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スタジオGANMA!FUKUOKAのウェブトゥーン制作フローを大公開!

こんにちは!スタジオGANMA!FUKUOKA人事総務のS・Gです!

本日は、スタジオGANMA!FUKUOKAで日々GC(GANMA!クリエイター)が制作している、ウェブトゥーン(縦スクロールコミック)の制作フローを大公開します!

GANMA!で連載中の作品「大虐殺を引き起こすラスボス、脇役の私が幸せにします!」略して「ボスわた」の制作を担当しているGCのインタビューを織り交ぜながらご紹介していきます!


私たちコミックスマートは、マンガ家が安心して創作活動に集中できるための様々な支援を行う目的で創業しました。

マンガ家という職業が 世の中でより高い評価を受け、魅力的な作品を生み出し続けられる 仕組みをつくると共に、インターネットの力で あらゆる可能性を実現し、多くの読者へ作品を届けていきます。

https://www.comicsmart.co.jp/

ウェブトゥーンと一般的なマンガ制作の違いって?

ウェブトゥーンは韓国発のデジタルマンガで、「ウェブ」と英語でマンガを意味する「カートゥーン」をくっつけて名付けられました。
フルカラーで画面を縦にスクロールしながら読めるなど、スマホで閲覧しやすい仕組みとなっている点が特徴的で、さまざまなジャンルの作品が生み出されています。
1990年代に生まれ、その後韓国の急速なIT化により2000年代ごろから流行しました。

https://www.trans.co.jp/column/knowledge/webtoon/

一般的な横読みのマンガは、マンガ家さんと数名のアシスタントによって作成されることがほとんどですが、
ウェブトゥーンはスタジオGANMA!FUKUOKAも含め、工程ごとに担当を分けて制作する分業制で制作されることがほとんどです。

フルカラーでエフェクトが使用されたきらびやかなウェブトゥーンは、モノクロマンガと比べ制作工程も時間も多くかかりますが、分業制だからこそ高クオリティな作品を制作し続けられるのです。

本記事では、制作工程についてひとつひとつ紹介をし、
スタジオGANMA!FUKUOKAでのウェブトゥーン制作現場をよりリアルにお伝えさせていただきます!


①ネーム

ネームとはマンガの設計図のことで、コマの配置やセリフ、キャラクターの動き、アングル、背景のイメージなど、マンガを作成するにあたっての骨組みとなるものを指します。
キャラクターが比較的大きく映る予定のコマについては、体の動きだけでなく、目や眉毛の角度、口の開き具合など細かな表情もネームで決めていきます。

スマホの画面をいっぱいに使ったウェブトゥーンならではの効果的な視線誘導を考えたり、「ミセゴマ」と呼ばれるような大きなコマをどこにどういった構図で配置するかを考えたりと、この工程次第で作品全体の印象が大きく変わってしまうため、担当者のセンスが問われる工程です。

ーーネームの構図を考えるのって大変なイメージがありますが、決め方や気をつけていることはありますか?
MNさん「構図が単調にならないように、引き・寄り・角度などを変えるように心がけています!いろいろと試行錯誤しつつも、『何を見せたいか、見てほしいか』を忘れないよう制作しています。また、心情やキャラクターの性格が弱そうであれば俯瞰、強そうであればアオリなど、カメラの角度によって表現できる効果なども視野に入れて構図を決めています。」

SNさん「他には、コマが変わったときにキャラクターの立ち位置が変わっていないか、向いてる方向は一致しているか、イマジナリーラインに注意しています。」
※イマジナリーラインとは?
向かい合う登場人物がいる状況などで、その二つの被写体を結ぶ仮想の線のこと。

ーー「ボスわた」チームは、ネーム段階からよくディスカッションしているのを対面でもチャット上でも見かけるので、全員がこだわりを持って制作している印象です!対立する意見がでたときにはどうしていますか?
SNさん「それぞれの意見で一致しているところを探し、お互いが納得できる折衷案を見つけるように意識しています!」

MNさん「『なんとなくこうしたい』とか『好みだから』などの漠然とした理由ではなく、『ここはこういうシーンだから、この部分を強調させた方がより読者に伝わりやすいと思う』といったように、きちんと理由を添えて意見を出すようにしています。」

ーーでは最後に、GCを目指す学生さんに向けて、学生時代にやっておくとよいことを教えてください!
SNさん「とにかくたくさんのウェブトゥーン作品を読んでおけばよかったなと感じています。ネームに関する知識をたくさんストックしておけばよかったなと…。」

MNさん「可愛いキャラクターやかっこいいキャラクターばかり描き続けるわけではなく、時には苦しんでいる人や人間ならざるものを描くこともあるので、色んなジャンルの作品に触れておけばよかったなぁと感じます。」


②背景

ネームが出来上がると、次に背景を描き込んでいきます。
背景担当者は、主に建築業界で使用されるような3Dモデリングツール『SketchUp』を使用して、リアルな建物を制作し、出来上がった背景素材をウェブトゥーンの原稿に落とし込んでいきます。

スタジオGANMA!FUKUOKAで連載している作品の背景担当者は、専門学校時代に3Dモデリングツールの使用方法などを授業で履修していなかったクリエイターが多く、
Youtubeやネットの記事を参考に、3Dモデリングツールの使用方法を独学で習得したんだとか。すごい…!

建物や室内の家具だけでなく、食事中のテーブルにある料理やお菓子類を制作することも背景担当者の仕事です。
有料素材を使用することもありますが、1から手描きで食べ物を描き上げることもあります!

こちらのガレット、なんと手描きです!!
とっても美味しそう…!!

ーー背景担当になった経緯を教えてください!
Mさん「自分はもともと背景担当を希望していので、立候補しました!」

Tさん「私は、他に背景をやりたい人がいなかったこともありますが、パース(遠近法)を理解している人が少なかったため、背景担当に指名されました。」

ーーなるほど…背景って建築的な要素もあって、私の中では職人感があってかっこよく感じます!
では、背景制作をやっていて嬉しかったとき、やりがいを感じるときはどんなときですか?

Tさん「小物の加工にこだわり、クオリティの高い作品が完成したときですね!あとは純粋に褒められるとやっぱり嬉しいです!」

Mさん「出来上がったネームに合わせて正確な背景を仕上げられた時は、とてもやりがいを感じます。
クオリティを高めるため、ネーム担当者に細かい角度や完成像をヒアリングすることもあります。」

ーーまさに「一切の妥協なし」ですね!こだわりを持って制作しているからこそ、高いクオリティを追求できるんですね!
背景制作に向いている人や、あると良いスキルなどはありますか?

Tさん「背景制作ではSketchUpという3Dモデリングツールを使用しているのですが、SketchUpを使用できる人は頼もしいです!が、あまり専門学校では触らないと思うので、新しいツールを抵抗なく触れる人は向いているかなと思います。」

Mさん「背景に限らずですが、週間連載なので締切に間に合わせる意識をもてるかどうかはかなり重要ですね…!」

Tさん「確かに!あとは、黙々とマンガを描くだけじゃなく、チーム内でフィードバックをする際に意見を出し合うことが多いので、コミュニケーション力も求められます。背景は単体で描かれることはほとんどなく、人物との調整が必要なことが大半なので特にコミュニケーション力が必要なポジションかもしれないですね。」

ーーコミュニケーション力といっても様々だと思うのですが、具体的にはどんな力が必要だと思いますか?
Mさん「自分の意見や主張をまとめてから話せる力ですかね。私は相手にどう伝えるとわかりやすいかを考えるようにしています。」

Tさん「それって本当に大事だよね。相手の時間をもらっている意識を持てるとなお良いと思います!」

ーーなんだか新社会人に向けたメッセージみたいになってきましたね(笑)では最後に、GCを目指す学生さんへ一言メッセージをお願いします!

Tさん「好きなことを仕事にすることは楽しいだけじゃなく、トライアンドエラーの繰り返しでつらいこともあると思います。特に背景担当だと、こだわった背景の部分が仕上げまでの段階でコマ外にはみ出てしまったりすることもあります。でも、自分が関わった作品が世の中に出ると何物にも変え難い喜びになりますし、自分の誇りにもなります!」

Mさん「コミスマには、仲間と切磋琢磨できる環境があります。一緒に良きライバルになりましょう!」


③人物線画

人物線画は出来上がったネームをもとに人物を描き起こす工程です。
出来上がったネームからキャラクターの微妙な表情を読み取り、線画に描き起こしていきます。
人物線画は作品の核とも言える重要なフローであり、「マンガをつくる仕事に就いたなら、人物線画をやりたい!」という声も多いです。

担当者の個性を一番強く出せる工程ではありますが、一方で、複数人で線画を担当するため『絵柄寄せができるか』も求められます。商業として作品を出す以上、「ウェブトゥーンが好きな読者はどんな絵柄を好むのか?」といった研究も重要ですね。

表情だけでなく人物の体の動きも描き起こすため、人体の骨格構造を正確に理解しておく必要もあります。

また、ネームでは描かれていなかった衣装の細かな装飾も人物線画で描き込んでいきます。
「大虐殺を引き起こすラスボス、脇役の私が幸せにします!」もそうですが、西洋の貴族文化を舞台とした作品では、フリルやレースがたくさんあしらわれたドレスを着たキャラクターが多く、いかにリアリティーのある衣装が描けるかも重要です。

ーー線画担当になった経緯を教えてください!
Nさん「担当編集さんがGCの絵柄やポートフォリオ(作品集)を見て決定されました!」

Kさん「作品のキャラクターデザインを見て、誰の絵柄が向いているかなど適性も見て決められることもあるみたいです。」

ーー人物線画ってマンガ制作の花形ですよね…!
Kさん「自分で言うのもなんだか恥ずかしいですが、やっぱりマンガの中で一番目を惹くのは人物だと思うので、この仕事をしている人なら人物線画を担当したい人が多いんじゃないかな…?」

ーー人物線画の工程を担当していて、やりがいを感じる時を教えてください!
Hさん「私はモブ(群衆)の線画を担当しているのですが、モブの数が多い話で線画を描き終えた時は、とても達成感を味わえました。」

Kさん「Hさんはモブ線画だけでなく、色々なヘルプもしてくれるので本当に助かってます…!」

「大虐殺を引き起こすラスボス、脇役の私が幸せにします!」
第27話で登場する、とあるキャラクター。
苦しんでいる人間を描くにあたって、どう描いたらより苦しみが伝わるかを
メンバーにたくさんヒアリングしたんだとか。

Nさん「わたしは主人公の線画を担当しているのですが、自分が描いたメインキャラクターの線画に色がついた時、命が吹き込まれた感じがして、『マンガになってる〜!』とおもわず感動します!」

Kさん「人物線画を描いているときには『これで本当に大丈夫かな…』と少し不安を感じることもあるのですが、着彩と仕上げまで終わった綺麗な原稿を見ると、『間違ってなかった!』と安心感がありますし、自信にもつながっています。」

ーーチーム制作ならではの感動ですね。では、人物線画に向いている人はどんな人でしょうか?
Kさん「微妙な表情の違いで登場人物の心情を表現していくので、想像力が豊かな人や、ネームからストーリーの流れを掴むのが得意な人は向いていると思います!」

Hさん「丁寧かつ筆が早い人ですかね…。スピードが速いとその分他の工程のヘルプに入ってチームの作業時間の短縮につながりますし、空いた時間でブラッシュアップしてクオリティを高めることもできます。」

Nさん「絵柄寄せが得意な人、普段からウェブトゥーンをたくさん読んでいる人は活躍している人が多いと思います!」

ーー最後に、GCを目指す学生さんへ一言メッセージをお願いします!
Kさん「ウェブトゥーンは、やはりまだ横マンガに比べて認知度は低いですが、ウェブトゥーン制作を目指した初心を忘れず、やる気さえあれば絶対に活躍できるはず!」

Nさん「人物線画担当を目指すのであれば、とにかくデッサンをしてクオリティをあげると良いです!デッサンの枚数は絶対に自分の武器になります!私たちと一緒に最高のウェブトゥーンを作りましょう!」


④着彩

人物線画が完成すると、次は着色をしていきます。
モノクロの線画の状態から色を入れることで、キャラクターに華やかな雰囲気やダークな印象を与えていきます。

着彩工程はまず下塗りを行い、その後影入れと本塗りに入ります。
下塗りはキャラクターごとにあらかじめ決められた肌や髪の色を入れていく工程ですが、1ピクセル単位で塗り残しがないかをチェックするなど、かなり緻密な作業にもなります。
光が当たっている角度から適切な位置に影入れを行うため、色彩感覚だけではなく光と陰影の知識も必要不可欠です。

ーー着彩担当のRさんは、スタジオGANMA!FUKUOKA内でもかなり作業スピードが速いことで有名ですよね!何か工夫していることとかあるんでしょうか?
Rさん「とにかく手を早く動かしています!(笑)
影入れの段階で悩む人も多いかなと思いますが、私は光の位置に対してどのように影が入るかを頭に叩き込んでいるので、迷いなく描くことができているのかなと思います。」

ーーめちゃくちゃかっこいいです!着彩をやっていて嬉しかったときはどんなときですか?
Rさん「やはり塗りを褒められると嬉しいですね!「ボスわた」はみんなが「すごい!」と思ったコマを褒め合っていて、モチベーションを維持しながら制作できるのでとてもいい文化だなと思っています。」

ーー学生時代にこれやっておけばよかったな〜と感じることはありますか?
Rさん「これは着彩に限らずだと思いますが、ウェブトゥーンをたくさん読んでおけばよかったなと思います。あとは、鉛筆デッサンをたくさんして、陰影の付け方を習得しておくことですかね!」

ーーでは最後に、GCを目指す学生さんへ一言メッセージをお願いします!
Rさん「とにかくたくさん絵を描きましょう!!じっくり見て忠実に描くことで確実に身になりますし、得た知識は裏切らないです!」


⑤仕上げ

いよいよ最後の工程です。
着彩まで終わった原稿の色味の調整を行い、さらに見応えのある豪華な原稿に仕上げていくのが仕上げの工程です。
効果的な視線誘導になるよう、エフェクトをバランスよく追加したり、飾りを追加するのも仕上げ工程の仕事です。
作品全体を通して見た時に違和感がないように各工程の細かな部分を調整するため、全体のストーリーの流れを把握しておくことがとても重要です。

ーー仕上げはウェブトゥーンならではの工程だと思いますが、仕上げのやり方はどのように学びましたか?
SNさん「エフェクトの付け方や加工の仕方は、ひたすら売れているウェブトゥーンを読んで、引き出しを増やしていきました。」

MNさん「参考にする作品をむやみに増やしても統一感のない知識になりそうだったので、私は出したい雰囲気によって参考にする作品を絞っています!」

ーー仕上げをやっていて嬉しかったことは?
SNさん「グロテスクな印象を与えたるためにエフェクトにもこだわった話があったのですが、その話が配信されてコメントを見てみると『きもい!』っていうコメントがあって。
普段なら嫌な言葉なのに、自分の想像通りの反応を見ることができて、その時ばかりは嬉しかったです(笑)」

ーーその言葉では普段は喜ばないですよね(笑)この仕事ならではの視点で面白いですね!
では、仕上げを担当するにあたって大事なマインドや必要なスキルはありますか?
MNさん「色彩が与える印象を理解していると、とてもスムーズに仕上げ作業ができると思います。」

SNさん「最後の工程なので、全体を確認できるよう視野を広く持つ意識も大事だなと思います!」

ーー最後に、GCを目指す学生さんへ一言メッセージをお願いします!
SNさん「横マンガに比べると、ウェブトゥーンは作品単位で推している人が少なくて悔しいので、この作品が好き!!と熱量高く読んでくれる人が増えるような作品を一緒に作っていきたいです!一緒に世界一を目指しましょう!!」

MNさん「ネームから着彩まで、これまでみんなが作ってきた作品を、自分の手で良い加工ができ、みんなに「エモい!!」とほめられた時に、仕上げ担当としてとてもやりがいを感じることができます。分業制のウェブトーン制作なら、自分の得意な分野でエキスパートになれるかも!!ウェブトゥーンを世界に広げるために一緒に頑張りましょう!!」


左から「ネーム」→「背景」→「線画」→「着彩」→「仕上げ」
工程ごとにこのように変化していきます!

今回はスタジオGANMA!FUKUOKAでのウェブトゥーン制作フローをご紹介しました!
ネーム、背景、人物線画、着彩、仕上げと、クオリティの高い作品を作るためにはどれも欠かせない工程だということが伝わりましたでしょうか?

コミックスマートはGC全員が持つ才能を最大限に活かせるようなサポート体制が充実しています。
GC自身の向上心・自主性も高く、日々切磋琢磨して成長が著しいです!

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