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EC運用のすべて|成功させるための8つのステップを徹底解説!

ECサイトの運用業務は多岐にわたり、複雑さを伴います。
自社で運用する場合も、運用代行を選ぶ場合も、具体的な運用ステップを把握しておくことは重要です。
本記事では、未経験の方にもわかりやすく、フロント業務やバックエンド業務の手順、そしてWEBマーケティングの基礎施策と、成功への鍵となるデータ活用の重要性とその効果について詳しく解説します。
ECサイトの運用戦略を構築するためにお役立ていただければ幸いです。

この記事でわかること

  • EC運用業務の流れ

  • WEBマーケティングの基礎的な方法

  • EC運用を成功させるために必要なもの

こんな方におすすめ

  • ECサイトの運用を始めたい

  • EC運用に行き詰まりを感じている

  • データの活用方法がわからない


1.EC運用の8つのステップ

ECサイトの運用業務は、主に「フロント業務」と「バックエンド業務」の2つに分けられます。
フロント業務は集客や商品の売上向上に直結する業務で、競合分析やペルソナ設定、商品企画、仕入れ・製造、ECサイトの運用とマーケティング活動などを担当します。
ECサイトへの訪問者数を増やし、顧客の関心を引くための積極的なプロモーションや戦略的なマーケティングがフロント業務には求められるでしょう。
一方のバックエンド業務は、販売プロセスを支え顧客の満足度を高めるための業務を担当しており、具体的には、受注処理と在庫管理、出荷作業、アフターサービスなどの事務作業です。
バックエンド業務は、注文の受け付けから商品の到着までのスムーズな手続きを確保し、顧客に信頼性と満足感を提供するために重要な役割を果たします。
これらフロント業務とバックエンド業務は、ECサイトの総合的な成功に不可欠な要素といえます。
両方の業務が効果的に連携して顧客のニーズを満たし、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することで、ECサイトは競争力を高め成果を上げることが可能です。

ここでは、EC運用業務の流れを詳しく紹介します。

1-1. 競合分析・ペルソナ設定(フロント業務)

①競合分析
まずは競合他社や同業他社の戦略や業績、商品・サービスの特徴などを詳細に調査し分析します。
分析を通じて、自社の位置や強み、競争力を客観的に把握することは、戦略や施策の改善点や新たな競争戦略の立案に役立つでしょう。
競合のマーケットシェアや顧客へのアプローチ方法、価格設定などを調査し、自社との比較や差異点を明確にすることで、市場での差別化や顧客のニーズへの適切な対応を行うことができるようになります。
また、競合の成功・失敗事例から学び、自社の戦略の見直しや施策の改善に生かすことも重要です。
競合分析は戦略立案やビジネスの方向性を明確にするための貴重な手法であり、競争環境の変化に柔軟に対応するために欠かせません。

②ペルソナ設定
ペルソナとは、想定する顧客像やターゲットユーザーを具体的に設定したものです。
ペルソナ設定を通じて顧客のニーズや行動パターン、好みなどを具体的に把握することができるようになります。
広範な顧客層を具体的なターゲットに絞り込むことで、マーケティングやプロモーション活動の効率性が向上し、限られたリソースを最適に活用することも可能です。
またペルソナ設定は、ウェブサイトやアプリのデザインや機能開発にも影響を与えます。
顧客の特性や好みに基づいた、使いやすいインターフェースやパーソナライズされたコンテンツを提供することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが可能です。

1-2. 商品企画(フロント業務)

フロント業務の中でも重要な役割を果たすのが「商品企画」です。
ユーザーのニーズや市場調査の結果をもとに、商品のコンセプトと特徴を決定します。
ここでは商品の魅力や付加価値を明確化することで、ユーザーに対して訴求力のある商品を企画することが重要です。
必要があればプロトタイプを作成してテストを行ってアイデアを具体的な形に落とし込み、改善を行いましょう。
また、商品企画では、マーケティング戦略と販売計画の策定も重要な要素です。
マーケティング戦略では、商品のターゲット層やプロモーション方法、価格設定などを決定し、競争力を獲得するための戦略を立てます。
販売計画では、商品の原価率や利益率の計算を行い、目標売上や販売促進活動、在庫管理など具体的なビジネスプランを計画し、実施するスケジュールを立てることが大切です。

1-3. 仕入れ・製造(フロント業務)

フロント業務における仕入れと製造は、商品の供給を確保し、顧客の要求に応えるために重要な役割を果たします。

①仕入れ
仕入れの主な目的は、商品の在庫を確保し、顧客の需要に応えることです。
そのためには、高品質な商品を提供してくれる信頼できる仕入先を選定し、予算やマージンに合わせた適切な価格交渉を行うことが必要になるでしょう。
販売予測に基づいて商品の数量や納期を指定して発注を行い、また、納品が適切に行われたかを管理し、品質や数量の確認を行います。
納品後は仕入れた商品を適切に保管し、在庫管理を行いますが、これには在庫の監視や回転率の管理、商品の陳列や整理なども含まれます。
可能であれば、複数の仕入先を確保しておくと、予測不能な注文数の急増などにも対応しやすくなり、機会損失を防ぐことができるかもしれません。

②製造
製造は、自社で商品を生産する場合に関わる業務で、自社ブランドや独自の商品を提供するために必要となります。
以下に製造プロセスの一般的な流れを示します。

  • 商品企画と設計

  • 原材料調達

  • 生産

  • 品質管理

  • 在庫管理

仕入れと製造は、商品の供給を円滑に行い、顧客の満足度を高めるために欠かせない業務です。
正確な需要予測や適切な仕入れ先の選定、効率的な生産プロセスの確立などが求められます。

1-4. ECサイト構築・運用(フロント業務)

ECサイトの制作にあたっては、自社の売上規模や運用費の予算に応じて、最適な制作手法を選択する必要があります。
例えば、年商一億円未満の小規模ECサイトの場合は、まず無料のASP(Application Service Provider)サービスや、月額数千円〜数万円のECプラットフォームの利用を検討するとよいでしょう。
年商一億円以上の大規模なECサイトでは、フルスクラッチ型やパッケージ型などの制作手法が推奨されます。
また、技術力があれば、オープンソースを活用してECサイトを作ることも選択肢の一つです。
プラットフォームの決定後は、見やすくわかりやすい、そしてブランドイメージに合ったデザインでサイトを制作します。
ただし、ECサイトの運用は構築して終わりではありません。サイトの運用には、継続的な更新管理業務が不可欠です。
ECサイトでは、「撮影」「採寸」「原稿」の頭文字を取った「ささげ業務」が特に重視されています。
この業務では、商品の撮影を行って商品写真を準備し、商品のサイズを測定し、商品紹介文を作成して、それらの情報を商品ページに掲載するなどの更新作業を行います。
単純な作業のようですが、ささげ業務は実際の購買の決め手となるため、ECサイトにおいては非常に重要な業務です。
商品の魅力を効果的に伝えるための工夫を怠らずに実施することが求められます。
これらのポイントを意識しながらECサイトの構築と運用を行うことが、成功につながるでしょう。

1-5. グロースマーケティング(フロント業務)

グロースマーケティングとは、企業やブランドが持つ製品やサービスの成長を促進するためのマーケティング戦略と手法のことを指します。
従来のマーケティングとは異なり、単純な広告やプロモーションに頼るのではなく、データ分析と実験を通じて持続的な成長を追求します。
グロースマーケティングでは、顧客獲得や顧客活性化、顧客の継続的な関与とロイヤルティの構築を重視します。
具体的には、顧客のニーズや行動を理解し、効果的なマーケティング施策を実施するためにデータ分析やA/Bテストなどを活用します。
また、製品やサービスの改善や顧客体験の向上を通じて、顧客の満足度やリピート率を高めることも重要な要素です。
具体的な方法は「WEBマーケティングの3つの基礎施策」の項で解説します。

1-6. 受注・在庫管理(バックエンド業務)

受注と在庫管理は、顧客が商品を購入した後に発生するバックエンド業務です。

①受注
受注処理では、顧客からの注文情報を受け取り、それを基に商品の発送や支払い処理などを行います。
まず注文状況を購入者に通知するメールを送信し、次に在庫の引き当て作業、最後に出荷指示を行います。
この段階でのミスは配送遅延や商品の破損などにつながるおそれがあるため、細心の注意を払いながら作業を進める必要があります。
正確性と迅速性を重視し、お客様に優れたサービス体験を提供することで、顧客満足度の向上とビジネスの信頼性の確立につなげましょう。

②在庫管理
在庫管理は、商品の供給と需要を調整する重要な業務です。
在庫の過不足を管理することは、販売予測に基づいた適切な在庫投入だけでなく、過剰在庫や品切れの回避も含まれます。
このため、ある程度の経験値が求められる業務です。
特に、実店舗があったり複数のモール展開を行っているECサイトでは、在庫管理が複雑化してしまいがちです。
多様な販売チャネルでの売上データを統合し、在庫を適切に管理する必要があるため、在庫管理システムの導入や自動化を検討することも必要となります。

1-7. 出荷作業(バックエンド業務)

商品の出荷作業では、出荷指示に基づいて倉庫から商品をピックアップし、梱包を行い、最終的な発送作業を行います。
梱包は商品が破損しないようにするだけでなく、自社への印象を左右する要素でもあります。
美しい梱包箱や手書きのメッセージを添えるなどの工夫をすることで、顧客へ特別な体験を提供し、リピート購入に繋げることも可能です。
顧客が商品を購入する際に抱いた期待を裏切らないようにすることが重要となります。

1-8. アフターサポート(バックエンド業務)

アフターサービスでは、クレーム対応や問い合わせへの迅速な対応、商品が顧客の手元に届いた後にレビュー投稿を促すメールの配信など、様々な取り組みが行われます。
アフターサービスの内容や質は、顧客への信頼度を向上させる重要な要素です。
顧客が商品やサービスに満足し、信頼を寄せてもらえるようなアフターサービスを提供することによって、リピーターの獲得と顧客との長期的な関係を実現することができます。


2.WEBマーケティングの3つの基礎施策

ここでは、WEBマーケティングにおいて代表的なプロモーションチャネルを3つ挙げて解説します。

2-1. SEO対策(検索エンジン最適化)

SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、ウェブサイトの集客を向上させるために重要な取り組みです。
その目的は、検索エンジンでの上位表示を獲得し、多くのユーザーがウェブサイトにアクセスできるようにすることです。
ブログ等を使用したコンテンツマーケティングは、予算を割かずにプロモーションを行えるため、即効性はないものの中長期的な施策に向いているといえます。
SEO対策を継続的に行うことで、広告外からの流入を増やし、持続的な集客力を高めることができるでしょう。

2-2. 広告運用

WEB広告は集客のためには不可欠なものですが、予算を要するためコストと効果のバランスを注意深く検討する必要があります。

①リスティング広告
GoogleやYahooなどの検索エンジンでは、上部に表示される広告枠を利用することができますが、その効果は高い一方で費用もかかります。
しかし、ECサイトにおいては、低価格帯の商品では広告費を投じると利益が見込めない場合が多く、リスティング広告との相性は良いとはいえません。
ただし、一定の広告予算を確保できる場合には、即効性のあるリスティング広告は非常に効果的です。

②ディスプレイ広告(リマーケティング広告)
ディスプレイ広告の中でも、リマーケティング広告は特に効果的な広告手法です。
この広告は、自社の商品やサービスに興味を持ったものの、離脱してしまったユーザーに対して表示されます。
そのため、再アクセスや購買意欲の喚起に非常に効果があるといえます。

③アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、他のウェブサイトやブログなどのパートナーサイトに自社の広告を掲載し、成功報酬型の広告費用を支払う仕組みです。
期間限定でプログラムに力を入れるなど、使い方によっては効果の高い広告ではありますが、毎月の承認作業や不正行為の確認など、一定の手間や労力を必要とすることに注意が必要です。

2-3. SNS運用

近年ではSNSマーケティングは、その強力な拡散力を活用してファンの獲得と自社サイトへのアクセス増加を促すために不可欠なチャネルといえます。
自社のSNSアカウントを運用するだけでなく、インフルエンサーとのコラボレーションや商品紹介の拡散などの方法もあります。


3.EC運用における4つの課題

EC運用にたちはだかる課題とは何でしょうか?
ここでは「EC市場の競争激化」「ネットワークインフラの整備」「顧客との信頼関係の構築」「在庫管理」という4つの問題を取り上げています。

3-1. EC市場の競争激化

インターネットとスマートフォンの普及により、多くの消費者がオンラインで商品を購入するようになりました。
近年ではコロナ禍の影響もあり、多くの企業がオンライン販売に参入して顧客獲得や売上拡大のために競い合っています。

競争激化は以下のような要素によって引き起こされていると考えられます。

  • 低コストでも参入が可能となった

  • ECプラットフォームの増加 

  • 大手メーカーのEC参入

3-2. ネットワークインフラの整備

ECサイトを運用するには、ネットワークインフラの整備が欠かせません。
これにはサーバーの用意、CDN費用の計上、セキュリティ対策、継続的なシステム運用の管理コストなど、様々な要素があります。
これらのインフラ整備には費用と時間がかかりますが、スムーズなサイトアクセスと安全な取引環境を提供することで、信頼性を高め、顧客の利便性と安心感を確保しなければなりません。

3-3. 顧客との信頼関係の構築

消費者は優れたオンラインショッピング体験を求めています。
ウェブサイトやモバイルアプリの使いやすさ、スムーズな決済プロセス、質の高いカスタマーサポート、そして迅速な配送など、重視される要素はさまざまです。
このような要求に応えるためには、卓越したカスタマーエクスペリエンスを提供する必要があります。
また、セキュリティも消費者にとって重要な要素です。
個人情報や支払い情報の保護が確保されていることは、顧客との信頼関係を築くために不可欠です。
競争の激化する中で、カスタマーエクスペリエンスの向上による信頼関係の構築は、企業の成功に直結する要素となっています。

3-4. 在庫管理

ECサイトの成功には、適切な在庫管理が欠かせません。
在庫が不足していると顧客の注文を受けることができず機会損失が生じますが、逆に、過剰な在庫を抱えると経営を圧迫することにつながります。
正確な在庫情報を持たなければ、的確な受注処理や配送を行い、サービス品質を向上させることができません。
顧客は常に迅速かつ正確な納品を期待しているため、在庫管理の効率性は顧客の信頼を築くために重要な要素です。


4.EC運用の課題を解決し、成功に導くためのデータ活用

データ活用は、EC運用において課題解決と成功への鍵となります。
適切に収集・分析されたデータは、貴重な情報源となり、意思決定や戦略立案の基盤として活用できます。
さらに、過去のデータを基にトレンドを分析し、将来の需要予測や市場動向を把握することで、戦略的な意思決定が可能となるでしょう。
これらが問題点の迅速な改善や競争優位性の確立に繋がれば、データ活用は事業の持続的な成長にも大きく寄与します。


5.データ活用が重要な5つの理由

データ活用の重要性を以下に5つの理由を挙げて解説します。

5-1. 顧客像の可視化につながる

「顧客像の可視化」とは、顧客に関する情報や行動データを分析し、顧客の特徴や傾向を明確に把握することを指します。
具体的には、顧客の属性(性別、年齢、地域など)や購買履歴、サイト上での行動(閲覧履歴、購入パス、クリック傾向など)などのデータを集め、それを分析して顧客の特性や好み、購買パターンなどを可視化します。
顧客像の可視化によって、顧客のニーズや行動をデータベース上で具体的にイメージすることが可能です。

5-2. 購買行動の分析

顧客の行動パターンや傾向をデータとして収集し、分析することは、EC運用において非常に重要です。
購買行動の分析によって、顧客の好みやニーズ、購買の意思決定プロセスを把握することができます。
具体的な購買パターンを特定し、顧客の動機を理解することで、アップセルやクロスセルの機会を見つけ出すことができるでしょう。
顧客がどのような経路で商品やサービスにアクセスし、購買するのかを把握することで、マーケティング施策の最適化や効果的なターゲティングも可能となります。

5-3. データに基づく効果的なマーケティング戦略の立案

顧客データや市場データなどの情報を活用することで、以下のようなマーケティング活動を展開することができるようになります。

  • ターゲット市場の最適化

  • パーソナライズドなコミュニケーション

  • 効果的な広告予算配分

  • マーケットトレンドの把握

データに基づく効果的なマーケティング戦略の立案により、より効率的に顧客を獲得し、顧客満足度を向上させることができます。
また、競争力の強化や経営成果の向上にもつながるため、現代のビジネス環境では不可欠な要素となっているといえるでしょう。

5-4. マーケティング施策の効果測定

実施したマーケティング施策の結果や成果をデータに基づいて評価・分析することも、ECサイト運用においてはとても大切です。
予算をかけて実施したマーケティング活動が、適切に活用されているかどうかを判断するためには、効果測定を行わなければなりません。
施策ごとのコストと成果を比較し評価することで、より効率的な予算配分を行うことができ、また、改善点や課題を洗い出すこともできるでしょう。
目標となるKPIを設定してその達成度を把握し、必要に応じて修正を加えることも可能となります。

5-5. 在庫管理の最適化

EC運用の重大課題である在庫管理は、データ活用によって、より効率的に行うことができます。
過去の売上データや顧客の購買パターンを把握することで、需要の予測を行うことができ、在庫レベルを最適化することで、在庫過剰や在庫不足を回避し、効率的な在庫管理を実現できます。
また、在庫の受発注や在庫状況の監視をデータベースやシステムで管理することで、在庫の正確な把握や迅速な補充を行うことができます。
需要に合わせて仕入れを最適化したり、商品の品質向上や適切な在庫管理の実施も可能です。
適切なデータ分析と戦略的な在庫管理を行うことで、競争力のある運用を実現できるでしょう。


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