「堀場製作所、中国でガス制御器の製造能力5倍 太陽電池用」に注目!
堀場製作所、中国でガス制御器の製造能力5倍 太陽電池用 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
堀場製作所は、中国・北京の拠点でガス制御装置「マスフローコントローラー」の製造能力を従来の約5倍に高めました。主に日本国内でつくる半導体の製造装置向けは市況低迷のあおりを受けていますが、北京で生産する太陽電池などの製造向けは需要が旺盛です。今後も同国で太陽電池の導入が増えるとみて増産に乗り出します。
マスフローコントローラーは様々な種類のガスの流れる量を制御する装置。堀場製作所のグループ会社、厚礼博精密儀器(北京市)で、製造能力を年約3万台から17万台に高めました。2025年までに年産10万台にする方針を掲げていましたが、前倒しして規模も拡大しました。
堀場(中国)貿易有限・北京事務所の佐藤雅勇総経理は「太陽光関連の製造装置メーカーからの増産要求が続いている」と話します。太陽電池をつくる際、パネルに絶縁やシリコンなどの膜を作るための各種素材を気体として流すのに使います。太陽電池関連メーカーから短い納期での供給を求められるため一定の量産規模がいるといいます。
堀場製作所は半導体製造装置向けのマスフローコントローラーで世界シェアの約6割を持ちます。ガス流量をより高精度に制御する高価格帯の製品で、主に日本国内で生産しています。
一方、太陽電池やディスプレーなどの製造工程で使う中価格帯は「主に中国でつくってすみ分けている」(佐藤総経理)。顧客ごとに使用するガスの種類や仕様が異なるため、2021年に約90億円を投じて上海に開発などを担う拠点を立ち上げました。
中国では電気自動車(EV)などの新エネルギー車が普及し、これまで伸びてきた排ガス分析装置などの需要が中長期で減少する可能性もあります。一方、太陽電池の需要は旺盛です。調査会社の資源総合システムによると、太陽電池モジュールの国・地域別生産量のシェアで中国は2022年時点で世界の78%を占め、世界シェアは過去5年で7ポイント高まりました。
堀場製作所は2023年12月期の連結売上高が前期比5%増の2840億円、純利益が6%増の360億円に伸びる見通しです。マスフローコントローラーを含む半導体セグメントの売上高は1100億円を見込みます。半導体製造向けの伸び悩みもあり前期比では4%減ですが、連結売上高の約4割を占めるけん引役になりつつあります。
半導体市況の回復をにらみ、高付加価値向けのマスフローコントローラーも増産します。京都府福知山市で170億円を投じて新工場を建てます。2026年に完成させ、同製品の国内生産能力は足元の3倍に高まる見通しです。
堀場製作所は様々なものを「はかる」ことを事業としています。今回のマスフローコントローラは半導体製造プロセスにはなくてもならない商品で、業界の発展に貢献しています。また、グループの堀場エステックの製品はプレミアムな標準機として評価を得てきています。
また、堀場エステックは記事にあるように京都府福知山市に主力製品のマスフローコントローラーや薬液濃度モニターなどを生産する新工場を建設します。国内におけるマスフローコントローラ生産能力を現状(京都工場+阿蘇工場)の最大約3倍まで拡張することが可能になります。今後も成長していく堀場製作所に期待しています。