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「味の素・カゴメなど食品8社、卸と物流電子化」に注目!

味の素・カゴメなど食品8社、卸と物流電子化 データ連携、作業減 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

味の素やキユーピーなど食品大手8社と卸が物流データを連携させます。拠点情報を共有し、荷物の情報を電子化することで、荷降ろしにかかる時間を半減させ、運転手の労働時間短縮につなげます。運転手の残業制限に伴って輸送能力が不足する「2024年問題」を受け、荷主であるメーカー側も対策を取り始めました。

8社と食品卸が使う共通システムを構築します。メーカーはほかにキッコーマン食品、ハウス食品、カゴメ、日清製粉ウェルナ、日清オイリオグループ、ミツカンが、卸は日本加工食品卸協会(東京・中央)に加盟する主要卸が参画します。メーカー8社のグループ売上高合計は加工食品市場の2割を占めます。

まず全国1000以上の各社の物流拠点をデータベース化し、共通の番号を割り振ります。巨大な施設では棟ごとに荷物情報を把握できるようにし、どの場所に納品するかを瞬時にわかるようにします。これまではメーカーや物流会社が個別に管理し、共同輸送の妨げになってきました。

納品情報の電子化も進めます。電子化によってメーカーが納品予定の商品の名前や数量、賞味期限といった出荷情報をシステム上で納品先の卸に事前に共有します。目視の検品がなくなり、荷降ろしとトラックの入庫待ちの時間を半分程度に抑えます。

共有項目などを詰め、受発注システムのファイネット(東京・中央)がシステム構築をし、2025年度にも試験運用を始めます。

いまはメーカーと卸が発注と納品の情報を紙の伝票でやり取りしていることが多いです。荷物がメーカーから卸に到着したら伝票と実際の荷物に食い違いがないか目視で照合して押印し、端末に入力する必要がありました。

物流センターでの検品作業は運転手の長時間労働の原因となっています。検品に時間がかかり、前の作業が終わらないためセンターに到着しても荷降ろしできないことも多いです。

国土交通省の調査では、トラックの1運行あたりの荷待ち時間は平均で1時間半を超え、数時間に及ぶこともあります。30分以上の荷待ち時間が発生した件数は加工食品が品目別で最も多いです。国は検品作業の効率化を掲げ、荷待ち時間の短縮を荷主に求めています。

国は荷物や倉庫、車両の空き情報などをデジタル技術で可視化し、業種を超えた複数企業の倉庫や車両をシェアして輸送する次世代物流の実現を目指しています。企業の枠を超えた今回の連携が軌道に乗れば、物流のデジタル化を後押ししそうです。

4月からトラック運転手の時間外労働時間は年960時間までに制限されました。NX総合研究所(東京・千代田)は残業規制強化の影響などで輸送能力が2030年度に34%不足すると試算します。各社はモノが運べなくなる事態を避けるため協力します。

味の素やハウス食品グループ等の食品メーカー5社は2019年4月に物流事業を統合して「F-LINE」という会社を立ち上げています。今回は物流という運ぶ手段だけではなく、卸も加わり業務全体の効率化に踏み込んでいきます。

現在、物流改革に及び腰だったメーカーなど発荷主、卸・小売りの着荷主も「荷物が届かなくなる」という危機感や政府の硬軟両様の対応を受け、業界団体や企業単位で対策を急いでいます。「物流は競争ではなく協調領域」という理解が次第に浸透し、改革への自主行動計画をまとめた企業・団体は100以上に上るそうです。

このような取り組みは業界だけではなく、日本全体の利益になると思います。今後も、このような取り組みが加速することを期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。