コジレック的「ファイレクシア:完全なる統一」収録カードレビュー(前編)
初心者にオススメの統率者はコジレック!
はじめに
初心者にオススメの統率者はコジレック!(挨拶)
先日、MtG最新パック「ファイレクシア:完全なる統一」の全カードが公開された
ボーラスが去り三体のエルドラージ・タイタンが焼却・封印された今
MtGにおける最大の「悪の組織」とも言えるファイレクシアを舞台にしたとあって新規カードにも期待がかかるが
今回もコジレックデッキとの相性を評価して行こうと思う
カードの評価基準はこちら
※この記事はある程度MtGに明るい方を対象にしています
用語などの詳しい解説はMtGwikiなどをご覧ください
※今回なぜか画像が大きいです、ご了承下さい
《アージェンタムのマスティコア》
役割:C
自分のアップキープ開始時に手札を1枚捨てなければ生贄に捧げられてしまうが、カードを捨てた場合捨てたカードのマナ総量以下のマナ総量を持つパーマネントを1枚破壊できるアーティファクト・クリーチャー
多色からのプロテクションは相手の構築によっては無用の長物と化す能力ではあるものの、5マナで5/5+先制攻撃と性能はかなり優秀だ
一方で維持コストとして手札を1枚要求するのがコジレックデッキにおいては若干辛い
一応コジレックデッキは全体的なコストが高めなカードも多く相手のパーマネントを破壊しやすいという点はあるものの、手札消費が激しめなこのデッキでさらに手札消費を加速させてしまうのは無視できないデメリットだ
とはいえ条件付きではあるものの無色では貴重な汎用パーマネント除去手段であるため、採用する際は毎ターンドローできるように《ジェイムデー秘本》などのドロー・エンジンを置き、潤沢なマナを用意した上で運用したい
《アトラクサの疾牙》
役割:B
カウンターが3つ乗った状態で場に出て、戦闘開始時カウンターを取り除くことで自分のクリーチャー1体に能力を付与できるアーティファクト・クリーチャー
回数制限があるものの付与できる能力は飛行・警戒・接死・絆魂と汎用性が高く、コジレックを始めとするエルドラージ軍団とも相性が良い
飛行を付与すれば高パワーの攻撃を通しやすくなり
警戒なら攻撃しながら有用な壁を残すことができる
接死は相手にブロックを躊躇わせることができるし
絆魂なら高打点による大幅なライフ回復が見込める
エルドラージのサポートとしてはかなり優秀な部類に入るのだが、自身が2/2のアーティファクト・クリーチャーであることは気をつけたい
自分自身には除去耐性がまったくなく、低コストの呪文で容易に処理されてしまうのは統率者戦において無視できないデメリットだ
上述した能力も装備品を使えば永続的に付与できてしまうため、能力の付与を目的とするならば他に選択するべきカードが多数存在するのも難点だろう
《砂丘動かし》
役割:C
新能力である毒性を持ち、場に出た時基本土地を1枚山札の上に置くことができるアーティファクト・クリーチャー
土地を手札に加えるのに1ターン待たねばならず、本体のスペックも心もとないと貧弱な印象の1枚だ
毒性もコジレックデッキとの相性はあまり良くなく、チマチマと毒を貯めていくよりも統率者ダメージやエルドラージ軍団で一気に上から叩き潰すほうが手っ取り早く確実な上、毒殺を狙うなら《荒廃鋼の巨像》というより容易な手段が存在してしまう
総じてコジレックデッキで立ち回るには器用貧乏な1枚だが、コモンにそこまでの役割を担わせるのも酷な話だろう
《金線の酒杯》
役割:C
タップすることでカウンターを置き、生贄に捧げればカウンターの数に等しいマナ総量を持つパーマネントをすべて破壊、10個のカウンターを貯めているのであれば10点火力を叩き込めるアーティファクト
《漸増爆弾》のほぼ上位互換であり、カウンターの数を調整すれば相手のカードだけを一掃できるポテンシャルを秘めている
以前紹介した《カーンの酒杯》に比べるとメタ能力が消え、つぎ込むマナによる融通が聞かなくなったかわりに場に出してすぐに使用できるのがメリットだ
ただタイミングの調整が非常に難しく、カウンターが貯まる頃には既に他の対戦相手の呪文で除去されていた…という場面も容易に起こりうる
またカウンターを持て余し除去できても1~2枚だけ…という結果に終わる可能性もある
いっそのことトークンを大量展開するデッキに対してカウンターを乗せずに放置しておき、相手の展開を躊躇わせるのも良いかもしれない
カウンターの乗っていない時に使用すれば場のトークンやマナ総量Xのパーマネント(どちらもマナ総量は0扱い)を一掃できるからだ
一番下の効果も少し悠長で、1ターンに1つしかカウンターを乗せられない仕様上膨大なターンを跨がねばならず、溜まり切る前に除去されてしまう可能性も大いにある
そこまで耐えて得られる結果が10点の火力というのも少し割に合わない印象だ(とはいっても終盤削りきれない時の詰め手段としては十分である)
使用する場合は増殖を行うカードも採用し、なるべく起動までのターン数を短くしたいところだ
《止められぬ巨大戦車、グラーツ》
役割:Cどうすんのこれ枠
毎ターン強制攻撃しなけれなばらないというデメリットを持つものの、自分のクリーチャーすべてを5/3の巨大戦車に変えてしまうアーティファクト・クリーチャー
このクリーチャーを出したが最後、自分のコジレックが10/10から5/3に大幅な弱体化をしてしまう事になる
主な運用方法は横並べした貧弱な味方の強化であり、そういったクリーチャーを運用しないコジレックデッキには不要な能力だろう
攻撃強制能力も「対策しなければブロックに使えるクリーチャーが存在しなくなる」と同義であり、相手への苛烈な攻撃にさらされやすいコジレックデッキではかなり厳し目のデメリットだ
決して弱くないクリーチャーなのだが、デッキとの相性が致命的に悪いため残念ながら採用する余地はないだろう
《胆液板のゴーレム》
役割:C
クリーチャーが場に出るたびに油カウンターを置き、油カウンターの乗ったクリーチャーに+1/+1の修正を与えるアーティファクト・クリーチャー
修正値が+1/+1と低く、カウンターを乗せるにはこのクリーチャーを先に出しておく必要がある上、自身にはカウンターが乗らない…と使いにくい印象を受ける
そもそもそんな事をしなくてもエルドラージ達は十分なパワーとタフネスを有しているため、このクリーチャーの居場所は残念ながらコジレックデッキに存在しないと言ってもいいだろう
油カウンターと相性が良いデッキなら十分活躍できると思うのだが…
《ミラディン人の隠れ家》
役割:B・C
墓地にある全ての土地の起動型能力を得るアーティファクト
墓地版《魔力景の屈折体》であり、主な使い方もそれに順ずる形になるだろう
「土地の起動型能力」には一番使われる能力である「タップしてマナを生み出す」能力も含まれるため、墓地に土地があればコレ自体もマナ・アーティファクトとしての役割を果たすことができる
もちろんマナを生み出す以外の起動型能力もコピーできるため、土地破壊やコストなどで墓地に行ってしまったそれらを再利用できるのは大いに有用だ
基本土地である《荒地》以外にどういう土地がコピーできるのかはwikiの「非マナ能力を持つ土地」のページに譲るが
コジレックデッキでよく採用される土地を例に挙げるとするならば
《オラーズカの拱門》をコピーしてドローエンジンにしたり《ウギンの目》をコピーしてエルドラージをサーチする事が可能だ
ただし起動能力以外は得られないため前者はあらかじめ都市の承認を得ておかねばならず、後者はコスト軽減能力を適用出来ない事に注意だ
場に出た時の効果もコピーしないので《暗黒の深部》をコピーしていきなりトークンを出す事は出来ないのでよく注意してから運用したい
墓地を参照するため多くのデッキが採用しがちな墓地対策カードも使われると厄介だ
汎用墓地対策カードの《トーモッドの墓所》を使われるだけでも墓地を根こそぎ追放されてしまいただの置物と化してしまう
また自分の《真実の解体者、コジレック》や《荒廃鋼の巨像》が墓地に送られてしまうと墓地のカードがデッキに戻ってしまうため(それぞれの効果は上記評価基準の記事や引用を参照してほしい)
《魔力景の屈折体》とはまた違った使いこなし方を要求される1枚だ
《睡蓮の原野》は墓地に土地を落とすことができる上、原野の起動能力自体をコピーすれば土地を生贄にせずとも3マナを生み出せるので非常に相性が良い
このカードを使う際は常に墓地を確認しておき、今どの効果が使えるのかを把握しておこう
《完全化記念碑》
役割:A・C
山札から特定の土地を手札に加える効果と、条件を満たした時クリーチャーに変化できるアーティファクト
まず前者の効果だが、コジレックデッキで採用できる対象のカードはそう多くない
デッキ圧縮になり毎ターン安定して土地を確保できるのは序盤にありがたい能力だが、そう都合よくこのカードを出せるとも限らないため過信は禁物、起動コストが3マナと若干重めなものネックか
後者の効果は起動できれば強力で毒性を抜きにしても破壊不能を持つ9/9
のクリーチャーが降臨するのは強力なのだが
今コジレックデッキで採用できるカードを数えても9種類に満たず現在では起動不可能な能力になってしまっている
今後球層や神座が増えた場合それらを毎ターン地道にサーチしながらクリーチャー化を目指すことも可能になるが、統率者戦でそれは悠長すぎるだろう
しかし「サーチ先に神座がある」というのは特筆するべき点だ
なぜなら《雲上の座》が存在するからである
モダンやレガシーで大量のマナ加速を行う「post」と呼ばれるデッキのキーカードであり、神座を並べれば並べるほど生み出せるマナが増えていくのが特徴だ
統率者戦では残念ながら1枚しか採用出来ないが、もう1枚の神座である《微光地》(こちらも記念碑でサーチ可能)と合わせることで1枚で2マナ生み出せるようになる
さらに雲上の坐を土地コピーカードである《ヴェズーヴァ》でコピーすることで土地2枚から6マナも生成できるようになる
最悪神座2枚を手札に加えた後は置物として何かしらのコストに充ててしまってもいいだろう
現段階でのカードプールだとあまり高く評価は出来ないが、今後神座が増えることがあるなど何かしらの動きがあるならば
コジレックデッキに積極採用する価値は出て来るはずだ
《マイアの改宗者》
役割:A・C
毒性を持ち、2点のライフと引き換えにマナを生成できるアーティファクト・クリーチャー
マナ・アーティファクトとして見てもクリーチャーとして見てもマナコスト相応の性能で、序盤にとりあえずといった感じで出しておけば最低限の仕事はしてくれるだろう
コジレックデッキではライフを回復する手段が限られているため能力の使いすぎには注意する必要がある
統率者戦においては同じマナ帯にもっと有用なアーティファクトが多数存在するため、運用する場合は毒性持ちなことをなんとか活かす形で行うことになる
2/1と非常に除去されやすいステータスなのもネックだろう
もしこの記事を読んでいる貴方が重篤なマイア愛好家でないならば、素直に他のカードを採用することをお勧めする
《マイアの守衛》
役割:C
場に出た時占術2を行うアーティファクト・クリーチャー
占術2は弱くない能力だが、このクリーチャーは相手にも占術の機会を与えてしまうのが問題だ
相手にも逆転や挽回の機会を与えてしまうのは避けたいし、政治的な運用をするにしても占術程度では相手にとってあまりメリットにならないのが難点
3マナ2/3とコストの割にステータスも弱めであり、このカードを採用するのであれば他の占術を持つカードを採用したほうがいいだろう
《マイアの同族鍛冶》
役割:C
場に出た時山札からマイアを手札に加えられるアーティファクト・クリーチャー
1体で2マナも生み出せる《パラジウムのマイア》や火力を飛ばしつつ高パワーで殴れる《マイアの戦闘球》などを引っ張ってこれるのは悪くない効果だ
序盤は前者、終盤は後者を持ってくるなど使い分けが効くのも嬉しい
特にマイアの戦闘球とはシナジーを形成し、自身もマイアのためタップすることで上昇するパワーと飛ぶ火力の数値を4→5にできる
上記のカード達は「引ければ嬉しいが、汎用的なサーチ手段で持ってくるには勿体ない」といった立ち位置ため
これらを専門的にサーチできるこのカードは独自性があり、他のカードと差別化できるだろう
マナコストが少し重いが、これはコジレックデッキにおいて《大いなる歪み、コジレック》を使う際にメリットとなる
4マナ帯には全体除去を始め厄介な呪文が多いため、これらをコジレックの能力で打ち消す際に使えるのだ
先にデッキのマイアを全て出してしまい、このカードを手札で持て余した時も活用できるため覚えておいて損はないだろう
デッキに余裕があるのなら採用してみるといぶし銀の活躍をしてくれるかもしれない1枚だ
《ファイレクシアの大地図》
役割:A
タップするとマナを生み出し、毒カウンターを3つ以上持っている対戦相手のライフを1点失わせるアーティファクト
ライフが40点もある統率者戦において1点の損失はあってないようなものであり、そもそもライフロスを発生させるためには毒カウンターを3つ載せないといけない…と中々扱いづらいカード
何かしらの手段で毒カウンターを載せたとしても地味にライフを削り続けるだけの置物にしかならないため、マナ加速目的で採用するのであれば
他にもっと有用なカードが存在するだろう
残念ながらコジレックデッキではあまり積極的に採用する理由が見当たらない1枚だ
《予言のプリズム》
役割:C
1マナを好きな色に変換できるアーティファクト
所謂マナ・フィルターであり、キャントリップ(1ドロー効果)のお陰で手札が減らないのも嬉しい
…のだが、無色カードしか使わないコジレックデッキにおいてマナが増えないマナ・フィルターは採用し辛いのが現状だ
多色でこそ光るカードのため、コジレックデッキとの相性はあまり良くない
《注入用義腕》
役割:Bどうすんのこれ枠2
装備クリーチャーに毒性1を与え、タフネスを2増やす装備品
軽さが魅力的ではあるが、コジレックデッキで毒性や高タフネスが活きる場面はそうそう無いだろう
ダメージを与えることで発揮される毒性なのにパワーが上がらないのも痛い
そもそもアンコモンなので期待しすぎるのも…と思いがちだが
それを差し引いても使い所に悩むカードである
《肋骨艇》
役割:Cどうすんのこれ枠3
毒性2を持つ機体、出た時に1ドローも出来る
キャントリップ持ちの機体は悪くないが、4マナ4/4で搭乗の必要がある、というのは若干使いづらい印象を受ける
さらに搭乗も3と序盤で確保するには難しい打点であり、飛行などの回避能力(ブロックされにくくする能力)も持っていないためクリーチャー化しても攻撃は通しにくいだろう
毒性2、つまり5回攻撃が通れば勝ちとはいえこれはあんまりだろう…
おわりに
新能力「毒性」と毒カウンターを参照する新能力「堕落」
そして再登場した「増殖」によりジワジワとした毒殺(毒カウンターキル)デッキが増加していくと思われる統率者界隈だが
一方で他のデッキでも輝くようなカードもチラホラと見受けられる、統率者プレイヤーには嬉しいパックとなっている
後編も引き続き新カード達のコジレックデッキにおける相性を見ていこうと思う
2023/01/27「初心者にオススメの統率者はコジレック!」botの中の人
画像引用元:WotC公式サイト「ファイレクシア:完全なる統一」カードギャラリー
https://magic.wizards.com/ja/news/card-image-gallery/phyrexia-all-will-be-one
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