こんな世の中だから、やさしくありたい。
SNS での誹謗中傷が問題になっていますが、それはリアルの世界でも一緒です。
最近は皆マスクをつけているためか通りすがりに平気で悪口を言われることが増えました。
3歳の息子の手を引きながら0歳の次男を抱っこしていると、狭い道では結構幅を取ってしまいます。スーパーなどで長男がなかなか言うことを聞いてくれず、立ち止まって来しまうこともしばしば。
そのようなときに、「早く行けよ」「邪魔だなぁ」と言われるのです。
マスクをつけていると顔がはっきりと認識されない。だからなのでしょうか。「悪口を言うこと」のハードルが下がってしまっているように思うのです。逆に、微笑みかけてくれた顔はマスクに隠れて見えない。
優しさは見えにくくなり、心無い言葉が降り注ぐ。そんな世の中になっている気がするのは、私だけなのでしょうか。
確かに道行く人の邪魔になっているということは申し訳ないことですし、注意しなきゃと思っています。ただ、なかなか出かけられない今、四六時中大騒ぎの息子たちを抱え、ずっと家の中にいるのは息苦しい。お散歩や公園、スーパーなど限られた場所しか行くことができず、やっと外の空気が吸えたと思ったら、イライラを抱えた人たちのはけ口となる。
ちょっとした言葉かもしれないけれど、常に緊張状態で育児をしている人にとっては、深く傷つく刃となります。子どもたちは悪くないのに、ママやパパが優しさをもらえないと、子どもたちに優しくできなくなってしまう。家庭内での悪循環を断ち切るのはとても難しい。そんな現実に苦しみ悩みながら、どうにか日々を生きている。
みんな、こんな世の中だからこそ、いつも以上に頑張っているんです。見えないところで歯を食いしばって頑張っているんです。だから、抱いた感情をそのままにぶつけるのでなく、思いやりを持ってほしい。リアルでもネットでも、言葉を大切に扱ってほしい。
マスクをつけた私の表情をのぞき込む息子たちは、どことなく不安な表情をしています。自分自身もマスクの下では、とても怖い顔をしているかもしれない、とハッとさせられる。だから、いつも以上にちょっと頑張って笑顔でいなければと思うし、そうすると温かい言葉も出てくるのです。
マスクで隠れていても、ちゃんと笑う。口元は見えなくても、言葉を大切にする。そうすることで、自分がいちばん、救われる。優しくなれない人が優しくなれるよう、私は少しでも優しさを蒔いていきたい。
みんながマスクを取って出歩ける日が来たときに、堂々とした自分でいたいから、マスクで見えなくても、今日も笑顔で過ごしたいと思います。