「イトーヨーカ堂、最短20分で配送 オニゴーと組み120店」に注目!
イトーヨーカ堂、最短20分で商品配送 配送新興のオニゴーと120店で展開 構造改革で攻めの戦略 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は傘下のイトーヨーカ堂で即時配送サービスを本格導入します。配送スタートアップのONIGO(オニゴー、東京・世田谷)と組み2025年2月にも半分強の120店で展開、生鮮品などを最短20分で届けます。衣料品の縮小など構造改革に加え、成長戦略の柱とする食品の新サービスで経営をてこ入れします。
ライフコーポレーションがアマゾンジャパン(東京・目黒)と共同で展開するネットスーパーは最短2時間、楽天西友ネットスーパーは当日配送をうたいます。ヨーカ堂の最短20分は最速水準です。イオンは英オカドグループと1時間単位で配送時間を指定できるネットスーパーを手掛けます。ヨーカ堂の展開でネットスーパー普及に弾みがつきます。
ヨーカ堂は2023年秋にセブングループの食品スーパー、ヨークと合併しました。5月末までに首都圏や中部、関西地方にあるヨーカ堂の80店舗で即配を始めます。さらに首都圏にあるヨークの40店でも導入し、2025年2月にも120店になる見通しです。ヨーカ堂が運営するスーパー全体の半分強が即配対応の店舗となります。
昨秋から一部店舗で即配サービスを試験導入し、1日100件以上の注文が入る店があり一定の需要を確認できたため本格実施を決めました。利用者はオニゴーの専用アプリなどで注文します。たばこや医薬品、一部の食品を除く7000〜8000品から選べます。ヨーカ堂の従業員らが注文商品を探し、オニゴーのスタッフらが配達します。
オニゴーはスーパーにスタッフが常駐し、アプリで注文が入った店頭の商品を自転車やバイクで数キロメートル圏内に即時に配送するモデルで成長しています。商品の価格は店頭で買うより10〜20%ほど高いですが、オニゴーによると、即配の需要は強く、商品価格に手数料が上乗せされても安定した利用が見込めるとみています。
ヨーカ堂にとって、即配は新規顧客開拓の武器になります。2023年夏には横浜市で専用施設を稼働し新たなネットスーパーを始めました。しかし注文から配送まで最短で7時間かかります。注文が多いのは飲料水や酒、コメ類です。
オニゴーとのサービスでは野菜や肉、総菜、冷凍食品など即配ニーズの高い商品が売れるとみており、ネットスーパー事業の売り上げバランスの改善につながります。ヨーカ堂総括マネジャーの渡辺保弘氏は即配について「店舗の食品売上高の約4%分を目指したい」と話します。専用倉庫ではなく、実店舗から届ける方法なら固定費も抑えられます。
MMD研究所(東京・港)の2023年調査では、即配サービスの利用経験者は全体の17%でした。20代男性では34%と多く、利用意向は男女ともに10代が高いです。タイムパフォーマンス(時間効率)を重視し、デジタルを使いこなすZ世代が子育て期に入れば市場は拡大するとみられます。2028年には国内市場が8千億円を超えるとの予測もあります。
ヨーカ堂は2023年2月期まで3期連続で最終赤字を計上するなど足元の業績は厳しい。2026年2月期までに33店を閉鎖すると発表し、これまでに北海道や東北、信越地方からの撤退を表明しています。
地盤の首都圏でも不採算店舗について相次いで閉店を決めました。営業黒字転換に向けてメスを入れており、組織の効率化に主眼を置いた策が多かったです。セブン&アイの下で自主再建を達成できるか。市場の成長余地が大きい即配サービスは構造改革後の姿を占う試金石の一つとなります。
セブン&アイ・ホールディングスは「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループを目指しています。特徴のあるプライベートブランドを保有しており、最短20分で届ける仕組みができることで他社との差別化が図れると思います。イトーヨーカ堂は不採算店舗を封鎖していますが、ネットスーパーを使うことで既存店の成長に期待しています。