も悪くはないが、やはりこういうものは現地で味わいたい。お祭りムードに彩られた会場で、日差しを浴び、ファーストフードを頬張りながらそのときを待つ。メインイベントが始まる頃にはいい具合に日も落ちて、早起きのせいもあって少し気だるい。ぼーっとした頭に、けたたましいエンジン音が鳴る幸せ。明瞭ではない思考の中を、疾走するマシンが縦横無尽に突き破り、駆け抜けていく。
レーシングカルチャーは洗練されていていつだって美しい。スタイリッシュにデザインされたグッズやバナーが競い合うようにひしめく、そんなカラフルな景観が私は好きだ。国際試合などではない、地方の小さなイベントであっても、ラッピングされたパドックやワークスの配るフラッグを見ると胸が高鳴る。過酷なレースを一人でひた走るレーサーたちに向けられた、いくつもの思いであり、願い。旗を掲げるというこのシンプルなカルチャーは、古典的ながらなかなかに熱い。
同じ熱さを感じたのが、キングオブコントのタイムラインだ。8月14日・15日・18日に、準々決勝をやっていた。138組が進出した準々決勝、それぞれのコンビのインフォメーションアカウントが、出場日とグループを発信していく様は壮観だった。それに呼応するかのような、絶えない応援のツイート、意気込みを語る出場者、観戦レポート――18日の夜にはもう準決勝進出者が発表されるとあって、タイムラインが活発な賑わいを見せていた。席数が限りなく少ない賞レースにあって、静かに、されども止むことのないインターネット上でのムーブメントに、祭りの活況をひしと感じたのだ。
パドックで見守るサポーターの心遣い。思い思いの小旗で揺れるタイムライン。悲喜こもごも、無数の感情を詰め込んで、スタートのシグナルがいよいよ灯る。
あとがき
モータースポーツ、特にレースが好きです。周回を重ねながら、それぞれの走りが出てくるレースの中盤。後方にいるレーサーが、前方のマシンをまさにとらえて刺そうとする瞬間に痺れる。鈴鹿のF1もそうですが、今年は開催できていないものが多くてなんだか元気が出ません。日差しを浴びる暮らしを普段は全然していないので、ちょっと観戦しただけでもぐったりするのですが、その疲労感が恋しい。食欲の秋、芸術の秋と、秋は色々ありますが、私は断然モータースポーツの秋です。現地観戦が一番気持ちいいシーズン、本当にもったいない。楽しいことを見つけながら、心静かに過ごす日々です。
出典
[1]キングオブコント2020 (公式Webサイト)
http://www.king-of-conte.com/2020/