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リモートSIMプロビジョニングの3つのアーキテクチャ
こんにちは、コモン・クリエーションです。 弊社では、国内外のIoT、SIMアプレット関連のニュースを定期的に収集しています。
この記事では、SIMに通信プロファイルを遠隔で切り替える手法である**リモートSIMプロビジョニング(RSP)**のアーキテクチャについてご紹介します。
リモートSIMプロビジョニング(RSP)
RSPとは、SIMに直接触らずに、SIMに保存している通信プロファイルを書き換える機能のことです。この機能が備わったSIMをeSIMと呼び、チップ型/カード型に依らず存在します。
RSPには、GSMA(Global System for Mobile Communications Association)で標準化が進められている3つのアーキテクチャが存在します。
詳細については、GSMAが公開しているドキュメントを参照してください。
M2Mモデル(SGP.01/02)
M2M(Machine-to-Machine)モデルの特徴は、通信事業者(MNOやMVNO)が通信プロファイルの変更を実施するところにあります。また、RSPを行うトリガが、通信事業者側からSMSで通知するプッシュ型のため、初回起動時の環境で通信可能な通信プロファイルを準備している必要があります。
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メリット
IoT機器側に複雑な機能が不要である
デメリット
通信事業者が大規模なシステムを構築・運用する必要があり、コストが高い
一部のコネクティッドカーやスマートメーターで利用されていますが、広くIoT機器に普及するには至っていません。
コンシューマモデル(SGP.21/22)
コンシューマモデルの特徴は、M2Mモデルと異なり、ユーザーが自分自身で使いたい通信プロファイルを決めるところにあります。また、RSPのトリガはユーザー操作によるプル型であり、ユーザー操作を受け付けるLPA(Local Profile Assistant)が機器上に必要となります。
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メリット
ユーザーが自由に通信プロファイルを選択できる
通信事業者を超えた通信プロファイルの切り替えが行える
M2Mに比べて通信事業者のシステムが複雑でない
デメリット
機器側にLPAなどのアプリケーションが必要となる
RSPを行う際にユーザーの操作が必要となる
現在では多くのスマートフォンなどに搭載され、広く普及しつつあります。
しかし、IoT機器については、スマートフォンなどを通して通信プロファイルを書き換える必要があり、広くは普及していません。
IoTモデル(SGP.31/32)
IoTモデルの特徴は、コンシューマモデルをベースに、遠隔操作でのRSPを実現した点にあります。IoT機器でコンシューマモデルを利用する際に問題となった遠隔性については、コンシューマモデルのLPAを、ユーザーインターフェースを提供するサーバー側のeIM(eSIM IoT remote Manager)と、実際にプロファイルのダウンロードなどを行うIPA(IoT Profile Assistant)に分離することで解決しています。
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メリット
コンシューマモデルのメリットをそのまま享受できる
コンシューマモデルの通信事業者のシステムをそのまま利用できる
デメリット
初回起動時に使用する通信プロファイルの準備がいる
eIM及びIPAの実装が必要となる
特にIPAの実装はSIMへのアクセスが必要となりハードルが高い
対策として、IPAをeSIM上に実装するIPAeが検討されている
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今後、IoT機器のRSPの標準として、急速に普及することが期待されています。
まとめ
GSMAでは、「M2Mモデル」「コンシューマモデル」「IoTモデル」の3つのRSPを行うアーキテクチャが標準として規定されています。
それぞれのアーキテクチャの特徴は以下の通りです。
「M2Mモデル」は、デメリットが多く、広くは普及していない。
「コンシューマモデル」は、スマートフォン向けのRSPとして、広く普及しつつある。
「IoTモデル」は、コンシューマモデルにIoT向けの機能追加を行うことで、IoT向けのRSPとして今後の普及が期待されている。
参考サイト
https://1nce.com/ja-jp/euicc-sim-card-for-iot-esim/euicc-standards-and-specifications-in-iot
https://www.iij.ad.jp/dev/report/iir/061/02.html
おわりに
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noteを読んでいただいた皆さんと一緒にお仕事できる日を楽しみにしています。