見出し画像

Amazonと楽天を比較!それぞれのメリットと違いをわかりやすく解説!

国内でECショップの運営を始めるにあたって、まず検討されるのは「Amazon(アマゾン)」と「楽天市場」ではないでしょうか。
どちらもモール型ECサイト、あるいはECモールと呼ばれるサイトですが、Amazonは商品のみを出品するタイプのECモールで、楽天市場は店舗を出店するタイプのECモールとなっています。
また、Amazonと楽天市場では主に利用するユーザー層が異なっていたり、出品要項や特徴に違いがあるため、それぞれのモールの特徴を把握し要望にあったECモールを選ぶことが大切です。
本記事ではAmazonと楽天市場のそれぞれの特徴と、出品や店舗デザインに関するメリットとデメリットについて解説しています。
どのECモールを選ぶべきか悩んでいる方のご参考になれば幸いです。

この記事でわかること

  • Amazonと楽天それぞれの特徴

  • マーケットプレイス型とテナント型の違い

  • 自社に適したECモールの選び方

こんな方におすすめ

  • ECモールでネットショップを出店しようと検討している

  • どのECモールのタイプが自社に合っているか知りたい

  • Amazonと楽天市場のどちらで出品しようか迷っている


1.Amazonと楽天のそれぞれの特徴

モール型ECサイトには、Amazonに代表される「商品を出品するECモール(マーケットプレイス型)」と、楽天市場に代表される「自店を出店するECモール(テナント型)」があります。
ここからは、それぞれの特徴を順番に紹介します。

1-1.Amazon

Amazon.co.jpは、2000年11月に開設されました。
米国ワシントン州を本拠地とする「Amazon.com, Inc.」の、日本の現地法人アマゾンジャパン合同会社「Amazon Japan G.K.」が運営する、マーケットプレイス型のECモールの大手です。
マーケットプレイス型の詳細については次の項目で詳しく解説しますが、Amazonという大きなスーパーマーケットに出品者が商品を並べている状況をイメージするとわかりやすいと思います。
Amazonには、出品者は出品がしやすく、購入者は最安値の商品を見つけやすいという特徴があります。
また、「Amazon Prime(月額プラン500円、年間プラン4,900円)」に登録すると、お届け日時指定便、お急ぎ便、当日お急ぎ便が無料になるため、プライム会員にとっては送料を気にせず商品を購入できるのが大きなメリットとなっています。
2021年のデータによると、モール全体の売上は約2.5兆円あるとされ、会員数は約5120万人にのぼります。
定期的に「タイムセール祭り」や、「サイバーマンデー」「プライムデー」といった大型セールを行っているほか、プライム会員限定のポイントアップキャンペーンなども開催しています。
さらに、購入時にAmazon Mastercard ゴールドを利用することで2.5%のポイント還元を受けることができるなど、さまざまな施策によって顧客の囲い込みを行っています。
①出品プラン
Amazonの出品プランは、「大口出品」「小口出品」の2つのプランです。
以下の表はAmazon公式サイトに従い、すべて税抜きで表記しています。

大口出品プランは月額登録料4,900円が請求され基本成約料は無料であるのに対し、小口出品プランは月額登録料は無料ですが、基本成約料が販売する商品ごとに100円かかります。毎月の出品数が49点以下で、広告や出品用ツールを使用する予定がない場合は、小口出品プランがよいでしょう。毎月50点以上販売する、また広告を出したり詳細な出品用ツールを使用したい場合は、大口出品プランの方がおすすめです。

1-2.商品を出品するECモール(マーケットプレイス型)

「マーケットプレイス型ECモール」とは、複数の企業が1つのモールプラットフォーム上で商品単位で出品するタイプのモール型ECサイトです。
代表的なものには「Amazon」「ZOZOTOWN」などがあります。
このマーケットプレイス型では、各企業は自分たちの商品データをモール側に提供し、モール側が商品の出品や販売に関する業務を担当します。
そしてユーザーが商品を購入すると、その購入データが企業に送信され、発送作業を行うという流れです。
従って、企業はあくまでも商品を出品するだけとなり、店舗という概念が薄くなりがちです。
また、モール側がサイトのデザインや運営をコントロールするため、企業側で自由にできる領域が限られます。
しかし、商品の出品や販売時の配送に集中することができるため、ECサイトの運用の負担が軽減され、事業の初期投資を抑えることができます。
特にAmazonのマーケットプレイスでは、後述する「FBA」を利用すれば、商品管理から発送までのあらゆる事務作業を担当してくれるため、商品確保にだけ注力することができるのも魅力です。

1-3.楽天

楽天市場は、楽天グループ株式会社が運営しているオンラインモールで、1997年に開設されました。
マーケットプレイス型と異なり、テナント型である楽天市場ではオンライン上の商店街にお店を出すような形となります。
商品のみを出品するのではなく店舗を出店するため、ユーザーにショップを認識してもらいやすいのが特徴です。
ユーザーにとっての最大のメリットは、クレジットカード・銀行・電気・ガス・スマホなど、日常生活に必要な様々なサービスを楽天グループで統一することで楽天ポイントを貯めることができるという点です。
これにより楽天ではユーザーの囲い込みに成功しており、2021年のデータではモール全体の売上は約1兆円、出店数は約56,000店舗で、会員数は約5370万人とされています。
複数店舗で買い物をすることで最大10倍の楽天ポイントが受け取れる「楽天お買い物マラソン」や、買い物の合計金額に応じてポイントの倍率が上がる「超ポイントバック祭」、3の倍数の月に開催される「楽天スーパーセール」など、ユーザーに嬉しいキャンペーンが定期的に開催されています。
さらに、ふるさと納税でポイントを獲得できる点も大きな特徴です。
また、同一の対応ショップ(39ショップ)内の購入金額が税込み3,980円以上となると送料無料になり(特定商品・一部地域を除く)、ユーザーはお得に買い物ができます。
①出品プラン
楽天の出店プランは1年契約で、現在は「がんばれ!プラン」「スタンダードプラン」「メガショッププラン」の3つのプランがあります。
こちらの表は公式サイトに従ってすべて税抜きで表記しています。

※1 無料期間中(終了時期未定)
さらに、有料で以下のオプションサービスを利用することもできます。

  • R-SNS(月額3,000円)

  • R-Mail(1通あたり1円(税別))

店舗から顧客へメールマガジンを送れる、楽天の持つ会員データを活用し幅広い広告メニューを揃えている、といった点も楽天市場へ出店する際の魅力です。

1-3.自店を出店するECモール(テナント型)

「テナント型ECモール」とは、モールプラットフォームの中で各店舗が独自のショップイメージを持ちながら、独立した店舗として出店するタイプのモール型ECサイトのことです。
テナント型では、各店舗がその責任において商品の管理や発送を行いますが、広告やサーバーの維持などはモール運営者が担当し、集客や決済などの業務はプラットフォームのサービスを利用することによって効率的に行うことができます。
代表的なものとしては、「楽天市場」と「YAHOO!ショッピング」が挙げられます。
テナント型ECモールでは自店の特徴をアピールすることで、リピート率の向上も期待できます。
サイトデザインに自由性があり、商品登録を自分たちで行わなければならないなど、出店までに時間はかかりますが、それでも売り場に個性を出したいという方にはおすすめです。

2.Amazonの2つのメリット

多くの顧客にとってAmazonは身近で信頼性が高く、出品者にとっても利用するメリットはいくつもあります。
ここでは特に「出品のしやすさ」と「発送やカスタマーサポートの負担軽減」について解説します。

2-1. 出品のしやすさ

「法人・個人を問わず、誰でも出店できる」という点がAmazon出品の最大の魅力です。
必要書類をアップロードするだけで、3営業日ほどで審査が完了するため、出店のハードルが低く、誰でも気軽に始められます。
また、Amazonは商品を1つずつ出品するマーケットプレイス型であるため、お店をゼロから構築する必要はありませんし、商品ページも手軽に作成できます。
小口出品であれば出品料が無料で、初期投資を抑えたい人にもおすすめできます。

【Amazon出品の必要情報】

  • Amazonアカウント(購入用アカウントと同一でもよい)

  • 利用者(事業体)の正式名称(個人の氏名、または法人登記名と代表者の氏名)

  • 住所

  • 電話番号(登録時の認証用)

  • メールアドレス

  • クレジットカード情報

  • 銀行口座情報

2-2. 発送やカスタマーサポートの負担軽減

Amazon利用のもう1つのメリットは、独自システムである「FBA(Fulfillment by Amazon)」です。
この有料サービスを利用することで、出品者は自社倉庫で商品を管理する必要がなくなり、Amazonの倉庫に商品を送るだけで以下のサービスを代行してもらえます。

  • 注文

  • 梱包

  • 発送

  • 返品対応

  • クレーム対応

  • 決済関係

  • 在庫管理

  • カスタマーサービス

FBAを利用すると、24時間365日の発送対応や迅速な対応が可能になり、売上が大幅に伸びたという事例も少なくありません。
また、自社の倉庫や人員を最小限に抑えることができ、業務の効率化を図ることができます。
さらに、FBAは海外出品にも対応しているため、グローバルな販売にも活用できます。

3.楽天の2つのメリット

楽天全体の会員数は現在1億人以上、EC流通総額は5兆円を超えているとされています。
大きなユーザーベースと高いシェア率を持つため、楽天市場での出店は多くのメリットがあるといえます。
ここでは「楽天ポイントの充実による高い集客力」と「商品ページのデザインの自由度が高い」という2点について解説します。

3-1. 楽天ポイントの充実による高い集客力

楽天市場最大のメリットは、楽天ポイントの充実による高い集客力です。
楽天ポイントは楽天グループ内でのポイント共通制度であり、楽天市場でのお買い物や楽天カードでの支払いなどで貯めることができます。
「1ポイント=1円」として利用することができ、ポイント還元率が高いセールや、ポイントバックキャンペーンが開催されることも多く、ユーザーにとって非常に魅力的なシステムとなっています。
また、楽天ポイントはグループ内の各サービスや提携店舗でも利用できるため、ユーザーは楽天ポイントが貯まることを目的に楽天市場でのお買い物をすることも多く、楽天市場の集客力を高めています。

3-2. 商品ページのデザインの自由度が高い

楽天市場は店舗ページのカスタマイズが自由にできるため、イメージに合わせて特色を出した店舗ページの作成が可能です。
これにより、以下のようなメリットがあります。
①ブランドイメージの表現がしやすい
楽天市場では、出品者は自社のブランドイメージを反映するようなページデザインを作成できます。
そのため、自社ブランドの強化やイメージアップにつながる可能性があります。
②ユーザビリティの向上
出品者は、自分たちの商品ページにカスタマイズを加えることで、ユーザーにとって見やすく、購入しやすいページに仕上げることができます。
また、商品情報の整理や商品の特徴の強調など、商品の魅力を最大限に引き出すことができます。
③競合店との差別化がしやすい
楽天市場では、多くの出店者が同じ商品を販売しています。
商品ページのデザイン自由度が高いため、出品者は自社のページを差別化することができ、競合店舗との差別化を図ることができます。
以上のように様々なCRM施策を取り入れることができ、商品だけでなくショップにファンがつきやすくなるほか、店舗内のクロスセルを狙うこともでき、リピート率のアップも図りやすいといえます。
また、HTMLがわからなくてもPC用ページが作成できる「compass for 楽天市場」は月額2,980円(税別)、最短5分でスマートフォンサイトが作れる「SUMAOU! for 楽天市場」は月額3,980円(税別)で利用できます。
これらはデザインテンプレートとしてだけでなく、商品・販売戦略分析ツール、SEOに特化したキーワード選定ツールでもあるため出品商品のアクセスアップや売上増加につながるでしょう。

4.Amazonの2つのデメリット

出品が無料でできることから膨大な出店数があるAmazonでは、デメリットとして「他社との差別化が難しい」「ブランド力の欠如による価格競争」という2点が挙げられます。

4-1. 他社との差別化が難しい

マーケットプレイス型のAmazonでは、ショップの内装を自由にカスタマイズすることができません。
このため、出店者は商品ページのフォーマットに沿って出品を行う必要があり、初心者にとっては出品がしやすい一方で、ショップの独自性をアピールしにくく他社との差別化が難しいという面があります。
そのため、Amazonでの出店を検討する場合には、商品自体の魅力や価格競争力の向上に注力することが必要となります。

4-2. ブランド力の欠如による価格競争

Amazonでは、ショップの独自性を出すことが難しく、ページ内でのブランドアピールが制限されるため、価格が購入の判断基準になりやすいと言われています。
また、Amazonでは異なる事業者が同じ商品を出品する「相乗り出品」ができるため、同じ商品が多数並ぶことになります。
これが価格競争に繋がり、ユーザーに買ってもらうためには価格を下げることが必須となります。
そのため、価格の安さが売上に大きく影響することが多く、結果ブランド力や商品の魅力が伝わりにくいというデメリットがあります。

5.楽天の2つのデメリット

楽天市場では、高品質な商品やサービスを提供することを目指しているため、「出品ハードルの高さ」と「自社で発送やカスタマーサポート」を行わなければならないというデメリットがあります。

5-1. 出店ハードルの高さ

楽天市場では法人や個人事業主のみが出店でき、個人での出店に対応していません。また、副業としての出店も禁止されています。
さらに審査に必要な情報や提書類が多く、Amazonに比べて審査のハードルは高いといえるでしょう。
審査通過にかかる期間は通常2週間以上とされ、審査通過後も作成した店舗ページのオープン審査を受ける必要があります。
【楽天市場の出店の必要情報】

  • 事業形態(法人/個人事業主)

  • 会社名(※個人事業主は屋号または氏名)

  • 本社所在地(※個人事業主は住民票の「住所」欄)

  • 代表電話番号(※携帯電話は不可)

  • 代表FAX番号

  • 代表者名

  • 店舗運営責任者(所属部署)

  • 郵便物の送付先

  • 連絡先電話番号(※携帯電話は不可)

  • 連絡先FAX番号

  • 連絡先メールアドレス

  • 取扱商材ジャンル

  • 決済情報

また、次の書類の提出が必要となる場合があります。

  • 取扱予定商材の販売に当たって必要な営業許可・資格等の書類
    (古物取扱、酒類販売、食品営業、医薬品販売等)

  • 商材の写真

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

  • 住民票・印鑑証明書(※個人事業主の場合)

  • 実店舗の写真(※個人事業主の場合)

5-2. 自社で発送やカスタマーサポート

自社倉庫に商品を保管している場合、梱包や発送などの作業は自社で行う必要があります。また、返品やクレーム処理などのカスタマーサポートも店舗が対応しなければなりません。
ただし、発送については従来はショップごとに商品を管理する方法が主流でしたが、最近では「RSL(楽天スーパーロジスティクス)」の利用も増えています。
RSLは楽天市場出店店舗向けの物流アウトソーシングサービスで、楽天が店舗に代わって商品の入荷、保管、配送までを一括して行います。
365日稼働し、あす楽などのオプションにも対応してくれるため、AmazonのFBAとサービス内容を比較検討してもよいでしょう。

6.Amazonと楽天市場のどちらを選ぶべきか

選ぶべきECモールは目的によって違うため、商品をどちらで出品するべきか迷ったら、訴求したい顧客層や成長目標を分析し、自社に合ったモール選びをすることが重要です。
AmazonはECショップ初心者でも出品しやすい点がメリットです。また、Amazonは「グローバルセリング」と呼ばれる越境ECを構築しており、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域などの海外へも商品を販売することが可能です。
出品の手間を省きたい場合や、越境ECを検討している場合はAmazonがおすすめです。ただし、他社との差別化が難しく価格競争になりやすいという点には注意が必要です。
一方の楽天は、集客力の高さと店舗ページの自由度が高いというメリットがあります。楽天市場では1店舗に1名のECコンサルタントが必ずつくため、運用施策や広告についての相談ができるという点も魅力でしょう。
さらに、楽天大学という出店店舗向けにECノウハウを提供する場が用意されており、初心者からでもネットショップならではの販売方法が学べます。
ただし、Amazonに比べると出品までのハードルは高めです。

7.Amazonと楽天の両方出品するのがベスト!

Amazonにはプライム会員が、そして楽天市場には楽天会員が存在します。
両方のモールに会員登録して使い分けているユーザーもいますが、一般的にはどちらかに特化して利用するユーザーが多数派です。
特に近年は、特定の自分好みのECサイトで継続的に買い物をするという傾向が強まっているようです。
また、Amazonのユーザーは男性の割合が高い一方、楽天のユーザーは女性が多いというデータもあります。
つまり、Amazonと楽天市場では顧客層が重複しにくくなっているということです。
こうしたことを踏まえると、売上増加には複数のECモールに出店する「多店舗展開」が重要になっていると言えそうです。
結論としては、Amazonと楽天市場のどちらを選ぶべきかについては、「可能であれば両方に出品することがベスト」ということです。
それぞれのECモールのメリット・デメリットをよく確認して、どちらかに出店するのか、両方に出店するのかを検討してください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?