ほぼ漫画業界コラム179【転の話】
起承転結の「転」が分からない。確かにそういう人は多いと思います。2000年くらいまでは、日本の脚本の教本にはほとんど起承転結の構成方法しかありませんでした。私もそれらを読んでもよく分かりませんでした。「転」って難しい。
私がその後、構成が得意になったのは三幕構成を知ったからです。この話は過去のコラムに書きました。noteに簡単にまとめてあるので、ぜひご覧ください。 https://note.com/comic_room/n/n1873f6014f89?sub_rt=share_pw
まあ、でも長くシナリオを書いていると分かってきます。起承転結も三幕構成も行っていることは全く同じなんですよね。「転」というのは三幕構成で言えばact2とact3のターニングポイントと同義です。展開が変わる。多くの場合はピンチになる。でも、ピンチの時に訪れるチャンスも「転」になるし、説明が難しいですね。
たとえ話で実演しましょうか。
例えばドミノ漫画があるとしましょう。なんでドミノかというと、今パッと浮かんだだけです。それ以上でも以下でもありません。まあ、いいでしょう。そのシナリオ構成はこうです。
【起】
借金を背負った主人公。彼が出会ったのは、ドミノを1万個並べたら借金返済だというドミノチャレンジだった。
【承】
主人公は苦労しながらも、並べていくが
【転】
そこに猫が現れて…
【結】
結末
要するに、順調に推移していたり、視点のキャラの予測が思わぬ方向に外れることを言います。要するにトラブル。想定外の出来事です。
ちなみに連載漫画だとトラブルは何度も繰り返すので、起承転転転転転転転転転結になっています。
分かるでしょうか。でも長年生きていると、構成というのは人生そのままだと思います。人生とはままならないものです。どれだけ慎重に生きてこようと、思い通りには決して行きません。だから面白いんです。日々起こるトラブルや苦難、もしくはチャンスの到来を客観的にシナリオ的に見ると、自然に「転」が作れるようになると思います。
ちなみに私はもうシナリオ関係の本は一切読んでいません。なので、もしかしたら私が言っていることが今の主流の考えよりも古かったりするかもしれません。
が、創作術なんてそんなものです。構成が苦手なのはアウトプットが少ないからだと思います。沢山アウトプットすれば、そのうち呼吸をするようにできるようになります。