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コミュニティのオンボーディング課題|6つの分類と解決策

こんにちは、コミュカル Mitzです。
コミュニティのオンボーディングについて課題や問題を感じたことはありますか?
「新規メンバーがコミュニティの活動に積極的に参加できず、孤立している」「古参メンバーと新規メンバーとの間に溝が生じ、協力しあう体制やチームワークが低下している」「いくら新規メンバーが入っても、毎回徐々にコミュニティから離脱してしまう」
こんなお悩みの声が届くことがあります。

2024年7月17日開催のコミュワンのイベントでもコミュニティのオンボーディングがテーマになっているので、ここでも簡単に解説してみたいと思います。

※補足|コミュカルでは常時20以上の企業からコミュニティ企画推進の仕事を受けており、趣味系からビジネス系まで様々なコミュニティの推進に関わっています。また、年間100回以上イベントを実施しています。今回お話するのはそんな知見をベースにしたお話です。


まずは大前提

コミュニティマネージャーからオンボーディングの悩みを受け詳細を聞いた際に、「それ、そもそもオンボーディング以前の問題では…」ということが多々あります。
オンボーディングの成功云々の前に、以下のような問題がないことが大前提となります。

問題① そもそもコミュニティの関心軸に対する意識やコンテンツ品質が低い

コミュニティで扱っている各種コンテンツ・テーマ・プラットフォーム自体の品質やそれに対する意識が低く、参加者が満足しない場合、どれだけ効果的なオンボーディングプロセスを構築しても、新規参加者どころか参加者全体の定着は難しいです。
■解決方法
コミュニティで扱うコンテンツについての市場調査、競合調査、運営メンバー複数名でのレビュー、参加者からのフィードバック収集を定期的に実施し、コンテンツの質を維持・向上させる。

問題➁ そもそもコミュニティのテーマや文化が適合していない

これはコミュニティ側が良い悪いではありませんが、そのコミュニティのテーマや文化が新規参加者に合っていない場合、どれだけ効果的なオンボーディングプロセスを構築しても、新規参加者の定着は難しいです。
「多くの方に届くテーマ、様々な方を受け入れる多様性な文化に変えよう」と言うのは簡単ですが、そもそもテーマや参加対象者の属性が固まってコミュニティが形成される場合がほとんど(そしてそれらによって文化が形成される)であり、それらを後から修正するのは一般的には困難です。
■解決方法
コミュニティのテーマやどういった方を参加者としてどういった文化を形成するのかはあらかじめ明確に策定し、それを参加者候補に明示する・理解いただくプロセスを設ける。また、テーマや文化に適合する参加者に選別するプロセスを設ける。

問題③ そもそもコミュニティ運営者の適性が低い

コミュニティのテーマや文化が参加者に合っていたとしても、そのコミュニティの運営者の人間性に問題がある、または性格が運営者として適合していない場合、参加者は安心してコミュニティに参加できず、いずれそのコミュニティから離れてしまう場合があります。
■解決方法
そのコミュニティに適した(必要とされる)運営者の定義を明確にし、コミュニティ運営者の適性を評価する。また、必要に応じてトレーニングやサポートを提供できる仕組みを構築する。

いかがでしょう?上記3つの問題に当てはまる箇所はありませんか?
オンボーディングを考える前にこれら問題に当てはまらないことが大前提です。

オンボーディング課題の6分類

オンボーディングの課題自体は細かく語り始めるとキリがありません。
オンライン上でのコミュニティなのか、物理場所でのコミュニティなのか、B2Bコミュニティなのか、B2Cコミュニティなのか、趣味コミュニティなのかなどなど、コミュニティのパターンによっても課題や解決方法は変わってきます。
今回、ある程度多くのコミュニティパターンに当てはまる課題に絞り、それを6つの分類に分けてみました。

情報不足・不明瞭な指針
コミュニケーションの障害
技術的な障害
心理的な障害
役割と期待の不明確さ
浸透しない文化や価値観

この分類のワードを見ただけである程度想像がつくかと思います。この時点で「あ、ウチのコミュニティはこれが問題だ」と感じる方も多いはず。

次にこの6つの分類についてどんな問題が発生するのかどういった解決策があるのかを簡単に解説します。


情報不足・不明瞭な指針

■状況
新規メンバーが必要な情報を迅速に取得できない状況

■問題
新規メンバーが必要な情報を迅速に取得できず、コミュニティのルールや期待される行動が不明瞭であるため、適切に行動できない。

■解決方法
・ウェルカムパッケージの提供
新規メンバーに対して、コミュニティのルール、目標、重要な連絡先、役立つリソースを含むウェルカムパッケージを配布する。
・ガイドラインの整備
コミュニティのルールや期待される行動を明確にしたガイドラインを作成し、常にアクセス可能な場所に掲示する。
・オリエンテーションセッション
定期的にオリエンテーションセッションを開催し、新規メンバーがコミュニティの構造や運営方法について理解できるようにする。

コミュニケーションの障害

■状況
新規メンバーと運営メンバーや古参メンバーの間のコミュニケーションが不足している状況

■問題
新規メンバーと運営メンバー・古参メンバー間のコミュニケーション不足により、 新規メンバーが情報を入手できず、発言もしづらい環境

■解決方法
・メンター・メンティープログラム
新規メンバーに古参メンバーをメンターとして割り当て、定期的なサポートを提供する。
・コミュニケーションチャネルの設定
新規メンバー専用のチャットグループやフォーラムを設け、気兼ねせず質問やフィードバックを自由に投稿できる場を提供。
・交流イベントの開催
新規メンバーと古参メンバーが交流できるイベントを定期的に開催し、関係を深める機会を増やす。

技術的な障害

■状況
新規メンバーがコミュニティで使用しているツール(ITツール)の使用に苦労している状況

■問題
新規メンバーがツールの使用方法を理解できず、参加や投稿などのコミュニティ内アクションが難しくなっていてアクション量が減る。

■解決方法
・初学者向けマニュアルと動画ガイド
ツールの使用方法を説明するわかりやすいマニュアルと動画ガイドを提供する。
・ワークショップの開催
新規メンバー向けにツールの使い方を学ぶワークショップを定期的に開催。 ・リアルタイムサポートの提供
イベントや活動中に技術サポートを提供し、トラブルを迅速に解決する。

心理的な障害

■状況
新規メンバーが自己表現や意見を述べることに対して不安を感じている状況

■問題
新規メンバーがコミュニティ内での自己表現や意見を述べることに対する不安から、積極的にアクション(参加・投稿)できない。

■解決方法
・心理的サポートの提供
新規メンバーが安心して参加できるように、モデレーターや心理的サポートスタッフを配置。
・サポートグループの設定
新規メンバー同士で交流し、共感やサポートを得られるグループを作る。
・肯定的なフィードバックの奨励
新規メンバーの貢献や意見を積極的に称賛し、自己表現のアクションを後押し(促進)する。

役割と期待の不明確さ

■状況
新規メンバーが自分の役割や期待される行動を理解していない状況

■問題
新規メンバーが自分の役割や期待される行動を理解できず、どのように貢献すればよいか分からない。

■解決方法
・役割の明確化
新規メンバーに対して、具体的な役割と期待される行動を明確に伝えるドキュメント(テキスト・動画)を用意する。
・初期イベント|プロジェクトの提供
新規メンバーが参加できる小さなイベントやプロジェクトを提供し、役割を理解しやすくする。
・定期的なフィードバックセッション
役割や期待に関するフィードバックを定期的に行い、メンバー自身に役割と自身の評価を考える場を作ることで理解を深めさせる。

浸透しない文化や価値観

■状況
コミュニティの文化や価値観が新規メンバーに伝わらない状況

■問題
新規メンバーがコミュニティの文化や価値観に適応しづらく、居場所を感じられない

■解決方法
・文化オリエンテーション
コミュニティの文化や価値観を紹介するカジュアルなイベントやオリエンテーションを開催し、新規メンバーに理解を深めてもらう。
・ダイバーシティ&インクルージョンの促進
コミュニティ全体で多様性を尊重している旨を明示し、それに則した発信やイベント、包括的な環境を醸成するための取り組みを検討し実施する。
・文化適応プロセス
新規メンバーがコミュニティの文化に馴染むための支援プロセスや支援プログラムを構築する。(前述のメンター・メンティー制度に組み込む、既存イベントにおいても毎回冒頭で周知する等)


これまでのお話に「注意点」も付与して一覧にしました。
合わせてご覧ください。

いかがでしたか?
思い当たるものはありましたか?
ただし、冒頭にも書きましたが、オンボーディングの課題はこれが全てではありません。今回はあくまで、比較的良く起こりうるものに限定して紹介しました。
また、ここで挙げた解決方法は全て一例に過ぎません。そのコミュニティに合う解決方法が必ず存在ます。もしオンボーディングで悩み、その解決方法を見いだせないコミュニティ運営者がいるなら、まずコミュニティの大前提を洗い直し、参加者の視点でコミュニティの問題を見つめなおした方が解決への近道になる可能性も高いです。

最後に

コミュカルはテクノロジー×コミュニティ×メディアのプロフェッショナル企業として活動しています。
コミュニティを事業成果にどう繋げるべきか・そもそも企業としていま取り組むべきことがコミュニティなのか等を判断する際のアドバイザー・コンサルティングだけでなく、実際にコミュニティを運営する際の適切なコミュニティマネジメント、再現性を意識した推進を得意としています。
わたし Mitz 自身もコミュニティのプロフェッショナルとして様々なコミュニティ運営者からの相談に1on1で答えています。お悩みや相談のある方、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。

コミュニティやコミュマネについて質問に答える・解説するYouTubeチャンネルもありますのでぜひご覧ください👇

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