「ヨーカドー川越・柏・綱島など4店閉店 首都圏で一段と」に注目!
イトーヨーカドー川越店・柏店・綱島店など4店閉店 首都圏で一段と - 日本経済新聞 (nikkei.com)
セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の総合スーパー(GMS)であるイトーヨーカ堂が夏以降、新たに川越店(埼玉県川越市)や柏店(千葉県柏市)など4店を閉店することが分かりました。北海道や東北などから撤退し、首都圏中心の体制に移行する計画で、首都圏でもこれまでに津田沼店(千葉県習志野市)などの閉店が明らかになっています。お膝元での運営効率化を一段と進めます。
川越市の「イトーヨーカドー食品館川越店」を7月29日をもって閉店する予定です。このほど店頭での告知を始めました。川越店は1967年にGMSとして営業を始め、再開発後の2019年に食品スーパーとして改装開業したばかりです。わずか4年で店を閉めることになります。
同店を利用する60代夫婦は「以前あったヨーカドーの時代から使っており、今でも毎週通っている。品ぞろえは悪くないのに残念だ」と話しました。
8〜10月ごろには柏店のほか、綱島店(横浜市)、三井不動産が手掛ける商業施設「ららぽーと」内に出店する「食品館新三郷店」(埼玉県三郷市)も閉店する予定です。3店舗では従業員向け説明会を開いて撤退する方針を伝え始めました。柏店は周辺に百貨店の高島屋や家電量販店のビックカメラが、新三郷店は会員制の大型スーパー「コストコ」や家具の「イケア」などがあり小売り間競争が激しい地域です。
首都圏ではこれまでに、津田沼店や拝島店(東京都昭島市)などの閉店が明らかになっていました。今後の主力と位置付ける地域での閉鎖店がさらに増えた形です。セブン&アイ幹部は「採算性が悪く、今後の成長も見込みにくい店は閉めざるを得ない」と話します。
セブン&アイは2023年3月、ヨーカ堂の構造改革として2026年2月期までに店舗数を2割超減らすと発表しました。当時の126店舗を約3年で33店閉店する計画です。
2月には北海道や東北、信越地方の全17店舗を閉鎖して各地方から撤退すると発表しました。今回、川越店や柏店などの閉店を決めて計画の約8割を固めたことになります。ヨーカ堂を含む首都圏の食品スーパー事業は2026年2月期に黒字転換させ、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で550億円を稼ぐ目標を掲げます。
首都圏でも店の選別を急ぐのは、利益体質を高めると同時に投資を絞り込む狙いもあります。ヨーカ堂の地域別売上高をみると、北海道や東北だけでなく首都圏を含む関東地区も苦戦していることが分かります。2012年度に9452億円だった売上高は2022年度には7950億円まで縮みました。10年間で2割近く減った計算です。
開業から経過した期間を示す「店舗年齢」について、ヨーカ堂は20年以上となる店舗が全体の64%(2022年度)を占めます。10年前に比べて20ポイント近く上昇しました。一方で10年未満の店は約1割にとどまります。設備や内装が古い印象を与えれば買い物客が離れかねず、継続的な改装投資の捻出が依然として大きな課題です。
ヨーカ堂などは2月、総菜を作る「セントラルキッチン」を千葉市で稼働しました。攻めの施策も見え始めています。一方、相次ぐ閉店やこのほど募集した早期退職などでヨーカ堂の従業員の一部には先行きへの不安の声も出ています。顧客だけでなく、働き手にも再建後の姿をしっかり示す必要があります。
セブン&アイ・ホールディングスは2030年に、「セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、『食』を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」を目指しています。
イトーヨーカ堂ではコンビニエンスストアと比べ、多くの「食」の品揃えがあり、独自の調達力とサプライヤーネットワークがあります。そして、「食」領域において顧客理解とイノベーティブな開発力があります。
しかし、不採算店舗があり、アパレル事業完全撤退や首都圏へのフォーカス加速と追加閉鎖等の構造改革を続けてきました。また、IT活用の生産性改善を導入し、再成長に向けて戦略的に動いています。
セブン-イレブンとイトーヨーカ堂の共通店「SIPストア」をオープンさせたりと、「食」により注力した新しい取り組みを行っています。今後も、セブン&アイ・ホールディングスが持っているグループのシナジーをどのように展開していくかに期待しています。