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漫画原作:『Eスポ!!~Play Online Battlegrounds』第2話

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第1話のページへ


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『Eスポ!!~Play Online Battlegrounds』

ラウンド2(第2話)「ハイウェイドライブ」

扉絵イメージ:
画面中央、桜の運転する白い2人乗りの右ハンドルのスポーツカーを運転する立花桜(たちばなさくら)と助手席の草薙武琉(くさなぎたける)。
画面中央奥、桜のクルマを追いかけるフロントライトをつけた黒いスポーツカーがやや小さく描かれている。
画面左上、桜たちにバトルを仕掛けることになる相手を見下すような自信満々の表情の石河龍一・龍二(いしかわりゅういち・りゅうじ)の兄弟。
画面右下には、心配そうな表情でクルマに乗った武琉と桜を案じている高天原輝子(たかまがはらてるこ)と毛勝猛(もうかつたけ)。
※石川兄弟は、第2話から始まるバトルを戦うライバル役。

2―3ページ


字幕「東京都江戸川区」
武琉と勝猛の通う「都立江戸川東高等学校」の外観。
コンクリート製の校門の門柱には、校名が「行書体」で書かれた古い木製の表札が掲げられている。
コンクリート製のブロック塀の上に鉄製の柵を据え付けた塀(へい)が校舎の周囲を巡(めぐ)っている。
校舎の塀に沿うように桜の木が植えられており、満開の桜が咲き誇っている。
校舎は3階建ての鉄筋コンクリート製。

校舎2階、武琉と勝猛が授業中の教室。
大勢の男女の生徒が机の上に置かれたタブレット端末や黒板を眺めて授業に集中している。
武琉は窓際真ん中の席に座り、右手で頬杖をつき、ボンヤリとした表情で窓の外に顔を向けている。
勝猛は、女子高校生の列をはさんで隣の列、武琉の斜め後ろの席に座り、授業に集中していない武琉を気遣うような視線を武琉に向けている。
武琉以下生徒たちはみな、白いシャツに青いネクタイを結び、紺色のブレザーを身に着けた学生服姿。男子はズボン、女子は丈の長いスカート。
教壇の上に立ち授業をしている教師の側から生徒たちを見た構図で。

右手で頬杖をつき、ボンヤリとした表情で窓の外に顔を向ける武琉のバストアップ。
窓の外から一番窓際の席に座っている武琉に焦点を当てている構図で。

擬音「ハァ」
武琉独白「なんで…あんなこと言ったんだろう…」
表情の冴えない武琉の横顔のアップ。
前回ラスト、輝子に弟子入り志願した時の出来事を思い出す武琉。

(画面暗転・武琉の回想シーン)


武琉「おれのこと・・・弟子にしてください!!!」
土下座した格好で、輝子に対して顔を上げて必死の表情で訴える武琉。
服装は、第1話と同じ格好をしている。
※第1話42ページ1コマ目と逆の武琉の背後から輝子と桜たちを見た構図で。

擬音「ドキドキ」
意外な武琉のセリフに驚いた表情の輝子と桜のバストアップ。

輝子「……弟子?」
武琉の思いがけない告白にキョトンとした表情の輝子の顔のアップ。

擬音「面白そうなことになってきた」
桜独白「愛の"告白"かと思いきや…」
いかにも雨が降りそうな雲行き。雨粒がポツポツと振り始める。
隣に立つ輝子の反応をイタズラっ子のような笑みを浮かべながら伺う桜の顔のアップ。
※雨は弟子入りの結末を暗示させるもの。

真剣な眼差しで輝子の言葉を待つ武琉の顔のアップ。


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擬音「ポツポツ」
擬音「コクリ」
桜独白「テル……」
輝子独白「この子(武琉くん)の瞳(め) 本気だわ…」
雨粒が雨の破線に。
打って変わって少し深刻そうな顔で隣の輝子を見る桜。
桜の考えが以心伝心で伝わっているかのように軽くうなずき返す輝子。
武琉の真剣さが伝わったのか緊迫感のある表情。

擬音「フウ…」
緊張感から強張った肩の力を抜くように脱力して目を閉じて息を吐く輝子。

輝子「わかったわ…」
輝子「きみは…もっとゲームを上手に(うまく)なりたいのね」
困惑しながらも助けてもらったし、仕方ないなあという表情の輝子のバストアップ。

擬音「ポポポッ」
輝子「で…どのキャラを使っているのかな?」
雨脚が強まり、本格的に降り始める。
両手を両膝の上に置き、身を屈ませながら武琉を見る輝子。

擬音「ポツンポツン」
擬音「ドギマギ」
武琉「家(うち)…ネットつないでないから…RPG(ロールプレイングゲーム)しかやったことがなくて…おれ…」
勢いが強まる雨脚。
輝子たちが対戦していたオンライン対戦ゲームである『BLADE OF WARRIORS』をプレイしたことがない武琉は輝子の問いかけに答えられずしどろもどろになる。


擬音「サァー」
擬音「ダッ」 
勝猛「あっ! 武琉くん!」
小雨が降り出す。
弟子入り志願したにも関わらず、対象のゲームをプレイしたことがないのを恥ずかしく思い、輝子たちの前から突然走り去っていく武琉の後ろ姿。
武琉が走り去っていった方向に顔を向ける勝猛。
制止する間もなく。

武琉たちがいた電気街のビルが林立する背景に降りしきる雨。

(画面暗転・武琉の回想シーン終了)

武琉独白「はあ…」
窓際の席に座り、溜息をつきながら頬杖をついて窓の外を眺める武琉。
右手には、タブレット端末で使用するスタイラスペンを握っている。
※教室側から窓を眺める武琉を描いた構図で。

武琉独白「なんでおれ…勢いであんなこと言っちゃたんだろう…」
武流の机の上に置かれたタブレット端末の画面のアップ。
無意識のうちに書かれた心の声が横文字で画面に表示されている。


6―7ページ


擬音「ヌウッ」
授業をする日本史担当の先生の顔のアップ。
50代の白髪交じりの四角い顔の中年男性。
眉を逆ハの字に口元をへの字にして武琉を睨みつけている。
※どこかコミカルさを感じられるように。

日本史の先生「くぅ~さぁ~なぁ~ぎぃ~!」
武琉の席の前にやってきた先生が腰に両手を当てた格好で首だけうつむきながら、頬杖をついた姿勢で窓を眺めたままの武琉に顔を近づけている。
※前のコマからカメラを引いた構図で武琉の席を描く。

擬音「!」
武琉「あっ…」
先生の存在に気づいた武琉は、窓側に向けていた顔を先生のいる側に向き直す。
口を開けて呆気にとらえた表情をしている。

日本史の先生「"過激"な解答だなぁ~! 大丈夫か?」
首を横に傾けて、しっかりしろとたしなめる先生。
眉を逆ハの字に口元をへの字にしたまま。

生徒たちの声「アハハハハ…」
勝猛独白「武琉くん…」
生徒たちの笑い声が教室内に響きわたる。
教室の席に座っている勝猛は、両手で顔を覆いながら、指の隙間から見ちゃいられないという表情で武琉の席を眺めている。

(時間経過)


字幕「放課後」
擬音「キンコンカンコン♪」
擬音「ガヤガヤ」
放課後の教室の風景。
授業から解放された生徒たちが思い思いの行動をしている。
教室をあとにするもの。
カバンに荷物を積めるもの。
友人と話をするもの。

擬音「!」
武琉「勝猛(かっつ)! 一緒に帰ろうぜ!」
席に座っている勝猛が机の上に置いたカバンに荷物を積めている。
武琉の呼びかけに気づく勝猛。

擬音「キョドッ」
擬音「パチリ」
勝猛「たっ…武琉くん…」
荷物を詰め終えたカバンの開け口を金具で固定する勝猛。
武琉の呼びかけに不自然なほど動揺している。

擬音「汗」
擬音「ザッ」
勝猛「ごっ…ごめん…」
勝猛「ぼっ…ぼく…これから行くところあるから…」
武琉を横目に席から立ち上がる勝猛。
右手にはカバンを握っている。
どこかよそよそしい表情をしている。

擬音「?」
武琉「勝猛(かっつ)?」
不思議そうな表情で勝猛を見る武琉の顔のアップ。

(時間経過・場面転換)


8―9ページ


勝猛の声「ぼっ…ぼく…これから行くところあるから…」
校庭を校門に向かって歩いていく武琉。
右手にはカバンを握っている。
先程の勝猛のセリフを反芻しながら挙動不審な姿を思い出して物思いにふけっている。
校舎の外、校門脇のブロック塀の前に桜の白いスポーツカーが停車している。
※2ページ1コマ目と同じような構図で。

擬音「ガチャ」
車の運転席のドアが開き、地面に白い細身のスポーツシューズをつく桜の右足。
グレイのパンツスーツのズボンの裾も見えている。
※スポーツシューズは運転用のもの。
※地面に足をついた桜の足元の背後から校門の外に出てきた武琉の横顔を描く構図で。

擬音「!」
桜の声「深刻そうな顔して…青春真っ只中ですなぁ~少年♪」
校門から出てきた武流の横顔のバストアップ。
声をかけてきた桜に視線を向ける武琉。

武琉「あっ…あなたは!!」
開けた運転席側のドアの側面を右手でつかみながら、車内から出てくる桜。
両手には運転用の黒いドライビンググローブ(レザーグローブ)を着用している。
※武琉の視点で車から出てくる桜を見た構図で。

擬音「ニハッ」
桜「ドライブ…行こっか♪」
イタズラっ子っぽい笑みを浮かべて武琉を見る桜のバストアップ。
※スーツ姿なのでどことなく大人の女性を感じさせるような雰囲気で。

(画面暗転・時間経過・場面転換)


字幕「湾岸線葛西出入口」
首都高速湾岸線葛西出入口西行き入口付近。
一般道から高速道に合流するための料金所前の合流点。
案内の緑色の看板に「入口B26葛西→横浜方面」の文字。
※桜の運転する白いスポーツカーの背後から見た構図で。

擬音「ブオン」
桜の運転する車が料金所に近づいていく。
車の右側の運転席でハンドルを握る桜。
黒いドライビンググローブを着用している。
左側の助手席に座る武琉。
車は右ハンドル車。
※2人の服装は、前シーンから変更なし。
※車の正面側から見た構図で。

擬音「チラッ」
武琉「あのぅ…オバサン…これからどこに?」
運転席でハンドルを握る桜の方を遠慮がちな表情で見る武琉。

擬音「ピキッ」
桜「オバァ……?」
至って穏やかな表情でハンドルを握っていた桜の横顔にヒビが入る。

擬音「ジロリ」
桜「アタシには立花桜(たちばなさくら)って立派な名前があるの…わ・か・る?」
ハンドルを握った姿勢のまま、青ざめた凄みのある表情で地雷を踏んだ武琉に顔を向けてジロッと睨みつける桜の顔のアップ。

桜「23歳の花の乙女なの…わ・か・る!?」
武琉を睨みつける桜の瞳のアップ。
セリフを繰り返して、本気で怒っていることがわかるように。


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武琉の声「わぁ~ごっ ごめんなさい!」
湾岸線葛西出入口料金所構内。
ETCレーンを徐行中の桜の白いスポーツカーの助手席側から汗が流れ落ちる。
※武琉が地雷を踏んだことに気づき、本気で焦っていることが読者に伝わるように。

擬音「グオーン」
料金所を抜け、湾岸線本線に合流するためにゆったりとした坂道を昇っていく桜の白いスポーツカー。

桜「黒メガネの毛(モウ~)ちゃんにね 教えてもらったのよ…キミのこと…」
武琉「もっ…毛ちゃん!?」
ハンドルを握って正面を向いて運転しながら武琉と会話する桜。
突然、勝猛の名前が桜の口から出てきて、驚いた顔で思わず桜を見る武琉。

(画面暗転・桜の回想シーン)

擬音「サァー」
勝猛の声「あっ! 武琉くん!」
雨の中を走り去っていく武琉の後姿。

勝猛「…」
不安そうな顔で遠くに走り去っていく武琉を見送る勝猛のバストアップ。


擬音「!!」
ハッとした表情で背後の気配を感じとる勝猛。
勝猛の背後には輝子と桜の黒いシルエットが立っている。

擬音「ゴォ~」
勝猛「ひっ!!」
輝子&桜「お話…聞かせてくれるわよね!?」
恐る恐る背後を振り返る勝猛。
両手を腕の前で組み、凄みのある表情をしている輝子と桜。
2人の背景にはメラメラと燃え盛る炎。
※輝子と桜の凄みが出るようにアオリの構図で描く。デフォルメのギャグ調の顔で。

(画面暗転・桜の回想シーン終了)

擬音「ゴォ~」
首都高湾岸線の高架道路をお台場方面(西)に走る白い桜のスポーツカー。
※高速道路を走行中だとわかるように効果線に勢いをつけて。
※対向車はスピード感がでるような描き方で。

擬音「ニハハ」
桜「あの子…私たちのサインとニコニコドーナッツでキミのこと…あっさり"うたって"くれたわ…」
武琉「"うたう"?」
勝猛が友人の武琉について、あっさり桜たちにバラしたことを思い出し笑いする桜。
桜の言う"うたう"の意味がわからず、首をかしげる武琉。
※"うたう"は警察の隠語で"自白する"を意味する。


12―13ページ


桜「それで輝子(テル)がね…ブーちゃんに"アルバイト"紹介してあげようっていうのよ」
両手でハンドルを握りながら、横目で助手席の武琉に視線を向ける桜。

擬音「キョトン」
武琉「アルバイト?」
弟子入り志願した自分に輝子がなぜバイト先を紹介してくれるのか理解できず、呆気にとられた表情の武琉の顔のアップ。

桜「この前…お家にネットやパソコンもないって言ってたでしょ?」
桜の顔が映し出されたルームミラーのアップ。
横目で助手席の武琉に視線を向けている。

擬音「!」
貧乏なのを急に持ち出されて驚く武流の顔のアップ。

貧乏なのをコンプレックスに感じている武琉は情けなさから俯く。
悔しさから全身を震わせ、膝の上で両手をギュッと握りしめている。


擬音「クスッ」
武琉の反応を予想していたかのように穏やかな笑みを浮かべる桜。

桜「輝子(テル)が言ってたの…」
桜「魔王討伐に向かう勇者は"モンスター"と戦う前に まずは"装備"を整えるのが先決だって!!」
ドラクエ1の勇者のように西洋の甲冑を着用し剣と盾を持った武琉が、禍々しい魔王の姿をした桜に挑むような構図の絵。
※武琉が輝子の弟子となってEスポーツに挑戦する前に、まずはネットやパソコンなどの環境を整える必要があるということを端的に伝えるためにたとえ話で読者に伝える。

擬音「ハッ!」
ハッとした表情で顔を上げた武琉の上半身アップ。
※武琉は桜の言葉に虚をつかれて驚いたとこのコマでは読者に思わせる。
実は同時に顔を上げて目前に見えたものに驚いていると次のコマで読者に理解させる。

桜「まずはゴールド(お金)を稼いで……」
助手席の武琉に顔を向けてよそ見しながら話しかける桜。
※目前のトラックの存在に気づいていない。

擬音「パッ」
急に目前のトラックのブレーキランプが点灯する。

擬音「!!!」
擬音「ガッ」
桜と武琉の乗った白いスポーツカーが前を走る大型トラックに迫る
※白いスポーツカーを背後から見た構図で。


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擬音「ピッ」
車内フロントのコンソールパネルの表示ランプが「MANUAL」(手動)から「AUTOCRUSE」(自動運転)に変わる。

擬音「グウーン」
追突寸前、追越車線に車線変更した桜の白いスポーツカーが走行車線を走る大型トラックを追い抜いていく。
※スポーツカーの車線変更の軌跡(きせき)がわかるようにフカンの構図で描く。


武琉「…………」
武琉「いま…クルマがグウーンって勝手に……!」
思いがけない車の挙動に驚いて呆気にとられた表情の武琉。
※衝突の恐怖から冷や汗を流している。

謎の声「桜…前方不注意ですよ…」
謎の声が車内に響くと同時に、車内フロントのセンターコンソールのインジケータが声に合わせて点滅している。

桜「ニハハ ごっめ~ん♪」
謎の声に前方不注意を窘められて右手で頭をかき、笑顔で誤魔化す桜。

武琉「ク…クルマがしゃべった!!」
助手席の武琉は驚いた顔で点滅したインジケータを震えた右手で指さしている。

CAT「……私はカーオートクルーズテクノロジー……通称"CAT"(キャット)……」
インジケータがCATの声にあわせて点滅している。


16―17ページ


武琉「CAT(キャット)!?」
キョトンとした表情の武琉のバストアップ。

CATの声「…私は"LV5(ファイブ)"の自動運転技術を搭載したこのクルマのAI(人工知能)……未来のクルマのプロトタイプ……」
CATの説明を聞く武琉を横目で見つめながら、両手でハンドルを握っている桜。

擬音「キョロキョロ」
武琉「未来のクルマ……すっげぇ~!!」
CATの凄さを知り、ワクワクした表情で目を輝かせながら、フロントコンソールパネルを見渡す武琉。

フロントコンソールパネルには、通常の車に必要なボタンやインジケータの他にさまざまな名称のボタンやスイッチがギッシリと配置されている。
「CATのボイスインジケータ」・「AUTOCRUSEランプ」・「TURBOBOOSTボタン」・「ESPMボタン」・「EBSボタン」など。
※「ESPMボタン」は次回の物語の中で重要な役割を果たすボタン。


擬音「ジィー」
擬音「!」
先程と打って変わって怪訝そうな表情で運転席の桜をジッと見つめる武琉。

擬音「ポリポリ」
桜「………」
困ったような表情で視線を助手席の武琉に向けながら、右手で頬をかく桜の顔のアップ。

擬音「ニハハ」
桜「あたし…た・だ・の"OL"なんだけどなぁ~これが♪」
桜独白「実家が"ちょっと"お金持ちだけど……」
右手で頭をかき、笑顔で誤魔化す桜。
焦りと動揺からか、頬から汗を流している。

擬音「ジィ………」
先程より、さらに渋い顔で桜をジッと見つめる武琉の顔のアップ。
全身から桜の言葉に納得できない・信用できないというドンヨリしたオーラを漂わせている。

擬音「!」
擬音「パッ!」
CAT「…武琉………」
CATに会話に割り込まれハッとする武琉の顔のアップ。
背景の車内フロントのコンソールパネルのモニター画面に桜の顔写真が映し出される。


18―19ページ


CAT「…桜は"こう"見えて…去年"アーケードレースゲーム部門"の世界大会で5位入賞を果たした女流プロEスポーツプレイヤーだ……」
桜が世界大会で活躍した際の顔写真映像がモニター画面に映し出されている。
新選組のコスプレをした笑顔の桜が誠の鉢巻きにダンダラ模様の羽織袴を着用している。

武琉「え? オバサンが"師匠"と同じ…プロEスポーツプレイヤー!?」
湾岸線の案内掲示板のアップ。
「辰巳PA(パーキングエリア)」の文字が矢印とともに描かれている。
※辰巳PAは、次回のバトルが繰り広げられる場所。

擬音「ハッ」
言っていけないことをいったことに気づき、表情が曇る助手席の武琉。

怯えた表情で汗を流し、ゆっくりと顔を右側の運転席に向ける武琉。

擬音「ゴオオオォ…」
桜「ブーちゃん…お師匠様(テル)の親友(まぶだち)に向かって…よくもそんな口を"2度"も聞けたものねぇ~怒」
武琉独白「………」
運転席でハンドルを握った桜の目がメラメラと怒りで燃えている。
桜を再び怒らせてしまった武琉の頬から汗が流れ落ちる。


擬音「ギュッ」
擬音「!!」
武琉の両頬を引っ張る桜の両手。
桜の行動に虚を突かれた武琉は、驚いた表情で目を見開いている。

桜「今後 "敬意"を持って 姉(あね)さんと呼ぶのよ……わ・か・っ・た!?」
目をメラメラと燃やしながら、武琉の顔をのぞき込む桜の顔のアップ。
コミカルさの中に凄みを感じさせるような表情で。

武琉「ひィ わはりはひた(わかりました)~」
両頬を両手でひっぱられたまま涙目で同意する武琉の顔のアップ。

擬音「パッ」
突然、モニター画面に「警告!!後方注意」の文字が表示される。

擬音「ピィ― ピィ―」
武琉&桜「!!」
じゃれ合っていた2人が驚いた表情をモニター画面に向ける。


20―21ページ


擬音「グォーン」
首都高速湾岸線。
桜の白いスポーツカー後方に急接近する石河兄弟の車。
黒いVIP車にエアロパーツやウイングで武装した走り屋(ルーレット族)仕様のカスタムカー。
※VIP車は、高級セダンにエアロパーツなどで装飾を施したカスタムカーの俗称。
※ルーレット族は首都高環状線を猛スピードで走る走り屋の俗称。

石河弟声「イタ車だぜ 兄貴ぃ♪」
桜の白いスポーツカー後部中央、テールランプの間に描かれたイタリア国旗とローマ字の車名のアップ。

石河兄声「浜(よこはま)ナンバーか…このあたりじゃ見ねえ車(ヤツ)だな…」
桜の白いスポーツカーの後部中央下、ナンバープレートのアップ。
横浜の3ナンバー(普通車)。

擬音「ニィ…」
獲物を見つけたと笑みを浮かべる石河兄の歪んだ口元のアップ。
※この時点ではまだ石河兄弟の表情を見せない。


テイルトゥーノーズで前方の桜の白いスポーツカーに真後ろから急接近する石河兄弟の黒いVIP車。
※追越斜線を走る2台を横から見た構図で。

桜「なっ なんなのよ~!」
バックミラー越しに真後ろの石河兄弟の黒いVIP車を視認する桜。
※バックミラーに映る石河兄弟の車を強調した構図で。

CAT「…危険だ…ウインカー(方向指示器)で車線変更を!!」
CATの音声に合わせて点滅するボイスインジケータのアップ。

擬音「カチッ」
桜「オーケ~♪」
ウインカーレバーを動かす桜の右手のアップ。

擬音「カッチカッチカッチ…」
ウインカーが点滅する桜の白いスポーツカーの左テールランプ。
※後方の石河兄弟の車から見た構図で。

擬音「ガァー」
ウインカーを点滅させながら、追越車線から走行車線に車線変更していく桜の白いスポーツカー。
※後方の石河兄弟の車から見た構図で。


22―23ページ


擬音「!!」
擬音「グォーン」
桜の白いスポーツカーの車線変更にピッタリ合わせるように、真後ろを走る石河兄弟の黒いVIP車も走行車線側に車線変更してくる。

桜独白「なっ…なんで くっついてくるのよぉ~!?」
切迫した表情でバックミラー越しに真後ろの石河兄弟の黒いVIP車に視線を向ける運転席の桜。
助手席の武琉も不安な表情でバックミラーを見つめている。
※運転席正面から2人を見た構図で。

CAT「…これ以上は危険だ…車種とナンバーを警察に転送して…」
モニター画面に石河兄弟のVIP車のストック状態の車の画像と、カーナンバー、持ち主の氏名などの情報が映し出されている。
※持ち主の石河兄の顔写真は、セリフのフキダシに重ねて読者に見せないようにする。

擬音「!」
桜「待って…CAT(キャット)!」
ハンドルを握ったまま、真剣な表情でバックミラーを見つめる桜のバストアップ。


石河兄弟の黒いVIP車のフロントランプのアップ。

擬音「パッ」
石河兄弟の黒いVIP車のフロントランプが点灯する。

擬音「パッパッパッ」
石河兄弟の黒いVIP車のフロントランプが一定の間隔で点滅を繰り返している。

桜「パッシング………」
呆気にとられた表情でバックミラーを見つめる桜の顔のアップ。

擬音「!」
桜「ブーちゃん……私たち……"バトル"を挑まれたみたいよ……」
助手席の武琉に顔を向けて真剣な顔で語り掛ける桜。

(時間経過・場面転換)

擬音「グオーン」
首都高速湾岸線辰巳PA(パーキングエリア)の看板のアップ。


24ページ


擬音「ブロロロ」
PA内の駐車場スペースに正面を向きあう形で停車している桜と石川兄弟の車。
いつでも走り出せるようにエンジンがかかったまま。
周囲のスペースには数台の車が駐車されている。
※2台をフカンで上から見た構図で。

擬音「ガチャ」
開いた右の運転席側のドアから細見で角刈金髪の石河兄(石河龍一)が、左の助手席側のドアから太った坊ちゃん刈茶髪の石河弟(石河龍二)が姿を現す。
2人とも威圧感と不気味さが表情から滲み出ている。
2人ともお揃いのトレーナーを着用しており、右胸に"軟派"・"不純"と筆書きされた文字がプリントされている。
2人とも両手に黒いドライビンググローブを着用している。
※2人の名前などの情報は次回に読者に明かす。

緊張した表情でドアの上に両手をかけながら石河兄弟を覗き見ている武琉の顔のアップ。

自信ありげな表情でドアに手をかけている桜のバストアップ。


第2話終わり。次回に続く。

リアルカーバトル勃発!?




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