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タイムマシーンにお願い

小学生のころ、体が弱かった私はしょっちゅう風邪を引いていた。
今の体型からは想像もつかないやせっぽちな女の子だった。

小学校の中学年になるとポテトチップスを好んで食べてたせいか、標準よりもふとっちょ体型になり、それ以降ずっと、ずんぐりむっくりである。

そのずんぐりむっくりになる、数年前の出来事。

小学校の頃、友達との楽しいイベントといえばお誕生日会。

仲の良いお友達からお呼ばれして、楽しみにしていたのに、その前日熱が出て咳もひどくなった。
お誕生日会は欠席することを泣く泣く友達に伝えた。

けれどもプレゼントはあげたい、そう私が言ったかどうかは分からないが、母が夕方の忙しい時間帯にもかかわらず、自宅から20分ほどのところにある外国雑貨の店へ車で連れて行ってくれた。

その店は通る度に憧れを抱き、いつかは行ってみたいと思っていたお店だ。
あまり大きくない1階建ての建物で、コンクリートの壁が白くペイントされたかわいい外観だった。

ショーウィンドウには赤いネオンで何か英語が書いてある看板。
表からちらりと見える商品も魅力的なものばかりだった。

店内に入ると想像していたとおり、陶器で作った可愛らしい貯金箱や置物などがたくさん並んでいた。

実は今となっては、友達へのプレゼントは何を買ったか覚えていない。

けれども印象的だったのは、母親が私にも何か買ってあげるから選びなさいと言ってくれたことだった。

熱のあった私は少し朦朧としていたけれども、この場で自分の分を選ぶのは忍びないと思い、友達のプレゼントだけ買って帰ってきた。


その店に入ったのはそれきりだったと思う。

何年かすると道路が整備され、大きなビルが建ち、そのお店もなくなっていた。

その事をふと思い出してネットで検索してみても店の名前も覚えていないし、何も出てこなかった。

昔の地図を見たらどうかと思い、検索しても特にヒットするものはない。

連れて行ってくれた母親に聞いてもその店のことはもう忘れてしまっているようだった。

記憶していた通りの名前も、果たしてその通りだったかどうか、あやふやになってきた。

今はもうなくなってしまったのに、どうしてこんなに惹かれるのか、調べてみたくなるのかわからない。

今なら大型ショッピングセンターに行けば、そういったお店はあるかもしれない。だけども昭和50年代のその頃には、めずらしい趣きの店。

タイムマシーンがあったら、その頃の淡い思い出をもう一度体験したい。
夕暮れになると時々あの店内を思い出す。



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