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漫画原作:『Additional Times』第1話

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『Additional Times』第1話シナリオ(※マンガ原作形式)

凡例:

文章間に挿入された▼記号は、そこでマンガの該当ページが開始することを示す。

文章間に挿入された●記号は、そこでマンガのコマが変わることを示す。

文章間に挿入された2つの●記号は、そこでマンガのページが切り替わることを示す。

文章間に挿入された▲記号は、そこでマンガの該当ページが終了することを示す。

基本的にそのコマに入る、「 」でくくられた、擬音・字幕・独白・セリフ・解説を先に
記載している。
次いで、そのコマに入る背景や人物の情報が記載されている。
この2つと文章間に挿入された●記号でマンガの1コマに入る情報を区別している。

人名の後の「 」の中には、その人物のセリフが入る。

人名独白の後の「 」の中には、その人物の心の中のつぶやきが入る。

字幕の後の「 」の中には、5W1Hを説明する文が入る。

擬音の後の「 」の中には、そのコマに必要な効果音が入る。

解説の後の「 」の中には、作者の事項に対する解説文が入る。

「 」の中の( )はセリフのルビを示す。

「 」の中の" "はセリフの強調を示す。

( )は、( )の時点で、場面転換・時間経過・画面暗転が発生し、前のコマと次のコ
マとの間でストーリーが転換することを示す。

セリフなどの後の、背景や人物情報などを記載する文章の中の『 』や「 」は、背景や
事物に、カッコ中の文章が記載されることを示す。 

※は、該当コマを作画化する上での注釈や作者の意図を示す。


1ページ


『Additional Times』
第1話 「Hard Luck」(不運)

扉絵イメージ:
ページ中央にコイントスで跳ね上げられたコインが描かれている。
コインの左右には、主人公である飛谷 厳(とびたに げん)と弟の飛谷 昇(とびたに のぼる)の横顔が配置されている。
飛谷厳の配置されている右側の背景には、降り注ぐお札が描かれており、反対に飛谷昇の配置されている左側の背景には、芝のサッカーのピッチとスタジアムが描かれている。

2―3ページ


字幕「2020年 1月冬」
繁華街にある宝くじ売り場の外観。
曇り空の中、店の前を冬用のコートや帽子を身にまとった男女が歩いている。
売り場の前で飛谷厳が、脇目も振らずに当選番号が掲示されたポスターを眺めている。
うす汚れた冬山用の分厚い黒色のウェアを着て、今にも膝の抜けそうな紺色のジーンズとボロボロの白いスニーカーを履いている。

年末ジャンボ宝くじの当選番号が掲示されたポスターのアップ。
1等と前後賞の「組と番号と当選金額」が記載されている。

よれ曲がった数枚の宝くじと宝くじの紙を握る両手のアップ。
小刻みに震えている両手握られた宝くじには、ポスターに記載された1等の当選番号と同じ「組と番号」が印刷されている。

左手でめくった宝くじ。ポスターに記載された前後賞の当選番号と同じ「組と番号」が印刷されている。


厳独白「キタ キタ キタ~!!」
全身を震わせながら、宝くじを両手でしっかりと握る厳の正面上半身のアップ。
頬を蒸気させて白い息を吐きながら1人興奮した面持ちの厳。
※あえて目を描かない。次のコマで表情を見せるため。

字幕「飛谷 厳(とびたに げん)29歳 フリーター」
厳独白「キタ――!」
厳「いよっしゃぁ―――!!!」
満面の笑みを浮かべながら、右手で宝くじを力強く握りしめる厳の正面上半身のアップ。
※厳の興奮した様子が伝わるように、ややアオリがちの視点で描く。

(画面暗転・時間経過)


4―5ページ


「九十九(つくも)銀行 江戸川支店」と書かれた中層ビルの外観。銀行のテナントが入っている2階から1階にかけて、銀行名とシンボルマークの描かれた立看板がビル外観に設置されている。

2階の窓の外から見た、カーテンの開かれた応接室の室内の様子が描かれている。
室内中央の木製のテーブルの上には、1000万円以上の宝くじ高額当選者に配布される小冊子と、当選した宝くじ3枚が置かれている。テーブルをはさんで、左側に仕立ての良いビジネススーツと白いワイシャツ姿の黒縁眼鏡をかけた銀行員が1人用のソファーに座り、右側に厳が2人用のソファーの真ん中に座っている。
厳の左脇にはウェアがきちんと折り畳まれないまま無造作に置かれている。

厳独白「えへへへ…10億円…」
目元を嫌らしくニヤニヤさせながら、視線の定まらないだらしない表情の厳の上半身のアップ。

10億円で実現させたいことを脳裡に思い浮かべる厳の顔のアップ。
厳の脳裏には夢のようなバラ色の未来が3つの光景として浮かんでいる。
六本木ヒルズのような高層マンションを背景に、記念写真撮影のときのように右手でピースをしてポーズをとる厳。仕立ての良いグレーのスーツを身に着け、茶色の革靴を履いている。
両脇に全裸のブロンドヘアと黒髪の美女を侍らせながら、ソファーに腰掛けて高笑いする厳。黒のボクサーパンツ一丁の情けない姿をしている。
天から1万円札が降り注ぐ中、ソファーと厳の足元にお札がうず高く積みあがっている。
3シーターのハイパーカーである赤色の「マクラーレン・F1」に乗った厳が両脇の助手席に前のコマの美女をはべらせながらハンドルを握っている。


銀行員独白「……」
説明にうわの空の厳を見かねて困惑したような表情を浮かべる銀行員。
左手で小冊子を握りながら、右手で冊子のページを繰っている。

銀行員「お客様 本日お渡しできるのは100万円までとなっております」
右手に握ったチェック柄のハンカチで額の汗を拭いながら厳に説明する銀行員。

擬音「!」
銀行員の言葉に妄想から現実に引き戻される厳。顔を上げて銀行員の方を向く。

銀行員「いかがでしょうか…当行で証券口座を開設なされては…」
黒縁眼鏡の淵を輝かせ、営業スマイルで証券口座開設を厳に迫る銀行員。
口元をやや不気味に歪ませている。
※厳の10億円を狙おうとする銀行員の下心を表現するため。

擬音「ビシッ!!」
擬音「ビクッ」
銀行員の顔の前に突き出された、右手の人差指を立てた厳の右腕のアップ。
突然右手を突き出されて面食らった表情の銀行員の上半身のアップ。


6―7ページ


厳「100万…新札(ぴんさつ)で頼む!!」
右手の人差指を立てたまま、真剣な表情で口を真一文字に結び、銀行員にお金の用意をお願いする厳。

銀行員「…」
呆気にとられた表情の銀行員の顔のアップ。

銀行員「か…かしこまりました…」
ソファーから立ち上がり、当てが外れたような残念な表情を見せつつ、厳に丁寧にお辞儀する銀行員。

擬音「ガチャ」
応接室のドアのアップ。
※銀行員が100万円を用意するために応接室をあとにした様子を表現。


厳独白「100万か…」
テーブルの上に置かれたままの小冊子と、当選した3枚の宝くじに目を向ける厳。

厳独白「まずは 吉原の高級ソープに行って…」
腕組みしながら、自信ありげな表情で銀行の2階の応接室から外を眺める厳。
窓の外にはポツポツと雪が降り始めている。

擬音「ズキッ」
石になって固まったような表情の厳の上半身のアップ。
※厳の身体に異変が起こったことを読者に伝えるため、白黒の線を反転させた絵で描く。


8―9ページ


厳「ううっ…」
ソファーの左脇に置いたままのウェアにもたれかかるように崩れ落ちる厳。
両手で腹部を押さえながら苦痛の表情を浮かべている。

擬音「ガチャ」
銀行員「お待たせいたしました…」
右手でドアを開けて、応接室に入室する銀行員。
100万円の入った無地の封筒を上に置いた、銀行の窓口によくある「御釣り入れ」を左手に握っている。封筒の先は二重に折り曲げられた上でホチキスによってとホチキスでとめられている。

擬音「!」
驚いた表情の銀行員の顔のアップ。

ソファーの上に崩れ落ち、苦しそうに呻いている厳。
※苦しそうな姿勢の厳の全身を描く。

銀行員「お客様!!」
苦痛で表情を歪めている厳の横顔のアップ。

(画面暗転・時間経過・場面転換)


晴れ間の見えそうなうす曇り空。
「富士立電機サッカー部」と刻まれたコンクリートの門柱の玄関。
敷地内には2階建てのプレハブのクラブハウスが建っている。
クラブハウスの入口脇に、木製のベンチと自動販売機が設置されている

字幕「飛谷 昇(とびたに のぼる)26歳 実業団サッカークラブ選手」
ランニングに出るために、木製ベンチに腰掛けて、サッカーシューズの紐を結ぶ飛谷昇の上半身のアップ。
上下ともに黒のジャージを着て、使い古した古いサッカーシューズを履いている。

チームメイトA独白「おい聞いたか とうとうウチも来年で廃部らしいぞ」
ベンチで靴ひもを結ぶ飛谷昇。
※背景は真っ黒。昇は去年の年末、小耳に挟んだチームメイトの噂話を思い出している。

チームメイトA独白「お前ら どうするつもりだ?」
高いフェンスに囲まれた練習用グラウンド。天然芝のピッチの芝がところどころはげあがっており、地面がむき出しになっている。
グラウンドの外周をフェンスに沿って一人ランニングする昇。
白い息を吐きながら、黙々とトレーニングに打ち込んでいる。


10―11ページ


チームメイトB独白「おれっすか~?もち辞めますよ~嫁さんどうもオメデタみたいで」
チームメイトB独白「家族を食わせてきゃなんないのに いつまでも少年(ガキ)見たいに夢追えないっすよ~」
グラウンドをランニングする昇の上半身のアップ。額に汗を浮かべながら黙々と走っている。幾分険しい表情になっている。

チームメイトC独白「廃部になっても今まで通り正社員(リーマン)でやってけるんですからそれだけで御の字(おんのじ)ですよ!」
擬音「ハァハァ」
昇独白「おれは…」
廃部という現実をあっさり受け入れて、サッカーを諦めようとするチームメイトの言葉を振り払おうと何かを睨みつけるような形相で走る昇の顔のアップ。

チームメイトD独白「どうせ おれらの実力(レベル)じゃ"J(プロ)"なんて夢のまた夢ですからね~」
チームメイトA独白「そうだな あはははは~」
擬音「ハァハァハァ」
昇独白「おれは…」
充血した昇の両目のアップ。

擬音「ビュオッ」
芝のピッチの上を一陣の風が吹き抜ける。


昇独白「おれは まだサッカー(げんえき)を続けたいんだ!!」
全力疾走でグラウンドの端をスプリントする昇。
※昇が快足選手であることを読者に提示する。

擬音「ハァハァハァ」
フェンスの巡らされたグラウンドの端で、両手を膝にのせて俯きながら呼吸を整える昇。

昇「ふう…」
呼吸が落ち着いてきて、顔を上げる昇。

昇独白「兄さん…どうしているだろうか…」
グラウンドのフェンスに囲まれながら、冬の灰色の空に浮かんでいるぼんやりとした太陽を眺める昇。
はっきりとした明るさの感じられない太陽に8年近く音信不通の兄の姿を重ねる昇。

(画面暗転・時間経過・場面転換)


12―13ページ


字幕「1か月後」
高層のビルが林立する大学病院クラスの大きな総合病院の外観。

医師独白「…スキルス性ガンです…残念ですが手の施しようがありません…」
病院の高層階にある見晴らしの良い一人部屋の病室。
ベッドを挟むように設置されているキャスター付きテーブルの上には、コップや歯ブラシ、薬を入れる小さなトレイ、飲みかけのペットボトルの水、読みかけのギャンブル雑誌が置かれている。
ベッドの左側には、点滴の取り付けられた金属製の点滴スタンドが置かれている。
点滴の管は、厳の左腕にとめられている。
持ちあがったベッドの背もたれに背中をあずけながら、厳は魂の抜けたような表情でボンヤリと夕焼けを眺めている。
無地の薄緑色の病院のパジャマを着た姿で無精髭を生やしている。

(回想シーン)

医師「もって…あと1年か1年半…」
病院の診察室。金属製フレームの眼鏡をかけた白衣姿の40代半ばの医師。紺色のスラックスにゴム製の黒いサンダルを履いて、背もたれと肘当てがついた椅子に腰かけている。
縦型の大型モニターには、画像診断装置で撮影された厳の臓器の画像が何枚も表示されている。
厳は病状を説明する医師と正対する形で椅子に腰かけている。
※回想シーンなので背景は黒塗りにする。

医師からの非情な病名と余命宣告を受けて、真っ青な表情で両目を見開いたままボンヤリと口を開く厳。
※回想シーンなので背景は黒塗りにする。回想シーンはここで終了。


医師独白「私たちも最善を尽くします あきらめずに頑張りましょう」
魂の抜けた表情をした厳の顔のアップ

擬音「ギュッ」
厳独白「せっかく10億円(カネ)が手に入って…これからだってときに…」
俯いた厳は、肩を震わせながら掛け布団を両手で強く握りしめている。

擬音「ポタリ」
掛け布団が厳の涙で濡れる。

厳独白「死にたくねえ…何もやれずに死にたくねえ!!」
顔をくしゃくしゃにして、鼻水を垂れ流しながら大粒の涙をこぼす厳。
肩を震わせながら、死の恐怖と人生で何も為すこともなく死んでいかなければならない無念さを全身から滲ませている。

厳独白「どうせ死ぬなら…」
厳は、キャスター付きテーブルの上に置かれている読みかけのギャンブル雑誌の記事に目を向ける。
見開きの雑誌には、「夢の花開くギャンブルの都 ラスベガス特集」と題したラスベガスを特集とした記事が掲載されている。
記事には、ラスベガスの地図上の位置が描かれたアメリカ西部の地図、カジノホテルのあるエリアの地図と主要なカジノホテルの写真、日本からのアクセスの仕方などが記載されている。

擬音「バン!」
厳独白「10億円(カネ)使い切ってから死んでやる!!」
テーブルの上に置かれた雑誌を右手で叩く厳。
厳の右手の先には、ラスベガスを代表するカジノホテルの一つである「ベネチアン」の写真が描かれている。
※厳の目的地がアメリカ・ラスベガスのカジノホテル「ベネチアン」だということを読者に提示する。


14―15ページ


(画面暗転・時間経過・場面転換)

字幕「半月後 アメリカ ネバダ州ラスベガス」
ラスベガス・ストリップの南側にある「Welcome to Fabulous Las Vegas 」の看板のある道路沿いの夜景。一際大きな看板のネオンが光り輝き、看板の奥の道路には、行き来する自動車のランプとカジノホテルのネオンの灯りが見える。

ヴェネツィアンホテルの外観。ヴェネツィアのシンボルであるリアルト橋、ドゥカーレ宮殿、運河、運河に浮かぶゴンドラが再現されたホテル。建物の窓や吹き抜けの1階部分から煌々とした灯りが漏れている。

テーブルに座りポーカーやルーレットに興じるスーツやドレス姿の男女。
ディーラーや飲み物を運ぶカクテルウェイトレスが忙しくカジノ内を歩いている。

ルーレットのテーブルでギャンブルをしている厳。
トレーナーを着て、穴の開いたジーンズと擦り減ったスニーカーを履いている。
タキシード姿のディーラーと1対1でギャンブルをしている。
黒の4の数字に大量のチップが置かれている。
厳と同じテーブルについているものの、ルーレットに加わらずにテーブルで行われている勝負を観戦しているカジノの客。
※ルーレットのテーブル全体の様子がわかる様に俯瞰視点で描く。
※一目賭け…ルーレットで特定の一つの数字に賭ける方法。配当は36倍になる。

テーブルの「黒の4」のスペースに置かれた大量のチップのアップ。


擬音「シュルルル…」
左手でルーレットを回転させるディーラー。

回転するルーレット

「赤の30」のポケットに落ちるボール。

T字型の回収棒で厳のチップを没収するディーラー。

擬音「スッ」
厳「黒の4…」
遠くを見るような冷めた視線で再び黒の4へ大量のチップを一目賭けする厳。

擬音「ヒソヒソ」
男性客A「10万ドル近く負け込んでるのに まだ突っ込んできやがる!」
男性客B「また黒(ノワール)の4に!」
男性客C「一目賭けに大金張り続けるなんて正気かよ…」
怪訝そうな表情で黒の4にチップを一目賭けする厳を見る男性客たち。仕立ての良いタキシードに身を包み、紳士然としているが、富と名誉を追い求める俗物のような顔つきをしている。
※10万ドルは、1ドル=110円とすると日本円で約1100万円に相当する。


16―17ページ


右袖で額の汗を拭いながら、左手でルーレットを回転させるディーラー。

擬音「シュルルル…」
回転する盤上を回るボール。

ボールの行方を見つめる3人の男性客。

擬音「カラン コロン」
ルーレットの勢いが弱まってくる

擬音「コトン…」
ボールが黒の4のポケットに入る。


擬音「ウワァー」
厳のテーブルを眺めていた客たちが歓声を上げる。

厳独白「………」
視線を落とし虚ろな視線で目の前に置かれた配当チップを見つめる厳。

擬音「スッ」
無言でテーブルをあとにする厳。

呆気にとられた顔をして厳を見るディーラーと客たち。
客たちの中にイギリス人貴族であるリチャードがいる。

厳を無言で見つめるリチャードの顔のアップ。
左目に片眼鏡をかけており、左のコメカミに若い頃戦争で出来た古傷が縦に走っている。
男爵家の当主に相応しい仕立ての良いタキシードを着ており、よく磨かれた黒の革靴を履いている。

(画面暗転・時間経過)


18―19ページ


カジノ・ホテルのバーのカウンター席。
ギャンブルを終えた厳が1人で右手にビールジョッキを片手に佇んでいる。
すでに何杯か飲み干して顔が赤らめているにも関わらず、素面で一点を見据えているよう
な眼差しをしている。

死の恐怖と高レートでギャンブルをし続けたにも関わらず、一行にお金が減る気配のないことへの苛立ちを振り切るように、顎を上向けて一気にビールジョッキをあおる厳。

リチャード「大勝ちしたのにずいぶん浮かない顔をしとるの」
知り合いの誰もいないラスベガスで声をかけられて、ハッとした表情で声のする左側に顔を向ける厳。

字幕「リチャード・ワレット 92歳 イギリス男爵家の当主」
リチャード「グッドイブニング(こんばんは)」
電動車椅子に乗ったまま、穏やかな笑顔で厳に話しかけるリチャード。

バーテン「グッドイブニング 男爵(バロン)」
白のワイシャツと黒のスラックス姿をしたバーテンが、磨いている最中のグラスを手に持ったまま目礼し、うやうやしくリチャードに挨拶をかえす。
※リチャードがカジノの常連で、バーテンと旧知の間柄であることを示す。


無言のままリチャードを見据える厳。

リチャード「ラスベガス(ここ)でギャンブルをする人間(やつ)は2種類しかおらん」
厳の隣の席に座っているリチャード。
厳を見ずにカウンターから正面を見ながら独り言をいうようにつぶやく。

リチャード「一攫千金を夢見る俗物か ワシのような道楽者…」
バーテンがリチャードにウィスキーをロックで差し出す。

リチャード「じゃが お前さんは思いつめた顔して大金をドブに捨てるかのようにチップを張り込んどった…そこが妙に気になっての」
ウイスキーグラスを右手で軽く掲げながら、思慮深い表情で横を向いて厳を見るリチャード。

厳「悪いかよ……って爺さん日本語?」
右手に握ったビールジョッキを傾けて飲もうとする厳。見ず知らずの外国人であるリチャードが流ちょうな日本語で自分に話しかけてきていることにようやく気付き、目を丸くする厳。

リチャード「ふぉっふぉっふぉっ!」
人の良い好々爺のように、満面の笑みを浮かべるリチャード。


20―21ページ


リチャード「若い頃 ビルマ(ミャンマー)で日本軍の捕虜になってのう…収容所の看守じゃった日本の兵隊から教わったんじゃ!」
穏やかな表情で目を細め、遠い昔に思いを馳せるリチャード。
突然話しかけてきた日本語を話す謎の老人に知らず知らずに引き込まれている厳。
ビールジョッキをカウンターの上に置いてリチャードの話に聞き入っている。

擬音「ゴクリ」
厳「日本軍の捕虜って…爺さん…」
捕虜・収容所と現代人の厳にとって想像できないリチャードの過去の出来事を聞き、緊張で表情を強張らせる厳。

(回想シーン)

リチャード「ちょうど お前さんくらいの年齢(とし)の男じゃったかのう…」
映画『戦場にかける橋』に出てくるような草葺の捕虜収容施設。
しゃがみ込んでいる10代半ばのリチャードを見下ろす日本兵。逆光で日本兵の表情は読み取れない。
リチャードは、怯えたような表情で近づいてきた日本兵を見上げている。
リチャードは薄汚れたボロボロのシャツとズボンを着ており、日本兵は帽子をかぶった半袖の軍服を着ている。
※回想シーンなので背景を真っ黒にする。

リチャード「粗暴な連中と違い 彼だけは少年のわしに親切にしてくれたもんじゃ」
片膝をついた日本兵がズボンから取り出したハンカチでリチャードの顔の泥と汗を拭う。

思いがけない親切に、恥ずかしそうに日本兵の顔を見るリチャードの上半身のアップ。
※回想シーン終了


リチャード「彼こそ真の紳士(ジェントルマン)…本物の武士(サムライ)じゃった…」
厳の方を見ることなく、もの悲しそうな目で遠くを見るリチャード。

擬音「ダン」
厳「それで…その親切な兵隊さんは?」
カウンターのテーブルに手をつき、身を乗り出してリチャードに話の続きを聞こうとする厳。

首を横に振るリチャードの上半身のアップ。

擬音「スッ」
リチャード「わからん…」
右手をタキシード上着の左の内ポケットに差し入れるリチャード。

リチャード「なんせ 色々あったからのう…」
右手で内ポケットから取り出し、手のひらにのせた戦前の古い日本の硬貨を見つめるリチャード。
※別れ際に親切にしてくれた日本兵から貰った日本の硬貨を小道具として取り出すことでリチャードと日本兵の友情と、リチャードの日本や日本人に対する好意を表現している。


22―23ページ


リチャード「ただ…日本軍が劣勢にたってからは ずっとお前さんのような思いつめた顔をしとった…」
哀しそうな目で遠き過去の記憶に思いを馳せるリチャード。

擬音「!」
リチャード「いつおとずれるともしれぬ"死"の恐怖に憑りつかれた顔をな…」
初対面のリチャードに自分の抱える悩みを見透かされたことに対して驚きの表情を見せる厳。

厳「………」
表情を曇らせる厳。

擬音「ガン」
厳「宝くじで10億当選(あたって)してようやくクスブリ人生ともオサラバできると思ったのによお…ガンで余命1年だなんて…」
中身がほとんど無くなったビールのジョッキをテーブルに勢いよく置く厳。

厳「これから…これからだってのに…」
テーブルに両肘をついた状態で両手で頭を抱える厳。


リチャード「ふぉっふぉっふぉっ!」
厳の悩みを吹き飛ばすような豪快な笑い声をあげるリチャード。

擬音「ポンポン」
リチャード「ワシも 棺桶に片足…いや両足突っ込んどる年寄じゃ…」
リチャード「"死" が間近に迫っている点では お前さんとなんら変わらん…」
カウンターの回転する椅子を動かして、身体ごと厳の方を向いて話すリチャード。
両手で不自由になった両ひざをポンポンと叩く。

リチャード「ワシは戦争を生き抜き 父の爵位を継いで家族を持ち 幸運なことに財までなすことができた」
祖父が愛おしい孫を教え諭すように、穏やかな表情で厳に語り掛けるリチャードの上半身のアップ。

擬音「ニコッ」
リチャード「じゃから お迎えが来たとしてもな~んも未練はない…」
死をすでに受け入れていることを厳に気づかせるべく満面の笑みを浮かべるリチャードの顔のアップ

擬音「ポン」
リチャード「じゃが…お前さんは まだ若い…」
厳を労わるように厳の左肩に右手を乗せるリチャード。

リチャード「…心残りがあるんじゃないのかね?」
両手で頭を抱えたままの厳と、テーブルに置かれたままの厳のビールジョッキのアップ。
ほんの僅かであるがジョッキの底に飲み残しのビールが溜まっている。
※厳にとっての希望が僅かだが残っていることをジョッキに残ったビールで表現するためビールジョッキを中心にして描く。


24―25ページ


厳「!」
リチャードの言葉にハッとした表情をして顔を上げる厳。

リチャード「余命1年でも10億円で叶えられることが山ほどあるはずじゃ!」
穏やかな表情で厳に語り掛けるリチャードの顔のアップ。

擬音「コト」
バーテンがコップ一杯に注がれたビールを厳のテーブルの前に置く。

零れ落ちそうなほど満タンに注がれたコップ一杯のビールを見つめる厳。

厳独白「残り1年の生命(いのち)か…」
目を閉じ、心を落ち着かせて考え込む厳。


擬音「ワァァァ!」
サッカーの聖地イギリスのウェンブリースタジアムの外観。

FAカップ決勝戦、スタジアムの大型モニター。
中央上段にクラブエンブレムとともに、「WEMBLEY PARK 0」、中央下段にクラブエンブレムとともに、「LIVERPOOL 0」と表示されている。

タッチライン際を対戦相手のリヴァプールのDFを振り切ってドリブル突破する昇。
厳は、弟の昇がサッカーの母国イングランドでピッチに立つ姿を想い描く。

26―27ページ


目を開き、何かを決意した面持ちでテーブルの上のビールの入ったコップを見つめる厳。

擬音「ガッ」
右手でコップを鷲づかみする厳。コップがテーブルにこすれる音が響く。

擬音「グイ」
擬音「ゴクリ ゴクリ」
右手に握ったコップをあおって、真剣な表情でビールを飲み干す厳。

厳「ぷはぁ~」
口元を泡だらけにしながら、一息ついた表情でコップをテーブルに置く厳。
コップの底にビールの泡が残っているだけで、中身はほとんど残っていない。

厳「爺さん…」
厳「小さいころからずっとサッカーやっている3つ下の弟がいるんだ…」
俯きがちに淡々とした表情で隣の席に座っているリチャードに語りかける厳。


厳「おれとは違い真面目なやつなんだけど…星の巡りに恵まれていないんだ」
厳の言葉を遮ることなく、穏やかな眼差しで厳の話を聞くリチャード。

厳「弟(あいつ)をプロで…海外でサッカーをするっていう昇(あいつ)の夢……叶えてやりてえんだ!!」
遠く離れている弟に思いを馳せながら、遠くをみるような目で叶えたい自分の夢をリチャードに打ち明ける厳。

厳「おれの10億円で海外のクラブチームに入団させてやること できねえかなあ…」
目頭を熱くして右手の人差指で恥ずかしそうに鼻の下をこすりながら、叶えたい夢をリチャードに打ち明ける厳。
先程と変わらない表情で厳を見つめているリチャード。

擬音「フフフ」
リチャード「そうか…それなら…」
不敵な笑みを浮かべるリチャード。

擬音「コト」
リチャード「それなら…ワシと10億円を賭けて勝負してみるつもりはあるかの?」
右手で握ったままだった古い日本の硬貨をテーブルに置くリチャード。


28―29ページ


厳「へ?」
驚いた表情で隣のリチャードを見る厳の顔のアップ。

リチャード「勝負は1度きり…表が出たらお前さんの勝ち…お前さんの願い ワシが叶えてやろう」
硬貨を右手の親指と人差し指でつまみ上げ、厳にかざして見せるリチャード。

厳「ホントか? 爺さん!!」

リチャード「ワシゃあ こう見えてイギリスでフットボールクラブのオーナーをやっておってな…」
リチャード「ユナイテッドやリヴァプールとくらべもんにならんくらい小さいクラブじゃがワシのクラブ(ところ)で良ければ 弟さんをクラブに入れてやらんこともない…」
リチャードの上半身のアップ。
背景には、リチャードがオーナーのフットボールクラブである「A.F.C WembleyPark Since1927」と書かれたクラブ旗が翻っている。


リチャード「じゃがの…もしお前さんが負けたら…」
鋭い視線を厳に向けるリチャード。

擬音「ゴクリ」
リチャード「すべてを諦めて おとなしく病院で余生を過ごすんじゃな…」
リチャードの言葉を聞き、強張った表情で唾を飲み込む厳。

リチャード「ふぉっふぉっふぉっ!」
リチャード「なにもお前さんの入院代まではむしり取らん…お前さんの面倒はこのワシに任せてもらうがの!!」
不敵な笑みを浮かべるリチャード。

リチャード「さて…どうするね…若いの?」
リチャードがつまんでいる古い日本の硬貨のアップ。


30―31ページ


厳「いいぜ…やってやろうじゃねえか!!」 
覚悟を決め、真剣なまなざしの厳の上半身のアップ。

擬音「ニコッ」 
リチャード「よかろう…」
右手親指に乗せた日本の古い硬貨のアップ。

擬音「ピン!」
右手親指を跳ね上げて硬貨を宙に飛ばすリチャード。

上空で回転する硬貨。

上空で回転する硬貨を好奇心に満ちた表情で見つめる厳。
嬉しそうな表情で硬貨を眺めているリチャード。
※このコマは、30ページと31ページの真ん中をぶち抜いた大ゴマで描く。


上空で回転する硬貨がゆっくりと落下していく。

擬音「カン」
カウンターにぶつかった拍子で硬貨がバーの床に跳ね落ちていく。

弧を描くようにバーの床の上をを転がっていく硬貨。


32―33ページ


床の上の硬貨を、唇を結んで注視する厳の顔のアップ。

擬音「コトリ」
弧を描いていた硬貨が力を失い、弧の内側に倒れて動きを止める。

穏やかな表情で硬貨の行方を見守るリチャードの顔のアップ。
※上の3コマは上段の同じ段にコマを配置する。硬貨を挟んで勝負の行方を見守っているという雰囲気を出すため。

厳「表!」
バーの床の上で動きを止めた硬貨は、表を向いている。

厳「い~よっし!!」
リチャード「ふぉっふぉっふぉっ!」
胸の前で両手の拳を握りしめて力強い表情でガッツポーズする厳。
勝負に負けたにも関わらず、天晴れ見事なりという表情で高笑いするリチャード。


擬音「スッ」
厳「爺さん!」
バーの席から立ち上がった厳は、リチャードに近づき笑顔で右手を差し出す。

リチャード「ふむ…漢の約束じゃ 弟さんのこと ワシに任せてもらおう…」
厳の差し出した右手を握りかえして握手をする笑顔のリチャード。

左手人差指で照れくさそうに鼻の下をこする厳。

擬音「バン」
リチャード「じゃがの…弟さんだけイギリス行とはいくまい…」
リチャード「お前さんもイギリスに来てもらうぞ…"AFCウェンブリーパーク"の新オーナーとしてな!」
笑顔のリチャードの上半身のアップ。


34―35ページ


厳「俺が…サッカークラブのオーナー…?」
呆気にとられた表情の厳の上半身のアップ。

擬音「フラッ」
厳「爺さん…冗談 キツイぜ…」
勝負の緊張とお酒の酔いが回って足元がふらつく厳。

擬音「バタン」
カウンターのテーブルの上に倒れ込む厳。

リチャード「眠りおったか…」
笑顔で眠りに落ちた厳を見守るリチャード。

厳に近づき、毛布を背中にかけるバーテン。

バーテンは、床に落ちたままの硬貨を右手で拾い上げる。


擬音「!」
右手の親指と人差し指でつまんだ硬貨を見ながら、驚いた表情のバーテン。

バーテン独白「どちらも同じ模様?」
硬貨を裏返すバーテンの右手のアップ。

バーテン「男爵(バロン)も お人が悪い…」
リチャード「ふぉっふぉっふぉっ」
口元に皴をよせて苦笑いしながら、硬貨をリチャードに返すバーテン。
右手で硬貨を受け取りながら、してやったりと大笑いするリチャード。

リチャード「禁断(パンドラ)の箱の底に"希望"が残っていたように…」
カウンターのテーブルに突っ伏して眠る厳。

リチャード「生命(いのち)尽きるまで誰にでも"望み"はあると信じたいではないか…」
バーテン「左様ですな…」
バーの天井のシャンデリアを見つめるリチャードとバーテン。

(画面暗転・時間経過・場面転換)


36―37ページ


字幕「数日後 日本 成田国際空港」
快晴の成田国際空港第2ターミナル外観。多数の航空機が駐機されている。

第2ターミナル1階の到着ロビーを歩くリチャードの孫、シンクレア・ワレット。
白のビジネスジャケットに身を包み、膝丈までの長さの黒のタイトスカートと濃紺のストッキング、白いパンプスを履いている。
アクセサリーとして、サングラスと真珠のネックレスと水晶型のイヤリングを着用している。ブロンドヘアのスラリとした長身(女性としては)と右手でキャリーケースを引きながら歩くシンクレアに、ロビーを歩く旅行者男性全員が視線を向けている。
※リチャードからの指示を受けて、ロンドンのヒースロー空港から日本の成田空港へやってきたというイメージ。

字幕「シンクレア・ワレット 27歳 リチャードの孫娘 AFCWP(AFCウェンブリーパーク) オーナー代理」
シンクレアの上半身のアップ。真紅のルージュとともに、着用しているアクセサリーが光り輝いている。

擬音「!」
ゴードン「お嬢様~!」
声のする画面左手に顔を向けるシンクレア。


ゴードン「お待ちしておりました!」
字幕「ゴードン・マレー 39歳 AFCWP SD(スポーツディレクター)」
右手に持ったハンカチで額の汗を拭うゴードン。禿げあがっているが綺麗に整えられた頭髪から、滝のように汗が流れている。
クラブカラーである赤と青を基調とした揃いの上下のジャージを着て、黒いスポーツシューズを履いている。

シンクレア「……」
190センチ近い長身のゴードンを一瞥してため息をつくシンクレア。

シンクレア「相変わらずね…ゴードン」
ゴードン「?」
シンクレアの言葉の意味を理解できず、キョトンとした表情のゴードン。

擬音「ヒョイ」
シンクレアのキャリーケースを軽々と右肩に抱えるゴードン。

ゴードン「ささ…おクルマを用意しております どうぞこちらへ!」
キャリーケースを抱えながら、シンクレアを先導するゴードンの上半身のアップ。

(画面暗転・時間経過)


38―39ページ


高速道路を走る黒塗りのトヨタ・クラウンハイブリット。

ゴードン「こちらが本日のスカウティング対象のデータです」
助手席側の後部座席に座るゴードンが運転席側の後部座席に座るシンクレアに茶封筒を差し出す。クルマの天井に頭がくっつきそうなゴードンの身長。

ゴードン「なにしろ 急なご依頼だったもので…」
茶封筒の封を切って、A4サイズの数枚の資料を取り出すシンクレア。
ハンカチで額の汗を拭いながら、戸惑ったような表情でシンクレアに弁明するゴードン。

左上をホチキス留めされた資料の表紙には、「調査報告書」のタイトルと調査対象者である「飛谷昇」の名前、調査を実施した探偵事務所の名前が記載されている。

擬音「パラッ」
右手でサングラスを額の上に押し上げながら、左手で資料をめくる涼しげな眼差しのシンクレア。


シンクレア「ふ~ん…たった数日で…日本の探偵もなかなかやるじゃない…」
飛谷昇の経歴・サッカー選手としての実績とともに、試合と練習中に撮影された昇の写真が数枚、資料に添えられている。

擬音「ホッ」
資料の内容に満足した様子のシンクレアを横目に見ながら、内心ホッとした表情のゴードン。

シンクレア「まあ イギリス(わがくに)のホームズの足元にも及ばないけどね…」
目を細めて辛辣な表情で資料に目を通すシンクレアの顔のアップ。

擬音「ギク!」
シンクレアが、用意した資料の出来栄えに満足していないことを悟り、目を丸めて狼狽した表情をするゴードン。

(時間経過)
擬音「ワァァァ!」
擬音「ドンドンドン」
シンクレア「どうやら 着いたようね…」
「柏の葉グラウンド」と刻まれたコンクリートの門柱の入口へクルマが入っていく。
昇の所属する「富士立電機サッカー部」のプレシーズンマッチが行われている。
ナイター照明の柱が四方に設置されたグラウンドをコンクリート製のスタンドが囲んでいる。
ピッチサイドの左右にコンクリート製のメインスタンド席とバックスタンド席が、上下にコンクリート製のゴール裏芝生席が設けられている。
※イメージとしてメインスタンド席が1500人、バックスタンド席が1500人、ゴール裏芝生席1000人、合計5000人規模の観客席のあるグラウンド。


40ページ


昇のチームが試合しているグラウンドの全景。
座席のある観客席から見た光景。

シンクレア独白「"ガラスの靴"を履くに値する選手か しっかり見させてもらうわ!」
昇の姿を探し見るシンクレアの顔のアップ。

右サイドのライン際で、ピッチに立っている昇の上半身のアップ。
額から大粒の汗を流している。
昇は、紫色のユニフォームと黒いリストバンドを身に着け、白色の生地に紫のストライプがサイドに入ったパンツと紫色の靴下、使い古した黒いサッカーシューズを履いている。
ユニフォームには、背番号4の上にローマ字で「TOBITANI」と描かれている。

第1話終わり。次回に続く。

シンクレアとゴードンのスカウティング対象となった昇の"フットボーラー"としての実力はいかに?


第2話のページへ

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