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子どもルームを積極的に有効活用しよう
乳幼児のお子さんがいるご家庭で、「子どもルーム」を使われたことのある方はいらっしゃるだろうか。
筆者も子育て支援の場を体験すること、そして、実際に子どもたちがどのように遊ぶのか、母親がどのようにサポートされているのかについて体験するために、月に1‐2回ほど子どもルームに行く。そこで感じることは、コロナ下になって子どもルームの職員の注意の向いている方向が以前とは異なっているなということである。
訪問している母親たちもまた、あまり周囲の母親との関わりがなく、おもちゃで遊ぶ子どもを眺めていたり子どもと一緒に遊んだりしている。乳児の母親同士の話を聞いていると、身体の成長についての会話が多く、ハイハイできる、立てる、歩ける、話せる、といったこと。「すごいですね、もう歩けるんですね、うちはまだです」など他者と比較して不安そうにしている親御さんもいた。
筆者家族が最近子どもルームで子どもといて話しかけられたことは、「これはもう遊び終わったのかな?(片づけを促したい様子)」「そこから入ってくるときは手を消毒してね」だった。「うーん、他には?」と考えさせられた。
自身の体験を振り返ると、出産後の幼児期までの間の子育て中に、親が自身や子どもの抱える課題や問題について問われることは、乳児訪問と健診時以外はなかった。訪問や健診は回数も少なく、特に健診では周囲に人もおり問題があってもなかなか言い出せないこともある。また、筆者自身、心療内科において思春期のお子さんと親御さんに関わることがあるが、様々な理由で周囲にサポートを求めることが難しい事例にたくさん出会う。
その点、こどもルームは時間もゆっくりあり、利用者が専門職員と気軽に関わることが可能である。場の提供や読み聞かせなどのイベントの開催も重要なサポートだが、それ以外に利用者との関わりの中で専門職が利用者のサポートの必要性をくみ取ったり、支援につなげることもできる。
社会の中で、周囲の人とできるだけ顔見知りに、孤立しないように。子どもも親も、家族全体が社会の中で孤立しないように専門職は関わる必要があるし、利用者の方には、是非、このこどもルームを遊び場としてだけでなく、子育ての悩みや不安を打ち明けたり相談したりするなど、積極的に有効活用してほしいと思う。
子育てはひとりでする必要はないのだから。