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#6 ドリブルとはなにか。

ドリブルと言えばだれを思い浮かべるでしょうか。

世代や好みによって挙げる選手が変わりますね。
僕はロナウジーニョに憧れがありました。世代で言えばメッシ・ネイマールのど真ん中ですね。

今回はドリブルについて詳しくお話します。
といっても、保護者の方向けなのでじっくりいきます。



目的はなにか

ドリブルに限らず、テクニックアクションとは目的に対する手段でしかありません。

ドリブルについて語る前に、攻撃について解説します。
攻撃の最終目的はゴールを奪うことです。ほかにもありますが、
ここでは、ゴールを奪うこととします。

そのためにとる戦術的なアクションの意図は、
・シュートを打つ
・前進する
・ボールを保持する

そこに、シュートを打つためにドリブルするなど初めてテクニックアクションが登場します。
ですから、ここでは手段の目的化がおこらないように気をつけます。

2+1種類のドリブル

ドリブルと言っても相手を抜くだけがドリブルではありません。
ここからは、ドリブルの種類とどのような状況で使われるかを解説していきます。

抜くドリブル

抜くドリブルとは

皆様がイメージするドリブルはこの抜くドリブルかと思います。
最近だと、ヴィニシウス・ジュニオール選手やニコ・ウィリアムス選手、
三苫薫選手などがよく試合中に抜くドリブルをしていますね。

抜くドリブルの参考として動画を貼っておきます。
1:36~のシーンから始まります。
そのシーンのシュートを打つ選手のプレーはまさに抜くドリブルです。

その次のシーンはのちに紹介する運ぶドリブルというやつです。

この2つ、何が違うのかと言いますと、人に向かっているか否かです。
相手に向かってドリブルしていたら抜くドリブルです。

抜くドリブルの目的

抜くドリブルの目的は目の前の相手を突破すること、フィニッシュすることです。
何を当たり前なという感じですよね。

ただ、目の前の相手を突破しようとすることはボールを失うリスクも大いに伴います。成熟した選手たちの試合では、抜くドリブルが登場するシーンは限定されます。

相手が引いて守っているときのサイドやカウンターのシーンに多く見られます。

このようなシーンですね。

限定的なシーンで使われるテクニックアクションです。パスやオフザボールの動きやマークなど他のテクニックアクションの方が頻度としては多いです。

ドリ塾否定派の方がよくあげる理由ですね。
あ、僕はドリ塾否定派ではないです。メリットとデメリットが存在するだけなので。ドリ塾もピンキリですし。

使えない、という方がいるのに対して、使える!と反論しているのをよく見かけますが、それはちょっと反論がずれてますね(笑)

実生活で平方根の計算なんかは使いませんが、数学を学ぶことで論理的思考力を身につけることはできます。

それと同じで、細かなフェイントと沢山練習することで、ボールを触る回数が増えてボールコントロールの力の入れ具合や動きの連結等のコーディネーション能力が鍛えられるかもしれません。

直接身につけるのではなく間接的に身につける、というか身についていたというほうが正確ですね。

余談でした。

抜くドリブルの目的は目の前の相手を突破することと先ほど書きましたが、それは小目的にしかすぎません。
相手ゴール前の大目的はゴールを奪うことです。

つまり、プレーとして抜くドリブルを選択するということは、まだシュートを打てない、クロスが放てないから抜く必要があるのです。

打てるのに相手を待って抜き始めるなどは、これは手段の目的化が起きてしまっています。本末転倒です。

相手ゴール前にボールが運ばれたとき、優先したいアクションはシュートです。
抜くよりも先に打てるなら打ちます。


また、限定的なシーンということで抜くドリブルを使わずに試合を終える選手は多くいます。

逆に、抜くドリブルを使うポジションは限られ、サイドの選手か稀にFWの選手も使います。

それくらい抜くドリブルを使うシーンは少ないです。

しかし、育成年代では特に軽視できません。
まあ、軽視できるものなんてほとんどないんですけどね(笑)

ボールコントロールができれば抜けなくても問題ありません。
ボールコントロールがいまいちな時は手っ取りばやくドリブルを練習することもあります。まずはドリブルしてみ?から。自分の思い通りにボールとカラダを扱ってみ?のように。

ドリブラー

ドリブラーという言葉。
ストライカーと同様に選手の特長を表した単語です。

ドリブルが上手くて、ドリブルによってチャンスを生み出したり、得点に結びつけたりするプレーが得意な選手。

僕の考えでは、誰でもなれるわけではありません。

ドリブラーと呼ばれる選手は抜くドリブルをよく使うポジションにセットされることが多いです。つまり、サイド。

サイドは、比較的大きなスペースをカバーするために身体的スピードを要求されます。

とすると、身体的スピードのない選手はドリブラーとして登場しづらくなります。

小学生のころにサイドを務めてドリブラーと呼ばれていても、スプリント能力が低い選手は中央にポジションを変えることが多いです。

すると、中央で抜くドリブルを使う場面は減り、ドリブラーではなくなるケースがほとんどです。

なぜ、使う場面が減るか。
有効じゃないから。スペースが小さく、難しいから。

3つのドリブルのうち、ほとんどは運ぶドリブルもしくはボールプロテクションになります。

抜くドリブルのキーポイント

相手と自分の間にスペースがあるときは相手に向かって仕掛ける

え、普通じゃんと思うかもしれませんが、意外とできていない選手が多いです。

com soccer schoolの練習のなかではほかにも伝えます。
ただ単に、ドリブラーに育てたいだけで教えるわけではありません。

プレイヤーとしてできないことは少ないほうがいいので、抜くドリブルにもストレスがないようにしたいです。

運ぶドリブル

運ぶドリブルとは

スペースに向かって行うドリブルです。
その意図は、前進する、引き付ける、近づくなど多岐にわたります。

具体的にどんな場面で使うか紹介します。
以下の図を見てください。

2vs1の場面

赤のボールホルダーがフリーです。味方は相手に監視されていますね。
この時、ボールホルダーは前方にスペースがあるため、前進を狙います。


すると、相手はドリブルでの前進を阻止するためにボールホルダーに引き付けられます。

この時、先ほどまで相手に監視されていた味方がボールホルダーよりも時間とスペースを持ったフリーな選手となります。

この状況で、相手に突っ込まない、パスとドリブルどちらでも選べる程度のスピードであればパスを選ぶことができます。

そして味方がドリブルで前進します。
相手のDFを置き去りにできます。

運ぶドリブルのほんの一例でした。


パスワークが印象的なイニエスタ選手やシャビ選手がいたころのFCバルセロナは、実はパスを出す前の運ぶドリブルが巧みです。

パスで前進しているように見えて実はドリブルで前進できるところをパスによって探していることが多いです。

ドリブルがあるからパスがあるんだよ、と言われる所以はここにあります。

砕いて言えば、ドリブルでの前進はフリーなボールホルダーを作れているということ。それをパスによって叶えています。

イニエスタ選手は運ぶドリブルが上手です。
抜くドリブルはそれほど多くありません。

あと、僕がチームを率いるときは運ぶドリブルをCBやSBにも求めることが多いです。

https://youtu.be/1q40d2sdVt8?si=hVM9qDb0eyhP6rVN


運ぶドリブルのキーポイント

身体的なポイントだけ挙げます。
姿勢を起こしてスピードを上げすぎないようにドリブルすること
特に低学年はスピードが上がりやすいためゆっくり行うこと


ボールプロテクション

ボールプロテクションとは

ボールプロテクションというのはボールを守るという意味です。
ボールキープとほぼ同じ。

ボールプロテクションの目的はボールを失わないことです。
ボールを奪いにくる相手に対して背中を向けて、体と腕で相手をボールから遠ざけながらボールを守るあれです。

これはシャビ・エルナンデス選手がめちゃくちゃうまいですね。
良い動画がありました。

くるくる回ったり、奪いにきた相手に背中を向けてくるっとしたりするのがボールプロテクションに当たります。

先ほどのイニエスタ選手の動画でも多く出ましたね。
特に02:02~のプレーは上手なボールプロテクションですね。

ボールをすぐ取られてしまう!という悩みのある方は、ボールプロテクションを頑張ると良いかもしれません。

ボールプロテクションのキーポイント

・腕を使って相手との距離を測り、遠ざける

です。もちろん1つではありませんが、ブログではここまでにしておきます。

おわりに

ドリブルが苦手と聞いていた選手を見て、抜くことはできないけど、運ぶこととボールプロテクションは上手じゃん、となることはしばしばあります。

反対に、ドリブルが得意です!と言っている選手を見て、抜くドリブルを選択する場面が微妙だなとか、あれ抜いてないよなほぼ運ぶドリブルだなということもしばしばあります。

どれも大事なテクニックです。
そのため、どれかが大きく秀でることは望ましくても、どれかが著しく欠落していることはまずいと思います。

某ドリ塾と言われるところは、僕が見る限りスペースのない状況での抜くドリブルをひたすら特訓しているように映ります。

否定じゃないですよ!実際に練習を見たわけではないので!

ただシチュエーションを想定した練習という意味では、事実としてかなり偏った場面のトレーニングになっています。

リアリティは薄いですね。
ただ、副産物として得られるものは沢山あると思います。

あと、プレーの結果がわかりやすいですよね。
抜けたか抜けてないかは子どもたちで評価できます。

そのような点で自信がついたり、やる気が湧いたりするかもしれません。

サッカー始めたては特に重要ですね。

最後に、ドリブルで相手が抜けないからといって過度に落ち込む必要はありません。

抜くドリブルパートで説明したように、抜くドリブルは使う場面が限定的です。

プロの試合は特にそうですね。

抜くドリブルが苦手な人は、いつどのようにドリブルを使うかを身につけるとすらすらと抜けていくことができるかもしれません。

グッドプレイヤーへの道筋は一本ではありません。
自分はどのルートから上手くなってやろうか、企み楽しみましょう。


今回もご精読ありがとうございました。

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