カマキリのおかあさん
母がカマキリを捕まえてきた。お腹に卵を抱えているようす。
虫好きの長男は喜んで虫かごに入れ、「カマキリちゃ~ん」「なでなでしてあげるね~」と愛でている。カマキリちゃんはすでに左手が動かない。
(ちなみに私は結構虫が苦手。小さい頃、脱皮に失敗したザリガニの無残な姿を見てから、あらゆる爬虫類、昆虫を見るとぞっとする・・・)
そんなわけで、「お願いだから庭で飼って」と、虫かごは外に。
もう弱っていたのか、外が寒かったからか。翌日にはほとんど動かなくなり、虫かごの中で息絶えた。
お腹にいた赤ちゃんたちも一緒に死んでしまったのだろうか、このまま埋めてあげれば、春には幼虫になって出てこられるのではないか。
なん十匹もの幼虫が卵からぞろぞろと出てくることを想像するだけで鳥肌が立つのだが、赤ちゃんたちが生きていることを願ってしまう。最後の最後まで、子どもたちのことを想っていたであろうカマキリちゃんのことが気になって仕方がない。
「クモさんはお友達だよね~」と家の中のクモにお話しする長男を見てから、クモさんには優しくしてしまうし、
子どもの栄養のために頑張って血を吸う蚊にも、「出産頑張ってね、妊婦、お腹減るよね」と共感してしまう。
まちを散歩している子犬のうるうるとした目に、息子たちのかわいい目を重ねて思わず微笑んだり、
なんともない日常のいたるところに幸せを見つけてしまう。
ずっと心穏やかに育児ができているわけではないけれど、やっぱり、母になってよかった。
子どもを産み、育てることは、今まで気が付かなかったあらゆることに感謝を覚え、小さな幸せを見つける力をくれた。きっとこれからも、もっとたくさんの幸せをくれるに違いない。そう思うと、毎日がとても輝いて見えてくる。
あぁ今日も幸せだ。
カマキリちゃんは、卵と一緒に庭の土に埋めてあげよう。春になって、赤ちゃんたちに会えたらいいなぁ。