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ECサイトリニューアル成功のための手順:押さえておくべき7つのポイント

ECサイトを活用した販売を試みているものの、「売上が思うように伸びていない」と感じているなら、それはECサイトのリニューアルを検討するタイミングかもしれません。
ECサイトを活用することで、実店舗販売以上の顧客集客を図れるようになりますが、それは最適なECサイト運用が果たされて初めて実現されることです。売上の伸び悩みの原因は運用しているECサイトそのものに潜んでいるケースは珍しくありません。
この記事では、ECサイトのリニューアルを検討すべき要因や具体的な手順、成功させるポイントや注意点について詳しく解説します。

この記事でわかること

  • ECサイトリニューアルの概要と検討すべきタイミング

  • ECサイトリニューアルの具体的な手順

  • ECサイトリニューアルにあたってのポイントと注意点

こんな方におすすめ

  • ECサイトの改善が必要と感じているがリニューアルが適切な手段なのか悩んでいる

  • ECサイトリニューアルを依頼するにあたり具体的な進め方を知りたい

  • ECサイトリニューアルにおける要点を理解したい


1.ECサイトのリニューアルとは?

ECサイトの「リニューアル」とは、サイトの土台となっている基幹システムを変更したり、すべてのページのデザインを刷新するといった、大規模なサイトの変更のことを表しています。
サイトの内容を変更する言葉としては「更新」というものもありますが、これは変更が小規模なケースに対して用いることが多いです。また、システムの不具合などへの対処を目的としたものは「改修」と表現されるため、リニューアルとは別物であるといえます。

2.ECサイトのリニューアルを検討するタイミング

ECサイトのリニューアルは、システム面からデザイン部分まで、サイト全体を根本から変更する、言い換えるならば大きな労力を要する作業だといえます。
負担の大きな取り組みだからこそ、ECサイトのリニューアルが本当に必要であるのか否か、適切に判断できることが望ましいです。
そして、適切な判断を下すにあたって、以下のようなケースに該当する場合、ECサイトのリニューアルを前向きに検討することを推奨します。

  1. システムの老朽化でパフォーマンスが低下している

  2. 機能面の不足により作業コストが膨らんでいる

  3. スマートフォン・タブレットに非対応である

  4. ECサイトのデザインを一新したい

  5. 売上やKPIの低下

以下では、上記ECサイトのリニューアルを検討すべきタイミングや、課題ケースをリニューアルによって解消した際に期待できる具体的な効果を解説します。

2-1.システムの老朽化でパフォーマンスが低下している

ページの更新速度が遅いなど、システムの老朽化によるサイトのパフォーマンス低下は、ユーザー側からするとサイト使用性の低下を強く感じるものです。
スムーズに情報を得られない、買い物を進められないのはサイトユーザーにとって大きなストレスとなるでしょう。カゴ落ち(商品をカゴにまで入れたのに購入に至らない行為)など、売上に直結する問題の原因になることも懸念されるため、急務で解決が必要な状態だともいえます。
また、サイトパフォーマンスの改善によって上記の問題を解決できるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスの価値向上を図れるのもリニューアルの利点です。
購入者情報の最適化とレコメンド機能を搭載することで、サイトユーザーにとって購入したいと思える商品を見つけ出しやすくなるでしょう。

2-2.機能面の不足により作業コストが膨らんでいる

サイトを支える基幹システムが旧来のままとなっていると、次第にパフォーマンスの低下を起こし、パフォーマンスを維持するための余計な作業コストを費やさねばならない事態となります。
パフォーマンス維持に労力を費やしても、ECサイトをはじめオンライン・ITの技術は日々進歩しており、そのような技術を取り込んだサイトに勝ることはないでしょう。結果的に競合のECサイトに市場優位を奪われていく事態にもなりかねません。
リニューアルを行えば、上記コストの縮減が図られます。人的にも金銭的にもコストカットを行えるため、リニューアルへの投機費用が大きくとも、リターンを見込むことも可能といえます。
また、顧客情報管理の最適化などサイト運営者にとって便利なものにも改善できるため、新たな事業を打ち出すための情報収集源にすることができるのも大きな利点だといえるでしょう。

2-3.スマートフォン・タブレットに非対応である

一昔前とは異なり、ネットやオンラインに接続するための媒体はパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットにも及ぶようになりました。
総務省から公表されている情報によると、日本におけるスマートフォンの世帯保有率は2021年時点で約90%にも上っています。世界的に見てもスマートフォンの普及率は著しく、ECサイト運営にあたってはスマートフォン・タブレットへの対応が必須事項となっています。
レスポンシブ対応(サイトを閲覧する際の媒体に応じたサイトの表示方法を最適化すること)とすることで、パソコンからスマートフォン・タブレットまで、消費者行動や外部環境の変化へ柔軟な対応をすることが可能となります。
情報検索ツールとしてパソコンではなくスマートフォン・タブレットを利用するユーザーが増えている現代において、レスポンシブ対応の実装はリニューアルにあたり欠かせない取り組みだといえます。

2-4.ECサイトのデザインを一新したい

ECサイトは商品を販売するための媒体機能だけでなく、商品を販売するブランド・商品の魅力などを企業や商品に代わって伝える機能も有しています。
特に、ECサイトのデザインが大きな影響を及ぼしますが、サイトデザインとブランドイメージや商品デザインの整合性が取れていないと、顧客に魅力が伝わらず理想とする売上達成に結びつかなくなります。整合性の違いを感じるなどの声が顧客から挙がってくる場合にはリニューアルが必要でしょう。
サイトリニューアルによって顧客に対する商品やブランドの訴求力が高まるようになりますが、デザイン面でのリニューアルが大きな効果をもたらすのは、事業拡大や社名変更、マーケティング戦略変更などのタイミングです。
それらの変更に伴い、ターゲットとする顧客も拡大したり、変更したりと最適な訴求方法が変化すると考えられるためです。デザイン刷新の際のひとつのタイミングとして抑えておきましょう。

2-5.売上やKPIの低下

売上やKPI(重要業績評価指標)は企業経営を持続する上で、成長・向上を続けることが理想的だといえます。もしも、ECサイト運用における売上・KPIの低下が生じているのならば、何らかの問題がECサイト上で生じていることが考えられます。
売上・KPI低下の原因が特定できることが望ましいですが、サイトデザインやユーザーインターフェース、サイト内コンテンツなど、多様な問題が複雑に絡み合っている場合には、抜本から解決を図れるサイトリニューアルが最適な解決策だといえます。
そして、ECサイトのリニューアルを行えば売上・KPIの回復、さらなる向上を図れるようになるでしょう。ただし、サイト運用上の問題の複雑化を再度引き起こさないために、サイト閲覧者だけでなく、運営者にとっても使用性の高いサイトになるように注意しましょう。


3.ECサイトのリニューアル手順

ECサイトをリニューアルすべきタイミングは分かっていても、具体的にどのようにリニューアルが進められていくのか、全体像を理解しておかないとリニューアルの依頼もしづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ECサイトのリニューアル手順を7つのステップに分けて、それぞれを詳しく解説しています。

3-1.プロジェクトチームの発足

まずは自社内でECサイトリニューアルを主導するプロジェクトチームを立ち上げましょう。
ECサイトリニューアルでは、これから後述するステップを含め、さまざまな場面で方針決定を下すタイミングが訪れます。プロジェクトチームの編成にあたっては、意思決定を行うために必要となる情報を網羅的にカバーできるように人員を揃えてみましょう。
また、提案依頼書の作成が完了した後には、ECサイトのリニューアルを執り行うベンダーとも連携を取っていくこととなります。
自社内でのコンセンサス構築に長けた人員だけでなく、社外関係者とも円滑な連携を行える人員も加えておくと、プロジェクトチームの理想とするECサイトリニューアルを実現しやすくなるでしょう。

3-2.現状の課題の洗い出しと目的の明確化

ECサイトのリニューアルを依頼する際には、自社内で何を課題と感じているのか、課題を解決してどのように改善を図りたいのかなどを明確化させておく必要があります。
「売上低下を改善するためにECサイトをリニューアルしたい」といった漠然とした要望では、EC開発会社とプロジェクトチームでの意見の擦り合わせが適切に行えず、プロジェクト全体の遅延を招く事態となります。
課題が複雑化しており問題の整理・明確化が難しい場合でも、何に問題を感じているのかをリストアップし、的確に伝えられるようにしておくことが望ましいです。
また、目的の明確化においては、課題の解決を通じて果たされる目的であるのかを精査することが重要となります。
課題と目的のつながりを意識しておくことで、目的に対して解決が必要である課題が何であるのか、課題解決によって得られる効果が何であるのかを見極めやすくなるでしょう。

3-3.KPIを念頭に置いたリニューアル計画の策定

リニューアルの目的が明確に定められたら、目的達成に向けたKPIを設定しながら、より詳細なリニューアル計画を策定していきましょう。
具体的には、「売上アップ」という目的を細分化し、「現状2万のPVを5万に向上させる」「サイトの平均滞在時間を3分から5分に伸ばす」「カゴ落ち率を30%削減する」など数値目標に落とし込んでいくことが望ましいです。
また、目標実現に向けて必要となる取り組みを細分化することで、それぞれにどれくらいの時間や費用を割くのかを整理できるようにもなります。
プロジェクト全体として費やせる時間と金銭を勘案して、適切なリソース配分を行うようにしましょう。

3-4.RFP(提案依頼書)の作成

プロジェクトチーム内で決定してきた各種の方針をRFPに落とし込みましょう。外部と連携を取る際に口頭で要件を伝えてしまっては、思わぬ事態を招くことになりかねないため、方針内容を正確に書面に記すようにしましょう。
また、RFP作成時にはプロジェクトチーム内で再度、共通認識の構築を図り、チーム内の誰が外部交渉・連絡を行うにしても、チームとしてのリニューアル方針がずれることのないようにしておきましょう。
RFPへの記載内容としては最低限、以下の内容を盛り込むようにしましょう。

  • サイトリニューアルの全体概要(プロジェクト概要・リニューアルの経緯と目的・現状の課題・想定スケジュール・予算)

  • 具体的な提案要件(現在サイトのシステム構築・システムにおける課題と解決イメージ)

  • リニューアルにあたっての必須要件(リニューアルの手法と規格・リニューアル後サイトの機能面に関する要件・機能面以外の要件・運用と保守体制・教育や研修体制など)

  • 補足情報

3-5.ベンダーの選定と契約

RFPが作成できたらECサイトのリニューアルを依頼するベンダーを選定しましょう。ベンダー選定を行う上で最も重要となるのは、企業のリニューアルに対する意図を第一に汲み取ってくれるかどうかにあります。
スケジュールや予算の面からリニューアルに取り入れられない内容が生じる可能性もありますが、意見の擦り合わせを密に行うことができ、企業と一体となってリニューアル実現に向けて取り組む、パートナーとも呼べるようなベンダーを選定できると理想的でしょう。
選定におけるオーソドックスな方法は、依頼内容を実現可能なベンダーの調査と問い合わせを行い、コンペという形でベンダーの選定を一斉に行うというものです。
ベンダーの実績やコンペでの内容が自社のリニューアルの目的やコンセプトにマッチしているのかを重視して選定するようにしましょう。

3-6.システムの要件定義

ECサイトリニューアルにおける要件定義とは、企業とベンダーとの間で各種必要な要件と業務の整合性とギャップを確認し、リニューアル後のECサイトの在るべき姿を認識のずれが無く明確にすることを指しています。
要件定義にて明確にすべき点は多岐にわたりますが、特に以下の要素は重要性が高いため、常に念頭に置いて検討を進めることが求められます。

①必要要件の洗い出し
サイトに求める機能やセキュリティ要件など、リニューアル後のECサイトで目的を実現させるために必要な洗い出しを行います。

②標準機能とカスタマイズの切り分け
洗い出した要件のシステムの適合部分と乖離部分の抽出を行います。それぞれの要件を標準機能で賄うのか、乖離を無くすためにカスタマイズを施すのかといった観点で行います。

③運用時の業務フローの確認
商品受注時の社内処理、顧客への配送対応など、リニューアル後のECサイトにおける業務フローの確認を行います。
企業側の立場で業務効率化が難しいと感じる部分であっても、ベンダーにとっては更なる効率化を図れるというケースもあるでしょう。検討を進めるにあたり、現場業務を把握している担当者も打ち合わせに加わっておくことが望ましいです。

④サイトのインフラ環境の検討
ECサイトを稼働させるためのサーバーなど、インフラ環境の検討を行います。インフラ整備における主な手法は、自社で必要なサーバーや機器を用意する「オンプレミス」と、ベンダーが用意したインフラ環境を利用する「クラウド」があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、セキュリティ面、システムの自由度、サイトの規模感などを鑑みて検討を進めるようにしましょう。

⑤サイトデザインと制作方法の決定
サイトデザインはECだけに留まらず、企業コンセプトやブランドイメージに関与するものです。
検討を進める際には、サイトトップページ、商品詳細ページ、問い合わせページ、購入ページなどのイメージを固めた上で、使いやすさ・見やすさを兼ね備えたものにする必要があります。

⑥導入する決済方法の検討
近年は決済方法の多様化が進み、従来のクレジットカード決済、代金引換、コンビニ決済だけでなく、PayPay、d払いなどの新たな決済サービスを導入する企業も増えています。
ターゲット顧客のニーズに合わせた決済サービスの導入を実現できるよう、ベンダーと擦り合わせを重ねていきましょう。

⑦商品配送のルール設定
商品配送の送料や配送日時の設定など、リニューアル実施に際して見直しを行いましょう。現在のECの注文における商品の配送体制を事前に把握しておくとスムーズに要件定義を行えるでしょう。

3-7.リリースに向けた運用準備

要件定義で決定した内容を基に、サイトオープンまでに必要な運用準備を進めておきましょう。ECサイト内で使用するデータに限らず、マーケティング施策、規約や社内ルール、運用教育など多岐に亘ります。
特に重要となる以下のものはサイトオープンまでに必ず用意しておきましょう。

  • 運用ルール

  • サイトの利用規約

  • 注文確認や発送完了時などに送るメールフォーマット

  • 商品情報などの移行予定データ

  • ドメインやURL変更に対応したリダイレクト設定

  • サイトオープン後のベンダーとの連携方法


4.ECサイトのリニューアルを成功させるポイント

ECサイトのリニューアルは相当額の費用を割いて実施される大規模な取り組みです。金銭に限らず、時間も人員も多く費やすことにもなるでしょう。
それだけ多大なコストを投じて行うものだからこそ、リニューアル後に「思ったような結果を得られなかった」といった事態に陥るのは避けたいものです。
ここでは、ECサイトのリニューアルを成功させるポイントを紹介します。

4-1.ターゲティングに合わせたデザイン設計

ECサイトリニューアルの大きな特徴は、システムはもちろん、サイト全体のデザインの一新を図れる点にあります。
サイトデザインはECに限らず、商品イメージや企業コンセプトなどにも影響を与えうるものであり、まずはそれらとサイトデザインの整合性が取れるようにすることが望ましいです。
また、デザインの整合性だけでなく、ターゲット顧客に好ましいシステムデザインとなっているかも十分に検討しましょう。サイトトップページから商品購入までの導線を整理することで利便性の向上が図れます。

4-2.モバイルフレンドリーなUI/UX設計

先にも触れたように、オンラインへのアクセスがパソコンからモバイル端末へと拡大しつつある現代において、モバイルフレンドリーなUI/UX設計はECサイト運用における必須事項となっています。
指で触れての操作が一般的であるモバイル端末の使用を考慮すると、サイト内での選択アイコンなどのサイズは小さ過ぎず、タップしやすいと感じる大きさであることが望ましいでしょう。
また、スライドやストレッチ、ピンチなども指で操作するモバイル端末ならではの動作であり、このような動きに対応したECサイトとすることでサイトユーザーにとっての快適性が向上するようになるでしょう。

4-3.基幹システムやツールと連携できるプラットフォーム選び

ECサイトのプラットフォームが、商品管理などを担う企業内の基幹システムや各種のツールと連携できるものであると、サイト運用者にとっても利便性が向上したECサイトを構築が期待できます。
ECサイト上での売上データなどが基幹システムに随時反映されることで人的にも時間的にもコストカットを図ることができます。また、それらのデータを基にした事業の立案などにも役立てることが可能となるでしょう。
連携の機能を理解し、その目的を明確化しておくことが前提ですが、さまざまな機能と相互につながることのできるプラットフォームを選択することで、ECサイトに留まらない幅広い施策を打ち立てることができます。

4-4.将来的なトラフィックを想定したインフラ環境の設定

サイトをリニューアルすることでトラフィック(Webサイトまたは特定のWebページへのアクセス数)の向上を期待できます。
将来的にトラフィックの上昇が考えられるのに、その状況に対応できないインフラ環境となっているとリニューアルの効果も低減してしまいます。
リニューアルに伴って、将来的なアクセス増加にもスムーズに応答できるインフラ環境のスペックがどの程度必要であるのかを考えることが重要となります。

4-5.SEO・コンテンツマーケティングでの潜在顧客の獲得

明確な購買意欲になっていないものの、商品に関連した興味関心を抱く顧客に対して、関係性の深い適切な情報を提供することで集客を図り、購買意欲の醸成、最終的に購買へと導く「コンテンツマーケティング」はEC戦略において重要性の高い取り組みのひとつです。
また、戦略を実践する中で作られる各種のコンテンツ(サイト内記事やコラム、特集など)はサイト内に蓄積されていき、それ自体が資産となっていくため、長期的な見方をすると費用対効果に優れているのもコンテンツマーケティングの強みです。
サイトリニューアルは従来実践していなかったコンテンツの実践を検討する良い機会となるため、ぜひ潜在顧客の獲得を目指してコンテンツマーケティングを取り入れてみましょう。

4-6.セッション数を増加させる広告の最適化とLPO

ユーザーのサイト訪問に関して重点を置くSEOに対し、ユーザーがサイトに訪問してからのCV(コンバージョン)に重点を置くLPO(Landing Page Opptimization)。
検索エンジンや広告からサイトを訪れた際の最初のページがランディングページにあたり、ユーザーニーズに照らし合わせて改善を図る行為がLPOにあたります。
ランディングページにてサイト訪問者の興味関心を高めることができれば、LPに限らず、その他のページを閲覧する可能性が高まり、セッション数の増加につながります。
ECサイトリニューアルにおいては、検索順位の向上を図るだけでなく、実際にユーザーのサイト訪問を実現してからの施策も忘れずに取り入れるようにしましょう。

4-7.リニューアル後の成果のモニタリング体制

ECサイトのリニューアルを実践するにあたり、現状の課題特定と改善方法の検討を進めていきますが、リニューアルが完了すれば、すべての課題を改善できるようになるわけではありません。
リニューアル後こそ継続的なモニタリングを行い、リニューアルの成果がきちんと現れているのかを確認することが重要となります。
事実、リニューアル実施後すぐに成果が表出することは稀であり、期待するだけの成果を得るにはモニタリング結果に基づいたトライ&エラーを繰り返すことが必要です。
サイトリニューアルを検討するタイミングから、リニューアル実施後のことまで考慮しておくとともに、モニタリング体制を自社内で築くのか、ベンダーの手を借りるのかなども議論することが重要となるでしょう。


5.ECサイトをリニューアルする際の注意点

ECサイトをリニューアルすることで、売上に貢献する効果の増大が見込めるのは確かです。ただし、それは成功のためのポイントやリニューアルにあたって注意すべきことを理解しているからこそでもあります。
成功のためのポイントだけでなく、注意点を把握しておくことで、トラブルを回避し円滑なリニューアルプロジェクトの進行を実現できるようになるでしょう。
最後に、リニューアルする際の注意点に関して解説します。

5-1.要件定義の漏れやスケジュールの遅延を防ぐ

要件定義はリニューアルにおける適合部分と乖離部分の確認を行い、企業とベンダーとの認識を合わせる作業です。そして、リニューアルに際した確認事項の検討は漏れがないように網羅的にカバーすることが必要です。
要件定義に漏れがあると、追加で確認をするための時間が必要となり、プロジェクト全体の進行を遅らせることになってしまいます。
要件定義を網羅的に行うには、プロジェクトを進行するチームメンバーを商品販売の現場からサイト運用、更には経理などまで幅広い部門から招集することが望ましいでしょう。
スケジュールの遅延は要件定義の漏れに限らず、メンバー間、ベンダーとの連絡不足などによって生じることが大半です。密な連絡を行い、プロジェクト関係者全員で進捗の把握を行える体制を築くようにしておきましょう。

5-2.リニューアル後のリスクも想定しておく

サイトリニューアルを行うことで現状のECサイト利用における課題解決を見込めることは確かですが、一概にメリットばかりがあるのではなく、リスクを含んでいることも重々理解しておきましょう。
例えば、「サイトパフォーマンスの低さに紐付いたカゴ落ち率の高さ」という問題の場合、リニューアルによってパフォーマンスの低さを解消できたとしても、カゴ落ち率が格段に改善できるようになるとは限りません。カゴ落ち率の高さがサイトパフォーマンス以外の要因からも影響を受けている可能性があるためです。
最悪の場合、リニューアル失敗という結果に終わる可能性もあり、計画時のタイミングから各種のリスクも想定しておくようにしましょう。

5-3.リリース後の顧客対応を円滑にできる体制を整える

サイトリニューアルは、ECサイト運用における課題改善などを目的とした上での一手段であり、リニューアルすること自体が目的となってしまわないように十分に注意しましょう。
リニューアルが目的化してしまった場合のよくある失敗例は、リニューアル後の運用体制といった計画が十分に行われておらず、リリース後、適切なサイト運用がなされないことです。
目的の履き違えが起こらないようにするにはプロジェクトの全体像を明確に把握しておくことが重要となります。プロジェクトの始動から完結後の運用までを計画に盛り込み、リリース後の顧客対応こそ適切なものとなる体制を築くようにしておきましょう。

5-4.リニューアルの実績が豊富な制作会社に依頼する

ECサイトのリニューアルは、売上向上に大きな効果を期待できる取り組みだといえますが、相当の費用が掛かるのも事実です。また、リニューアルに求める要件や業務依頼が多かったり、難易度の高いものであったりすると、条件を満たすために請求される費用も高くなるでしょう。
リニューアル内容と料金はトレードオフの関係にありますが、ベンダーを選定する際には、定められた予算の中でも品質の高いリニューアルを実現できる、実績豊富な制作会社に依頼することが望ましいでしょう。
実績豊富な制作会社であれば、企業側が想定していなかった改善案の提案や新たな要件の追加への柔軟な対応なども行える可能性が高いと考えられます。制作会社選びの際の検討事項として念頭に入れておきましょう。


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