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カンボジアのアートを世界へ発信comonyで実現するバーチャルアートギャラリー 【一般社団法人Social Compass インタビュー】

はじめまして!
この度仮想空間共有プラットフォーム「comony」のnoteアカウントを開設いたしました。
comonyのビジネスでの活用事例や、クリエイターによるSDK(開発キット)の利用事例などを紹介していきたいと思います。
第一弾はクリエイターのcomonySDK活用事例です。
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社会問題をアート・デザインで解決するために、カンボジアで結成されたクリエイター集団 Social Compass(ソーシャルコンパス)。
新型コロナウイルスの影響によりこれまでの活動が思うように行かない中、新たなアート表現の場としてcomonyを活用したバーチャルギャラリーを実現しました。そんな彼らにcomonyを通したギャラリーを制作に至った背景や体験者の反応、東南アジアのアート作品やアーティストを発信する新しいアートプラットフォームとしての可能性について伺いました。

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(中央右が中村氏、写真右が貝塚氏)

一般社団法人SocialCompass
社会問題をアート・デザインで解決するために、カンボジアで結成されたクリエイターの集団。社会問題の解決に、オモシロい、を活かしながら、アニメーション、映像制作からワークショップ、イベント企画などをアジアを中心に展開している。
中村英誉
2004年、京都造形芸術大学卒業後に単身渡英。ロンドンC.H.A.S.Eアニメーションスタジオにてディレクター、キャラクターデザイナーとして労働ビザを取得し3年間勤務。2007年、日本に帰国。フリーランスとしてテレビアニメ、映画、ウェブ、モバイルなどのコンテンツ制作に携わる。2009年12月、個人事務所「株式会社HIDEHOMARE(現・コンパスアカデミア株式会社)」設立。2010年3月、東京大学内ベンチャー企業の「株式会社フィジオス」のアート・ディレクターとして勤務。米国シリコンバレーのビジネスコンテストiEXPOにて最優秀賞を取得。2012年、カンボジア渡航。2014年、「一般社団法人ソーシャルコンパス」設立。カンボジアにおいてデザイン・アートを通じた社会貢献活動を開始。2020年、カンボジア・タイ・スリランカにて、アートコンペディション「WhiteCanvas」を開催
貝塚乃梨子
桜美林大学造形デザイン専修卒業。 上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科博士前期課程修了。地域研究修士。2013年より平和中島財団の奨学金を得て、カンボジアの王立プノンペン大学にて客員研究員として同国の社会科教育に関するフィールド調査に2年間従事。その後Social Compassを設立。アートを通じた社会貢献活動を行う。2020年より昭和女子大学環境デザイン学科非常勤講師

導入のきっかけ

ーー今回comonyを利用してみようと思ったきっかけについてお伺いできますか?

中村:今回東南アジアのアートを広めるWhiteCanvas  (※1)というプロジェクトをやるに当たり、通常であればWebサイトにカンボジア人アーティストの作品を画像だけ掲載するところ、それだと面白くないなと。もともとVR空間でできたら良いなと思っていて、その時comonyがちょうどリリースしたところだったので、長年の付き合いがあるラストマイルワークス代表の小林君に相談してみたのがきっかけでした。東南アジアの発展途上国と言われるカンボジアで、先進国の後追いのような展示をしてもなかなか注目してもらえないですが、世界的にもまだ事例が多いと言えないVRギャラリーを途上国から出すというのは、先進国でやるよりも10倍くらいインパクトがあるのではと思っております。

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(※1)White Canvas Project:『WhiteCanvas』はカンボジア・タイ・スリランカなどの、アジアにおける才能を発掘するプロジェクト。
参照:White Canvas Project ホワイトキャンバス

制作の感想

ーー今回Unity (※2)自体も初めて利用されたとのことですが、どのくらいの時間をかけてバーチャルギャラリーの制作をされたのでしょうか?

貝塚
:他の仕事をしながら、1日に1~3時間くらいでコツコツ作業してトータル1ヶ月ほどで制作しました。ただバーチャル空間の作業に慣れてないので連続してやると酔ってしまい、そのように進めたというのもあります。集中して1日でやるのは、ちょっと無理だと思いました笑

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今回制作したバーチャルギャラリー
VR Gallery by Cambodian Artist and Planetarium Program

ーーすごいですね、逆にいうと未経験でも1ヶ月くらいコツコツやればバーチャルギャラリーが作れてしまうということでしょうか?

貝塚:そうだと思います。ただUnityの操作が独特で、それに慣れるまでは結構大変だったかなと思います。

中村
:最近であればPCゲームでのキーボード操作や3Dでの作業に抵抗がない方も多いと思うのですが、僕らはそういったものとは真逆にいたので、その中でも(貝塚が)なんとか作れたというのはありがたかったです。

ーー実際に制作したものをcomonyで使ってみて、感じたことなどあれば教えてください。

貝塚:基本的にUIが難しくなく、感覚的にこれをしたらこうなるというのがビジュアルでわかる作りなのは良いなと思いました。一方でPC版アプリの容量が大きく、ダウンロードに時間がかかることなどは少し気になりました。あとは、東南アジアではPCよりも圧倒的にスマホの利用率が高いので、スマホで手軽にできるようになると良いですね。より多くの人に作ったものを届けられるようになると思います。

ーーカンボジアだとPCよりもスマホシェアが圧倒的に多いのでしょうか?

貝塚
:そうですね。特に田舎だとPC持っている人はほとんどいないなくて、スマホの方が断然普及していると思います。

中村:今回のVRギャラリーは公開して数日で500人くらいのビューがありましたが、PCだけでも既にこれだけ集められているのはすごく嬉しいです。単純にテクノロジーに強い業界の人たちを集めるのと、まだまだアナログ思考なアート業界の人たちを集めるのだと価値が違うと思いますから。もっというとYoutubeにcomonyの様子をアップロードして、シェアするだけでも結構喜ばれますからね。最先端の技術を使ってVRギャラリーを作ったと言う事実だけでも感動されるといいますか。そういった意味では、彼らにより身近なスマホでのアプリリリースには大変期待しています。

Social Compass Facebookページに投稿されたcomony紹介動画

(※2)Unity Technologies 社が提供するゲームエンジン、comonyへの空間アップロードに用いる
参照:Unity

利用の感想

ーー実際にアートを見に来た方にバーチャルギャラリーを体験してもらった感想について教えてください。

中村
:色々な方に体験してみて思ったのは、comonyや我々がやってきたことに対する時代の後押しを改めて感じましたね。

ーーそういった新しいアートの取り組みが受け入れられたということでしょうか?

中村
今年もおそらく明けないコロナの状況下が、アート業界やアナログな人にとっても新しいことを受け入れ、取り組むハードルを下げてくれているのかなと。対面で会えない状況でビデオチャットツールがコミュニケーションの代替手段としてあたり前になってきましたが、その先にVRがあると言うのは誰がどう見ても求められていることな気がします。正直コロナがなければVR業界自体発展するのはもう数年後になるかと思っていましたが、空間ごと体験として共有できるVRの意義と言うのはここにきてすごく理にかなってきたと思いますね。アート業界でもこのような時代の変化に対する焦りはありますし、何かやらなきゃ、今のままではダメだなと皆思い始めていると色々なアーティストと話していて感じます。

ーーコロナ禍で思うようなアート活動ができなかった人に刺さる部分もあれば、同時に先進的な取り組みに対する反発なども感じましたか?

中村
:コロナがなければVRである必要はなかったとか、アートは実物じゃなきゃいけないんだという周囲の肌感があるのも事実ですね。一方で今回のコロナの影響による急進的なデジタル化の波は、アートに限らず第4次産業革命と言われる現代において皆が無視できないかなり大きな事象だと思います。カンボジアで活動する我々が東南アジア発の企業やアーティストと一緒にその波の中でアートを通じた新しい体験を作っているのは、使い勝手以上の興奮じゃないですけど、すごくエキサイティングな感じがしていますね。

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今後の展望

ーー今後の展望についてお話を聞ければと思っております。弊社がSocial Compassに期待することとして、comonyを使って実際のアーティストの生の声を届けてもらいたいなと思いますがその辺りはいかがでしょうか?

中村
:ぜひやりたいですね。これまでは日本人に対しては日本語で、カンボジア人に対してはクメール後でアートの発信を行ってきましたが、今後は国際間での発信をしていきたいと思っています。スマホ版が出てより手軽に体験できるようになたあたりでどんどんイベント開催していきたいですね。前回のイベントで通訳をつけていたのは実はその布石でもあったりします。

ーーVRやcomony×アートの今後の可能性についてはどのように考えますか?

中村:その点だと、VRだけでなくブロックチェーン技術とも絡めた可能性をすごく感じています。最近ちょうど、VRアーティストのせきぐちあいみさんのVR空間で作られたNFTアートがかなりの金額で落札されて話題になっていましたね(注3)。僕らとしては東南アジアで活動しているので、単にVRやNFTというよりは、ソーシャルやSDGs(注4)であるとかもう一個上乗せしている世界感があると思うのでそこを取り組んでいきたいです。

ーー具体的にどういったことが考えられますか?

中村:例えば、昨今のミャンマー等社会問題(注5)の渦中にある人達と一緒にVRやブロックチェーン技術を活用したアート活動をすることです。例えば油絵で歴史に名を残すというのはなかなか難しいと思うけど、今の時代の人達が今の時代にしかできない表現をしていけば、お金とか国の発展度合いに関係なく歴史に名を刻んでいけるではと。VRやブロックチェーンの波をツールとしてうまく利用していきたいですよね。そして、東南アジアから VR で二人三脚でやれる身近なパートナーがいると言うのはそのような挑戦をする上で大変ありがたいです。梨子(貝塚)さんは今後の可能性についてどう思いますか?

貝塚:やっぱり新しい生き方や働き方の選択肢のプラットフォームとして動き出していけるのは非常に魅力的ですよね。アーティストの活躍の場を広げてくれると思っています。

中村:自分も海外で働いた経験が長いのでよく感じるのですが、日本社会って「好きなことやっているんだったらお金とか良いじゃん」みたいな考えが否定されやすいですよね。もちろんアートで食べていくのは簡単ではないですが、好きだったらそれだけで良いと思う人も世界には多くいて。
東南アジアのこれからの人たちには、そういった固定観念を押し付けたくないし、自分の価値を最大限に発揮できるところで食べていける人たちを1人でも多く作りたいというのがSocial Compassとしてのミッションです。まだまだですけど、今回のような取り組みを通してそれを実現していきたいです。

ーー熱い想いを語っていただきありがとうございます。まだまだcomonyも発展途上ですが、これからもSocial Compassの活動を支えていければと思います!

中村:はい!いやすごいっすよ、本当に真っ白なキャンバスを渡されたようでワクワクしています。

(注3) VRアーティストせきぐちあいみさんのNFTアート(Non-Fungible Token、代替不可トークン)が約1,300万円(69.697ETH)で落札された。
デジタルアートと所有者の証明にブロックチェーン技術の活用が可能となる
参照:当社所属のVRアーティスト・せきぐちあいみのNFTアート作品が約1,300万円で即日落札!| PR TIMES
(注4)Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称
2015年に国連サミットで採択され、人間、地球及び繁栄のための持続的な行動計画として2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットからなる
参照:2030アジェンダ | 国連広報センター
(注5)2021年2月に起こった軍事クーデターにより社会情勢が悪化している
参照:【解説】 ミャンマー国軍のクーデター、なぜ今? これからどうなる?|BBC NEWS JAPAN

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お問い合わせ:https://comony.net/contact
サービスサイト:https://comony.net/
アプリダウンロード:https://comony.net/downloads

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