コジレック的「ファイレクシア:完全なる統一」収録カードレビュー(後編)
初心者にオススメの統率者はコジレック!
初心者にオススメの統率者はコジレック!(挨拶)
はじめに
※この記事は後編です、前編はこちらからご覧ください
カードの評価基準はこちら
《魂なき看守》
役割:C
墓地にある戦場のパーマネントを戦場に出す行為と、墓地や追放領域から呪文を唱える行為を禁止するアーティファクト・クリーチャー
いわゆる「墓地対策」カードであり再活、フラッシュバックなどのキーワード化された能力や《再活性》など墓地のカードを再利用する呪文を一方的に封殺できるのが強みだ
コジレックデッキにおいて墓地を利用する機会はあまりなく、主に被害を被るのは対戦相手になるだろう
追放領域から唱えることも封じられるため、赤のカードにありがちな衝動的ドロー(山札の上を追放し、そのターン中追放領域からそのカードを唱えられるようにする能力)も牽制できる
相手の統率者やコンセプトによっては完全に勝ち筋を封じられた「詰み」の状態まで持っていけるのが強みだ
当然、それらを使う相手もアーティファクトやエンチャント、クリーチャーの除去手段を大量に採用して来るため油断は禁物だ
呪禁や破壊不能の付与、《大いなる歪み、コジレック》の打ち消し能力などで守ってあげよう
一方自分も影響を受けてしまうので《コジレックの職工》などの墓地を利用するカードは使えなくなるので注意しよう
墓地回収などの「墓地から手札に戻す」能力や再演などの「墓地から追放して発動する能力」は制限を受けないため、このクリーチャーを場に維持するのであればそれらの能力を持つカードを主に使っていくことになるだろう
総じて対戦相手から向けられるヘイトが高く除去呪文を使われがちなため、とりあえずで出しておいて相手の除去呪文を吐かせるといったデコイとしての使い方もできるだろう
一方でそれらの能力をあまり利用しないデッキに対しては無用の長物となるため、素直に何かしらのコストとして消費してしまうのがいいだろう
あるいは相手の動きを遅らせた後《クラーク族の鉄工所》などで生贄にしてしまい自分のターンは墓地を利用し放題、なんて使い方もアリかもしれない
《完全化の杖》
役割:A・C
タップ+ライフの支払いで様々な効果を発揮し、5マナでアンタップするアーティファクト
《威圧の杖》のファイレクシア版アレンジといった趣のカードで、効果も汎用性が高くマナを消費しないのが強みだ
最初の能力は自身のコントロールするパーマネントの破壊
自分のカードを破壊してどうするんだ?といった疑問が浮かぶかもしれないが
《剣を鋤に》などで追放されそうになったクリーチャーを先回りして破壊することで追放されるのを防いだり
上に記した《魂なき看守》のように全員に対して何かしらの影響を及ぼすカードを破壊する事で自分にとって都合のいいタイミングで影響から逃れたり
するなど、ややトリッキーかつ他のカードとの組み合わせ前提だが
あって困りにくい便利な能力と言えるだろう
次の能力はマナを生み出すもので、一般的なマナ・アーティファクトのように使用できるものの、ただマナを生み出すだけで2点のライフを失うのは勿体なく思うため余程マナが足りない時以外は使わないように心がけたい
3つ目の能力は増殖、パーマネントやプレイヤーに置かれたカウンターを1つ増やす能力だ
+1カウンター、毒カウンター、忠誠度カウンターなどカウンターを問わずに増やすことが出来るため《永遠溢れの盃》などカウンターを増やすことがメリットになるカードのカウンターを増やしていきたい所だ
ただし1回の起動に3点となかなかライフコストとしては無視できない重さを支払う必要があるため乱発は控えたい
4つ目の能力は1枚引くドロー効果
コジレックデッキにおいて貴重なマナを使わない手札補充手段であるが、やはり4点のライフコストが重くのしかかる
長期戦になりがちな統率戦において「10枚引いたら負け」と書くとその重さがよく分かるだろう
この効果を多用する場合は大型クリーチャーに絆魂を付与したり《見捨てられた碑》など何かしらのライフ回復手段を用意しておきたい
最後は5マナ支払い自身をアンタップする能力
5マナと重いが上記の能力を再び使用できるため、基本的にはライフとマナに余裕がある場合に使う能力だ
マナさえ用意できれば何度も能力が使えるが、《威圧の杖》と違い能力の行使にライフを支払ってしまうため無限マナの吐き出し先としてはあまり適切でない点は注意しておこう
《鉱炉と前線の剣》
役割:A・B・C
装備クリーチャーにプロテクション赤&緑を与え、戦闘ダメージを与えると山札の一番上を追放&追加の土地プレイ権を得られるアーティファクト
いわゆる「ニ色剣」と呼ばれるメガサイクル(複数パックにまたがって作られる似たような効果を持つカードのこと)であり
それぞれが2種類の色に対してのプロテクションと、装備クリーチャーが戦闘ダメージを与えた時に発動する効果を備えている
この剣は赤緑に対してのプロテクションを与えるが、赤の火力と緑の高パワークリーチャーや火力呪文から身を守れるのは嬉しい反面、そういった能力はパワー・タフネスの低いクリーチャーに付与したいもので高タフネスを誇るエルドラージ軍団にはあまり旨味がないものとなっている
統率者戦では猛烈な高火力高パワーで攻めてくる相手もいないわけではないが、それらが襲ってくるのは終盤なので素直に呪禁や破壊不能で対処したほうが良いだろ
だがこのカードが与える能力が呪禁ではなくプロテクションなのは見逃せない
赤や緑はクリーチャーの展開が得意な色なので、コジレック達の攻撃から身を守る壁を容易に用意できるのだ
滅殺などである程度カバーができるものの、除去カードに乏しくトランプルを持たないエルドラージも多く採用されるコジレックデッキでは
このカードをアタッカーに装備させることでそれらの壁をかいくぐってダメージを与えられるのは魅力的だ
ダメージを与えたときの効果も実質的な2ドローと手札が枯渇しがちなコジレックデッキでは悪くない効果となっている
このカードをクリーチャーに装備させてダメージを通せる…という段階だとマナも潤沢に生み出せるようになっているはずなので、マナ不足でせっかくのカードが使えずに追放されてしまう…といったことも少ないだろう土地が2枚捲れた?そりゃ運がないと諦めるしかないね
土地の追加プレイ権も効果持ちの土地を数多く採用するこのデッキでは魅力的で、中盤ではコジレック降臨を目指したマナ加速、終盤では能力持ち土地を出した後マナをつぎ込んで即起動…といったことも可能だ
大きなアドバンテージには繋がらないが、デッキの内容次第では縁の下の力持ちとして活躍してくれるはず
その場合は早期から能力を使えるよう、比較的軽めのクリーチャーを多めに採用してみるのもいいだろう
《完成化のタブレット》
役割:A・C
タップで油カウンターを乗せていき、3つ以上ならマナの生成、5つ以上なら1マナ追加で払い1ドローすることがが可能なアーティファクト
序盤はマナ加速要因、終盤はドローエンジンとして小回りのきく運用が可能なのは嬉しいが、いかんせん悠長に思えてしまう印象を受けてしまう
1ターンでも早くマナを伸ばしたい序盤で場に出してすぐにマナを生み出せない、というのは大きなデメリットだ
さらにドロー効果が使用可能になるまではそれ以上のターンを跨がねばならず、終盤にこのカードを引いてしまった場合持て余してしまうのも厄介だ
油カウンターを活用するデッキであれば居場所はあるかもしれないが、長期戦を目指すコジレックデッキにとっても少しスロースターターすぎる1枚だ
《頂点の記録者》
役割:C
各ターン初めて多色の呪文を唱えると、唱えたプレイヤー以外のプレイヤーが1ドローする能力を持つアーティファクト・クリーチャー
ドローは1ターンに1度しかできない上他の対戦相手もドロー出来てしまい
さらに多色呪文を使わない相手にはただの置物になってしまう…となかなか扱いにくい1枚
無色かつマナを使わないドローとはいえ、誘発条件が限定的すぎるのも問題ということだろうか
単色デッキとなるコジレックデッキでは相手だけにドローさせてしまう心配はないものの、カードを引けるかどうかが完全に相手依存になってしまうのはやはり厳しいものがある…
《ミレックス》
役割:A・C
フォーマットを問わずたまに見られるトークン生成能力を持った土地
ただしこのカードの場合生み出せるトークンの性能が厄介で、1/1毒性1ブロック不可能とやや扱いに困る性能をしているのが懸念点になる
この手の土地に要求される「いざというときの壁」としての役割が果たせないのは防御手段の薄いコジレックデッキでは無視できないデメリットだ
一方で生み出されるトークンがアーティファクト扱いなのはアーティファクトを多用するコジレックデッキにとって利点となりうる点であり
金属術(アーティファクトを3つコントロールしている時有効になる効果)の達成やアーティファクトサポートを受けられるのは無視できない
アンタップインな上マナも出せる土地なので、マナが余っている時にアーティファクトの頭数を増やす目的で使うのも悪くないかもだろう
アーティファクトサポートにデッキ構築を寄せて、さらに土地の枠が余っているのであれば採用を検討しても良いかもしれない
《記念ファザード》
役割:A・C
油カウンターが2個乗った状態で場に出て、タップすれば油カウンターを他のアーティファクトやクリーチャーに移せる土地
スタンダードなどで油カウンターを多用するデッキがあるのならば複数投入して有効活用できるだろうが、各カードを1枚しか投入できない統率者戦において用途の限られたサポート要因を1枚入れたところで焼け石に水だろう
今後油カウンターを主軸にしたコジレックデッキが作られるのであれば
真っ先に投入するべき土地になるかもしれない…
《種子中枢》
役割:A・C
ファイレクシアン限定の有色マナを生み出せ、1/1のクリーチャー1体を3/2に変える能力を持つ土地
よくある用途が限定される多色土地であり、堕落を達成すればクリーチャー強化能力も使用可能になるが
コジレックデッキにおいてはまず堕落の達成が難しい上達成できたとしても強化できるのは1/1のクリーチャーだけ…とイマイチ噛み合いが悪い印象
有色マナ効果も無色カードしか採用できないコジレックデッキではあまり旨味がなく、デッキとの相性は残念ながらあまり良くないと言っていいだろう
《広漠なる変幻地》
役割:C
生贄に捧げると好きな基本土地を山札から場に出せる土地
過去のレビューでも触れた通り、使える基本土地が《荒地》1種類のコジレックデッキにおいてこのカードが活躍できる場面はないだろう
《マイコシンスの庭》
役割:A・C
マナフィルター能力と、アーティファクトのコピー能力を持つ土地
発表当時「これはヤバいのでは?」と大いに騒がれた通りコジレックデッキにおいても大いに役立つ1枚だ
やはりメインとなるのはアーティファクトのコピー能力であり、おなじみ《太陽の指輪》や《魔力の墓所》などのマナ・アーティファクトをコピーすれば飛躍的にマナを加速出来る
アーティファクト・クリーチャーをコピーすれば追加で打点を形成でき、おなじみ《荒廃鋼の巨像》になれば相手にとって無視できない大きな脅威となるだろう
2体並べて即死プレイヤーも倍だ!まあマナ食い過ぎるしオーバーキルにも程があるのでロマン砲だが
コピー元を用意する必要があること、1度コピーすれば他のコピーになれないこと、伝説までコピーしてしまうので伝説のアーティファクトは実質的にコピー出来ないことを覚えておけば非常に柔軟な立ち回りが可能だ
能力を起動するまでは除去されにくい土地のままでいられるのも有り難い
アーティファクトを多用するコジレックデッキでは必須級の1枚と言っても差し支えないだろう
おわりに
いかがだっただろうか?
今回は敵本拠地の紹介と既存PWの完成化お披露目といった面が強く
かつての「灯争大戦」のようにストーリーの大きな転換点となるであろう
次弾「機械兵団の進軍」にパワーカードを集めているのではないか?といった意見も多く見られる
実際カードパワーは緑を除いて今までのセットに比べると控えめであり、
1枚で環境を定義出来るような飛び抜けた強さを持つカードは見られないかもしれない
しかし、今後のカード次第で再評価が行われたり、未知のコンボが見つかるなどしてこのパックに光が当たる日が来るかもしれない
今後のマジック:ザ・ギャザリングに期待だ
それでは次回「機械兵団の進軍」カードレビューでお会いしよう
公式の言う「マジックに訪れる永遠の変化」とは一体何なのだろうか?
期待して見守ることにしよう
2023/01/27「初心者にオススメの統率者はコジレック!」botの中の人
2023/02/11 《鉱炉と前線の剣》の評価を変更
…ところでこの「バトル」というのは?
画像引用元:WotC公式サイト「ファイレクシア:完全なる統一」カードギャラリー
https://magic.wizards.com/ja/news/card-image-gallery/phyrexia-all-will-be-one
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