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「セブン、社内の生成AI活用人材2倍に ローソンは全社員」に注目!

セブン、社内の生成AI活用人材2倍に ローソンは全社員 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

コンビニエンスストア大手が相次いで業務に生成型の人工知能(AI)を取り入れます。セブン―イレブン・ジャパンは2024年度中に、社内で生成AIを業務に使える人材を従来の2倍となる約3000人に増やします。ローソンも約4000人の全社員が使えるようにし、事務作業などで活用し作業にかかる時間を半減させます。生成AIを導入して業務を効率化する動きがコンビニに広がってきました。

セブンは2024年春から生成AIの本格導入を始めました。現状、商品開発や管理部門、営業部門の管理職を中心に約1500人が業務向けに使っています。今年度中に約3000人まで対象を広げる方針です。

クラウド上に独自のIT(情報技術)システム基盤を立ち上げ、米オープンAIや米グーグルなどの複数の生成AIを搭載しています。POS(販売時点情報管理)データ、メーカーなどとの取引情報、SNSでの書き込みデータなどの分析に活用できます。

商品開発では、情報収集や流行の分析などにかかる時間を従来の10分の1程度に短縮できました。IT部門では、音声入力で生成AIを使いながらプログラムを書くことで、作業時間を従来の6分の1程度まで短くしました。今後は文章作成や分析、アイデアの創出といった使い方のほかに、社内向け資料などに使う画像の生成に活用することも検討します。

ローソンはこのほど、全社員約4000人を対象に生成AIを業務に使えるようにしました。会議の要約や契約書のひな型といった文章作成や情報収集などで活用します。これらの業務にかかる時間は従来と比べて半減する見通しです。

導入に向けて社員のAIなどへの知識を底上げしました。ガイドラインを策定し、個人情報の入力禁止などの指針を定めました。さらに6月末までに竹増貞信社長など経営陣を含む全社員がITの基礎研修を受け、達成度を測る試験で合格しました。

ローソンを巡っては、KDDIが2月にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。今秋をめどに、KDDIと三菱商事が50%ずつ出資する持ち分法適用会社になります。KDDIとの本格的な協業を控えるなか「デジタル人材を増やし、KDDIが持つ通信やAIといったITを受け入れる素養を身に付ける」(ローソンの月生田和樹執行役員)狙いがあります。

ファミリーマートも7月、全店の4割強に当たる7000店へ生成AIを導入しました。店舗運営のマニュアル(手引書)約1700ページ分を学習した生成AIを使い、対処法の検索時間を従来の3分の1に減らします。従業員が声で質問すると音声を認識し、画面上に回答を表示する仕組みで、従業員の業務効率化につなげます。

米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、2027年の生成AIの市場規模が2023年比約7倍の1200億ドル(18兆円弱)規模になると予想します。コンビニなど小売業での活用が広がれば、慢性的な人手不足の解消といった課題解決につながる可能性があります。

一方で、日本企業の取り組みは海外と比べて遅れています。BCGの2024年の調査では、生成AIを日常的に業務に利用している人の割合は従業員で16%と、主要国・地域で最低でした。BCGの中川正洋マネージング・ディレクターは「部門単位で業務時間の削減などに向けて活用が進むが、顧客体験の抜本的な見直しや全社横断レベルで事業に付加価値を出すまでは至っていない」と指摘しています。

セブン&アイ常務執行役員 最高情報責任者(CIO)兼グループ DX 本部長の齋藤正記氏は、「スマーター・リテイリング・フォーラム 2024」にて「生成AIと小売業の未来」と題し、生成AIを活用してめざす意欲的な「流通革新」の具体像と進捗について語りました。齋藤CIOは「生成AIは流通革新を主導するための重要な技術である」と明言しています。また、テクノロジーの専門家を巻き込むかたちでDXを推進してきましたが、「生成AI時代は、テクノロジーの専門家でなくとも、業務変革のポイントがわかっていて、生成AIを正しく使いこなせれば、誰でも独力でDXが可能な時代になった」と齋藤CIOは力説します。そのため同社では生成AIファーストの環境をつくることに注力しながら、プロンプトの体得を進めている最中とのことです。

そして、「生成AIの活用は現場起点で進めていくことが大事。ただし、若い世代だけでなく経営陣、ミドルクラスが生成AIに可能性を見出し、どんどん使っていこうというムードを醸成すべきだ」「各人が当たり前に活用していき、産業、業種の垣根をこえた連携により、生成AI活用による流通革新を主導していく」と齋藤CIOは力を込めました。

また、2024年以降に新システムを使って企画したデザートなどを発売する見通しです。グループ全体でプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」を約3400品扱っており、消費者のトレンドやニーズをいち早く把握することで、商品の幅を広げ数も増やします。

このような取り組みを進めているセブン&アイの今後の成長に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。