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主人公の作り方

先週末になりますが、株式会社Mintoさん主催の勉強会でゲストスピーカーとして喋ってきました。最近としては珍しく創作論中心の話をしました。新鮮で楽しかったです。自分でも話していて分かったんですが、経営論よりも、編集論よりも創作論の話が好きかもしれないですね。Mintoの皆さんありがとうございました。楽しかったです。

で、せっかくなんでその時の内容を中心に一本書きます。基本的に動画とかは禁止にしてたので、参加できなかったみなさん用に要点をまとめて。

勉強会のテーマは【魅力的なキャラクターの作り方】だったんですが、僕はまずは何が何でも主人公だと考えているので80%ぐらいは主人公の話をしました。

主人公に必要な要素。これは僕は漫画編集者になって3、4年ぐらいには基本たどり着いていたと思います。小池一夫先生や、石ノ森章太郎先生などの創作論を読み漁っていて、新人作家と一緒に漫画を作る中で当時辿り着いた(と思っている)結論。それは

・目的とその動機

・能力とその裏付け

・好き嫌い得意苦手

以上。

25、6歳の当時、これらを確信した瞬間、僕は有頂天で、これからいくらでも作品が作れる! ヒット連発だ! と思っていました。

今から見ても、これが間違っているとは思わないんですが。まあ、そんな事まとめたからって作れるわけもなくてですね。で、それから悪戦苦闘の20年以上。編集として、編集長として、原作者として、ひたすらストーリー構築に向き合ってきました。

でもやっぱりまあ、自分で作らないと本当のことは分からないわけで。編集者だけをいくらやってても限界がありました。いくら理屈をこねても、作者がいいストーリーは浮かばない時は浮かばないし、作れないんですよね。

で、自分で何作も何作も、原作を書くようになって分かってきたことがあります。

作品によって、作りやすい作品と作りにくい作品があるんです。僕の能力は同じなのに、面白いシナリオが浮かぶ作品と浮かばない作品がある。

まあ、当たり前のことなんですがやっぱり主人公なんですよね。動きかしやすい主人公、面白いエピソードが作りやすい主人公と、そうでもない主人公に分かれるんですよ。

つまり【主人公強度】というものがある事を強く実感できるようになったんです。

主人公強度、それが強ければ強いほど話は作りやすいし、人気も出しやすい。

ではどんな主人公が主人公強度が高いのか?

僕はそれを基本的にはエゴの強さに起因すると考えています。

じゃえエゴって何やねん!それが分かっているようで分かりきれず20年以上苦闘してきました。もちろん、今も苦闘していますが、同時並行で何作品も書き続けているうちに、なんとなく最近その核みたいなものが掴めてきた気がします。

エゴには2種類あって、何者かになりたい、世の中を変えたい、自分の能力を活かしたいっていうポジティブなエゴと今のままでいたい。世の中を変えてくない、人を支配したい、縛り付けたい、出来るだけ怠けたいっていうネガティブなエゴがあります。

ん?どういう事と思ったでしょう。てか全部じゃないですか。人間を人間たらしめる要素全部。

そうなんですよ。結局、エゴって人間らしさなんですよね。ジョジョのテーマが人間賛歌だって荒木先生の言葉が有名ですが、そもそも物語ってのは全て、人間賛歌なんですよ。

一見、ポジティブの方が優れていように思えるんですが、色々書いてきた結果、まあ“どっちでも構わない、ネガ、ポジ関係なくエゴが強ければ強いほど書きやすいってことが分かってきました。

でその上で編集初めて3年目ぐらいでたどり着いた結論を見るとですね。まあ、スカッと脳に串が通った感じなんですよね。

・目的とその動機

・能力とその裏付け

・好き嫌い得意苦手

上記の設定付は強いエゴがあって初めて意味があるんです。
というような話を1時間半してきましたよって話でした。ジャンジャン!


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