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月収30万円からの転落 ~ 実録 『都会難民』

自分は頭が良いと思っています。

いや、思っていました。
自分の今の生活レベル、収入状況、人間関係、休日の過ごし方、趣味等を、冷静に、正常性バイアスをぶち壊して、振り返った時に初めて気付きました。

自分は、かなり崖っぷちだ。そして、頭の良い人間だったら、こんな状況には陥っていない、と。

私は、都内に住む32歳のサラリーマン(男性)です。

現在の手取り月収約16万円、年収ベースでも300万円に到達していません。
結婚はしており、妻は私より年上で、収入も少しだけ高いので、共働きでなんとか生活しています。

こう見えて(どう見えているか分かりませんが)、ルックスは中の上くらいです。

自分が頭が良いと思い込んでいた理由の一つは、バイリンガルだからです。
高校卒業してしばらくしてから、2年ほど留学しています。大学ではなく、海外では一般的な短大(コミカレ)です。
勉強は頑張ったので、英語はもちろん話せますし、読み書きも問題なく、首席とまでは言いませんが、真ん中よりは少し上くらいで卒業できました。

帰国後は、住み込みで働きたかったので、リゾートバイトなどをして過ごしました。
20代前半の当時は、お金がなくても、若さと、帰国子女ということで、チヤホヤされていました。
財布を持たずに飲みに行ったこともよくありました。同性の先輩や、少し年上の異性からも可愛がってもらいました。

それを拗らせてしまい、今に至ります。

20代半ばを過ぎ、転機が訪れます。
知人の紹介で、外国人観光客向けのお土産物店で働かないかと声をかけられました。
たいしてまともな職歴もなかった私に、月に手取りで30万、売り上げがあがったらボーナスあり
という当時の私には破格の条件でした。

友人からも、リゾバなんかしてるより、せっかく英語が話せるんだから、それを活かした仕事に就く方が良いよ!
と指摘されていました。言ってもらえている内が華だったなとつくづく思います。

実は、帰国してすぐにも、外資系企業での就労を考えていたときがありました。
海外の新年度は、9月スタートが多いので、卒業後、帰国してから日本での新年度の4月までは、新卒扱いを受けられる、留学組特権のようなものがありました。
その間に、外資系企業でのインターン体験をしてみました。

「ヘイ、マイク!調子どうだい?昨日頼んでおいた資料できた?もうちょっと?OK!OK!お昼までに持ってきてくれ!」
(マイクは仮名)

みたいな、馴れ馴れしいよく分からないやり取りに呆気に取られ、なぜか自分の中で、『英語を使って働くのはなんか嫌だな…』という感情が生まれていました。

今になって分析すれば、語学の問題ではなく、外資系企業にありがちな実力主義で、人を騙してでもお金を稼いだもん勝ち!みたいなガツガツした感じが嫌だったんだと思います。
(インターンで行った企業は悪徳企業ではなかった、はず。)

そんな経緯があったので友人から、英語を活かした仕事への転職を勧められても、頑なに断っていました。

今回のお土産物店に関しては、こんな良い話は他にはない!
英語を活用する職場ではあるが、日本の会社だし、福利厚生もしっかりしている!
と、すぐさま快諾し、採用通知をいただきました。

この時私は他県にいたので、初めての東京暮らしがスタートです。
通勤で満員電車に乗るということは考えられなかったので、職場のすぐ近くにマンスリーマンションを借り、意気揚々と新生活をスタートさせました。

数ヶ月が経ち、お金も貯まったので、賃貸に引っ越すことにしました。
新宿区内で、駅まで徒歩7分、2DKで8万5000円。

この時、初めて一人で物件を借りるということをしましたが、初期費用に40万もかかりびっくりしました。
ただこの時は、毎月30万が黙っても入ってくるんだし、大丈夫だろう!
と甘く考えていました。

新居に移り半年も経たないうちに、上司から真剣な顔でランチに誘われました。
上司とはたまにランチに行ったり、良好な関係を築けていたと思います。
この時ばかりは、何か言いにくいことがあるのだろうと咄嗟に察知しました。

話を聞けば、一ヶ月後に店を畳むことが決まったとのことでした。
土産物店は親会社の新規事業で、初めてのことだから見通しは鮮明ではないが、2年くらいは黒字になるまで時間がかかることを見越して立ち上げたそうです。
親会社は、輸入出を行う貿易事業を主体とする会社で、20億くらいの売り上げがあることは入社時から知っていました。
ところが、為替の影響で母体の事業が一気に傾き、このままでは新規事業どころではなく、苦渋の決断として、不必要な固定経費は全て解約し、業績回復に注力するという経営判断が下されました。

売り上げは少しずつ伸びてきていたので、実際2年あれば採算分岐点は突破できる見込みはありました。それでも、それまでの赤字を補填する体力がもうなくなっていたようです。
後で聞けば、直属の上司は、後日早期退職したそうです。新規事業を潰してしまったという責任を多少感じていたみたいです。

同情の余地はあったものの、私は私で、リストラにあったわけです。
会社都合退職なので、すぐに失業保険はもらえました。

今考えると、失業保険をもらっている期間に、引っ越しておくべきだったのです。

無職のまま8万5000円の家賃、光熱費を払い続けるのは無理です。

しかし、初期費用でかかった金額がどうしても勿体ないと感じてしまい、それができなかったのです。

専門用語では “Sunk cost” というらしいです。
もう取り戻せない価値とでも訳せましょうか。

「ドラゴン桜」で一躍有名になったマンガ家、三田 紀房さんの大人気コミック
インベスターZ」に、こんなシーンがあります。
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お金を払って観に行った映画がつまらなかったら、途中で退出するのか?
これは、投資の考えで言えば、損切りできるか。

主人公は、見事歴代2番目の早さでつまらない映画を損切りしていました。

私は、無職のまま新宿の家に住み続けるのは、危険だと頭の中では分かってはいても、損切りできませんでした。

そしてそのままズルズル住み続け、貯金がどんどんなくなり、まさに、一気に転落したという感じでした。


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