「ダイキン、プロゴルフ大会で人材育成 社員100人超派遣」に注目!
ダイキン、プロゴルフ大会で人材育成 社員100人超派遣 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
沖縄で3日まで開かれた女子プロゴルフの国内ツアー開幕戦「ダイキンオーキッド」に、スポンサーのダイキン工業は100人以上の社員を派遣しました。初参加の約30人を含む若手らが、プロアマ大会や前夜祭などの運営に汗を流しました。本業との関係は薄いですが、ダイキンが標榜する「人を基軸におく経営」に向けた人材育成の場と位置づけています。
今回で37回目となる同大会は、ダイキン元社長の山田稔氏が琉球放送(那覇市)の小禄邦男最高顧問の思いに応えてスポンサーを引き受けたのが始まりです。アマチュア時代の宮里藍さんや諸見里しのぶさんらを輩出してきました。プロアマ大会に参加する人から集めた資金を沖縄の文化振興などに役立てる「オーキッドバウンティ」の累計支援額は1億8510万円にものぼり、一定の役割を果たしてきました。
開幕2日前の2月27日夜、那覇市内の「沖縄ハーバービューホテル」で「前夜祭」と銘打った宴には東京や大阪からも経済界関係者500人ほどが駆けつけ、翌日のプロアマ大会にも参加する女子プロ約40人も参加しました。
プロアマ大会や前夜祭などを、スポンサー企業の社員が主導的に実施するのは珍しいといいます。ダイキンは一部外部業者に頼りますが、基本的には「お手製」であることにこだわってきました。今回も新入社員約30人を含む100人超を沖縄県に派遣。職場から人がほとんどいなくなる部署もあるほどで、井上礼之会長は「お祭り好きの会社」と笑います。
社員は来場する企業経営者らの顔を全員覚え、ゴルフ場だけでなく羽田や伊丹などの空港での出迎えに始まり、前夜祭での案内、ゴルフ場での荷物管理など至る所に張り付きます。琉球放送のアナウンサーと並んで前夜祭で司会するのも社員です。来場者が帰宅するタイミングに合わせ、カトレアの花も届けます。井上会長は「招いた経営者が『うちにはできない』と話してくれる」と満足げです。
女子プロゴルフだけではありません。8月に各工場で実施する盆踊り。淀川製作所(大阪府摂津市)では、地域住民ら約3万人が集まります。盆踊りも社員が手作りで企画・運営します。同製作所に配置された新入社員は「8月までほぼこの仕事」(関係者)といいます。
いずれも仕事とは一見、関係ありません。それでも、ダイキンの「人」との向き合い方を示しています。ダイキンは「人の持つ無限の可能性を信じる」という信念を持ちます。オーキッドや盆踊りは関係者が多く、気象条件などによって大きく前提が変わるなど変数が多いです。部署を超えてあらゆる人が協力して課題を解決する人材育成の場と位置づけ、若手社員に積極的に参加してもらいます。
社員が行事に汗をかくのは一見、時代にそぐわないようにみえます。ただ、井上会長は「社員の離職率が低いのがうれしいこと」と話し、「古いかもしれないが、日本的経営がうちの特徴だ」と説明します。画一的なモノの見方に与さず、ダイキン流を貫きます。
「沖縄とともに歩むダイキンオーキッドを、今後も継続していきたい」。井上会長は力強くこう話します。その歩みを支える社員にとっても、ダイキンオーキッドは成長の場であり続けます。
なお、今回のオーキッドバウンティでは、沖縄県の芸術・文化・スポーツ・教育・環境等の振興を支援するため、11の個人・団体に総額620万円を贈呈しています。
また、このような取り組みも行っています。
オーキッドがスタートした1988年当時、沖縄の年間観光客数は約200万人。本土からオーキッドに招待したお客さまにも、沖縄は初めてという方が少なくありませんでした。沖縄と本土の架け橋として少しでもお役に立つために、まず本土の皆様に沖縄を良く知っていただこう。オーキッドならではの視点で沖縄を巡り、毎回新しい沖縄の魅力を紹介していこう。――そんな思いで、小冊子『WELCOME TO OKINAWA』が誕生しました。
このような様々な取り組みで「人」を育てているダイキン。若手から多くの経験を積むことで、ダイキンならではの企業価値が追求されるのではないかと思いました。