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ハラハラ・タイムアタック【#心の柔軟体操】
フライトまで時間は充分にある。焦る必要はない。ただ、終電で向かうには若干心許ない。台風も来ている。直感的に搭乗が早まる気がした。
残りは夏休み明けにしよう。
パソコンを閉じて、職場をピュンと飛び出る(前に、上司にペコペコしてきた)。慣れ親しんでいるからと、ちゃんと支度をせずにいた。
ま、足りなかったら買えばいいし。地元と同じくらい、どこに行けば何があるのか手に取るようにわかる。
それにしても、冷蔵庫の整理が不完全だった。残った野菜をえっほら洗って、えっほら切って、えっほらジップロックに入れて、冷凍室に収めた。
洗濯も回しておこう。お急ぎモードは、こちらが驚くような、もし途中で蓋が開いたらすべてすっ飛んでいくような勢いで回る。二回回せた。よしよし。
宙ぶらりんだったパッキングも、それとなく形になった。帰り際に駆け込んで買ったお土産も収まった。最大限、荷物を増やしたけど、トランクには余裕がある(お土産を渡せば、さらに空く)。
SMSが届く。なんと、直感は大当たり。フライトが前倒しになった。素晴らしき野性の勘!
地下鉄に滑り込む。通勤路なのに、乗り過ごしかけた。平常心。乗り換えた電車から、夜が更けた東京に目を凝らす。
いっときは、骨を埋めるつもりでいた場所に、旅行者として訪れる。あちこちの風景を心の中で想起するだけで、眼の底がゆらゆらと揺れる。
心がコップ状だったら、すすすと水位があがる感じ。もうちょっとで、表面張力が。
元からそこの人じゃなかったけど、もうそこの人ではない。これから先、二度とそこの人にならないわけではない。だろうけど、可能性は限りなくゼロに近い。
振り向いても、そこにあるのは思い出だけ。その思い出も、少しずつ壊れていく。生々しい思い出ほど、足は早い。バターたっぷりの焼き菓子が、端の方からホロホロ崩れる様子がぼんやり浮かんできた。
思い出が思い出のうちに、慈しんでもいいよね。
感傷に覆われて、呼吸が鈍る気がした。電車は定刻どおり、空港に私を運んでくれた。
日付:2019年9月6日(金)、執筆時間:約30分(手直し10分)、場所:空港、音楽:なし
振り返り:もう二度と戻れない日々に思いを馳せてみた。土日はお休みです。
毎日、仕事の休憩時間にエッセイ?を書き続けている方をとてもリスペクトしており、毎日ではなくとも書いてみようと思い立ってみた(と言いつつほぼ毎日投稿です)。#心の柔軟体操 と名付けてみた。本当は心の筋トレにしたかったけど、既出だったので。出勤か退勤時に書ければいいな。