ド田舎のコーヒー。
ド田舎に来たからこそ気が付く、それは別に何も困らないということだ。あと、たまにコーヒーが異常なくらい苦いこと。
暮らしだした家には共同の洗濯機しかないし何よりボロい。バイクは2㎞進むために10回くらいエンストする。道はガタガタで歩くと少し足が痛くなる。都会に住んでいた時は消えるボールペン「フリクション」を使っていたので、10キロ以上離れた文房具屋を3件ハシゴして探したが、結果見つけることができなかった。でも、日常生活に大きな変化や不便はない。
20mに1人はコーヒー売りが居て喉が渇くことはまずないし、タクシー移動は多いが1分に1回は乗るチャンスがある。コピー機は滅多にないが、別にコピーやFAXは生きるのに全く必要ないと知る。
朝早く満員電車に飛び乗り、深夜に帰宅して、今何をやっているのか全く分からないまま胸が締め付けられるように暮らしていた頃を思い出す。毎日のように送られてきた画像と数字で、見やすいキレいな表を作った。誤字がないか10回は確認して提出した書類は、何が悪いのかシュレッダーで粉々になる。上司の機嫌がいいと、「素敵な1日だ!」と思って家に帰って寝る。
もうお腹いっぱいだったのに、毎日摂取したショウライノタメノジカン。喉が渇いた時にだけ届く、やけに苦いコーヒ-が胸を通る度に「そういえば最近胸が苦しくない」と気が付くんだ。
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